( 一茶忌 )
新米やあてにして来る墓雀
神前の草にこぼして新酒哉
杉の葉を釣して売るや濁り酒
今日11月19日は小林一茶の忌日です。芭蕉さんから70年ほど後の
江戸時代を代表する俳諧師はご存知のことでしょう。
ころころが一茶に興味を持ったのは相撲(角力)の句を
たくさん詠んでる事を知ってからです。一茶の句を読むうちに、あまりに自虐的
な句が多いことに驚かされました。
一茶忌や口やかましき人ばかり 瀧井孝作
一茶忌や父を限りの小百姓 石田波郷
一茶忌の雀の家族焚火越す 秋元不死男
( 藪柑子・やぶこうじ)
千両・万両と冬に赤い実をつける植物はご存知のことでしょう
この藪柑子が十両と呼ばれていることは、ころころは知りませんでした
ついでに調べてみたら、百両は唐橘で、まさかと思った一両は蟻通(ありどおし)
探して写真に撮ってまいりましょう。
藪柑子もさびしがりやの實がぽっちり 種田山頭火
吉良さまを敬ふ寺の藪柑子 能村登四郎
狭庭には狭庭の日ざし藪柑子 白岩 三郎
( 出雲崎・良寛記念館・五合庵 )
やさしさはりょうかんさまが、世界一 まりあ
今朝のNHK「小さな旅」は新潟出雲崎、良寛さまの出生・終焉の地でした。
写真の左手に写っているのが晩年を過ごした庵「五合庵」八畳くらいの広さで、
柏崎で多くの被害が出た地震の前年の夏、連衆と旅をした時の写真です
放送の中で地元の小学四年生の子供たちが,学校から1時間を歩き海岸沿いの
良寛堂へ行き、そこでお弁当を食べて、指折り俳句を詠んでいます。
この句を詠んだ、まりあちゃんは「あれ、季語がないや」といって屈託のない笑顔
です。10歳の少女がおばあちゃんとハイキングした五合庵、地元に根ざした
良寛さまへの思いは子供たちに確かに伝えられていました。この少女の感動が
まさに俳句のこころなのでしょう。
良寛の辿りし峠草紅葉 沢木欣一
良寛の地や煉炭の大包み 宮坂静生
良寛の遊びし村の雪景色 太田土男
( 野路菊 )
雑菊と云ひて床しき菊ありし 相生垣瓜人
冬菊のまとふはおのがひかりのみ 水原秋櫻子
花はみな四方に贈りて菊日和 宮沢賢治
下駄にのる踝小さし菊日和 鈴木真砂女
☆ 今日15日は七五三,3歳の男女児、5歳の男児、
7歳の女児の成長を祈って神社に詣でる。かつては、乳児の時
剃っていた髪を伸ばし始める「髪置」、初めて袴を着ける「袴着」
紐付きの着物をやめて本式の帯を結ぶ「帯解」という通過儀礼も
有った。
*作句のポイントは子を思う親の気持ち,晴れがましさに喜ぶ
子供の姿など、時代を超えて変わらない。目先の新しさだけでなく
その奥にある変わらないものをつかむといい。
(創元社 俳句の暮らしと行事・下巻より)
花嫁を見上げて七五三の子よ 大串 章
椀種に花麩の浮ぶ七五三 佐藤麻緒
一の宮の大日だまりや七五三 山崎房子
( 沢胡桃黄葉 )
一樹には収まらぬ風沢胡桃 岡田史乃
沢胡桃山にも後ろ姿ありて 北野民夫
同齢の樹ならむ黄葉いつせいに 福永耕二
☆ 今日13日は月齢15.2,満月です。この月齢、耳にした
事はあると思いますが、ご存知でしょうか?大まかに言えば新月
(月の初めの眉のような細い月)から数えての日数で月齢15が満月
となります。ぴったり15になるのが昼間なので、月の見える時間が
15.2となるわけです。この月齢+1の整数が旧暦の日付とほぼ
合います。 今日は久しぶりの小春日でしたね。
どうぞ,外に出て冬の月を詠んでみましょう
冬満月 やっと眠らす眼鏡拭く 三田村弘子
冬満月歩幅ひろげてゆく一人 幡野千恵子
冬満月佐渡より寄する波がしら 文挟夫佐恵
( 黄葉 )
日を散らし銀杏黄葉の散り止まず 岡安仁義
いぬつげの黄葉の下の有馬径 前田普羅
沙羅黄葉枯山水を明るくす 高見孝子
からまつ黄葉くつ音若くゆく湖畔 福永みち子
倉庫裏銀杏黄葉が明るくす 沢木欣一
ゆりの木の着替へのさまに黄葉す ころころ
( 実南天 )
八十路てふ節目重たし実南天 鈴木ふみい
乳足りて嬰児の小ごゑ実南天 橋本郁子
起きぬけの水の硬さや実南天 織野 健一
☆朝からの寒気で早退する。帰宅し眠れて少し楽になった
こんな時にはいつも布団の中で句集を読むことが多いが選んだ
句集が永田耕衣「殺祖」・・・また頭が痛くなってきた。
おちこちの骨の泣声風邪ごこち ころころ