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12月 22日 冬至

2019-12-21 19:23:16 | Weblog
                  冬至・冬至湯・柚子湯・冬至南瓜・一陽来復



     子は遠し妻と二人の冬至粥         栗田やすし


     蔵の窓冬至南瓜は顔のこと         細見綾子


     職退くと決めて柚子湯に身を沈む      国枝隆生


     柚子風呂の柚子見つめをり片思ひ      荒川秀之


     みどり子に冬至南瓜をつぶしやる      小島千鶴


     柚子風呂の柚子手で掬ひ匂ひかぐ      太田滋子


     大南瓜かかへて来たり冬至寺        都筑恭子


     天も地も染めて冬至の夕日落つ       武田稜子


     影つれて信号待てり冬至の日        牧 啓子


     病む膝に柚子を寄せたり冬至風呂      石原進子


     蚕飼女の桑の木で焚く冬至風呂       篠田法子



          



     子の臀を掌に受け沈む冬至の湯       田川飛旅子


     柚子風呂に離れ住む子を思ひけり      藤原照子


     柚子湯出て慈母観音のごとく立つ      上田五千石


     鉈で割る冬至かぼちやのいびつなる     小田二三枝


     山国の虚空日わたる冬至かな        飯田蛇笏




          


     一陽来復の意味
     中国や日本では、冬至は太陽の力が一番弱まった日であり、この日を境に再び力が甦ってくることから、
     陰が極まり再び陽にかえる日という意の「一陽来復(いちようらいふく)」といって、
     冬至を境に運が向いてくるとしています。つまり、みんなが上昇運に転じる日なのです



     縁談をかさね一陽来復の柱かな        田中花楠


     一陽来復長湯を妻にのぞかるる        山口いさを


     一陽来復の雪となりにけり          久保田万太郎


     一陽来復雑木林に射す薄日          棚山波朗
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12月 21日

2019-12-20 19:47:22 | Weblog
                  紙漉・寒漉・楮(三椏)蒸す・楮晒す・紙漉女



     紙漉くや小学校と谷距て          沢木欣一


     紙漉女稼ぎを問はれ恥ぢらひぬ       細見綾子


     峡晴れて楮選る水かがやけり        栗田やすし


     漉き上がる和紙つややかや吉野晴      小島千鶴


     楮選る一日水に顔映し           栗田せつ子


     粗壁に水陽炎や楮選る           都合ナルミ


     松枯れの薪どんとくべ楮蒸す        中斎ゆうこ


     山の水引きて晒せり楮束          武田稜子


     楮選る体に毛布巻きつけて         幸村志保美


     神棚へ湯気を吹き上げ楮蒸す        近藤文子


     一息に剥がす楮の皮匂ふ          奥山ひろみ


     楮選る赤き毛布を腰に巻き         宇野美智子



          



     百漉けば百の祈りや紙漉女          林 翔


     楮蒸す湯気に人かげ大きく揺れ        田中冬二


     女の月日白き紙漉き重ねては         津田清子


     紙漉の裾より寒さひろがりぬ         石田あき子


     大いなる日めくり紙漉女の上に        辻桃子


     紙漉きのひととゆびきりきれるまで      渋谷道




          
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12月 20日

2019-12-19 13:18:41 | Weblog
                  焚火・落葉焚

      今では廃棄物処理法、消防法、自治体による条例によって
     焚火に制限が与えられています
     軽微な焚火は許されているようですが
     それでも隣家とのコミュニケーションが良ければの話です
     冬の風物詩としての景色が消えてゆくのは寂しいかぎりですね




     朝焚火して待ちゐたり漁舟          栗田やすし


     崖上の食後の焚火犬も居て          沢木欣一


     船焚火消えぬ火の粉に水暗し         細見綾子


     しばらくは焚火に酔ひを醒ましをり      河原地英武


     流木の燃え止し匂ふ焚火跡          中野一灯


     焚火して待つ藍染めの寒晒し         丹羽康碩


     焚火して九官鳥と話しをり          磯田なつえ


     母遠し藁の匂ひの焚火あと          山 たけし


     村中を煙らせ寺の落葉焚           森 靖子


     のんぼりを晒す磧に焚火して         山本光江


     雇用票手に車座の焚火かな           こころ



          



     白き手の病者ばかりの落葉焚          石田波郷


     穴釣の小さな焚火匂ひけり           坂巻純子


     一人退き二人よりくる焚火かな         久保田万太郎


     夕焼も炎に入れて落葉焚            大高千代


     行きずりのライター借りて落葉焚        高橋利雄


     五百羅漢ひとり抜け出て落葉焚         田村恵子



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12月 19日

2019-12-18 19:45:16 | Weblog
                  蒲団・掻巻・蒲団干す  


     蓮田より日にふくれたるふとん見ゆ     細見綾子


     海晴れて防潮堤に干し布団         栗田やすし


     蒲団干す姥捨山の真向かひに        都合ナルミ


     干蒲団並ぶベランダ子沢山         小長哲郎


     ふとん干す軒先低き佃路地         谷口千賀子


     蒲団干すつまづく事の多くなり       山下 護


     潮錆びの伊根の舟屋や布団干す       福田邦子


     煙突の残るふるさと布団干す        角田勝代


     旅籠屋の日当たる二階布団干す       江口ひろし


     朝市の川原隔てて布団干す         二村美伽


     出漁の船に仮寝の布団干す         篠田法子



          



     村々を眺めて叩く冬布団          飯田龍太


     蒲団二つ敷けば大佐渡小佐渡かな      河東碧梧桐


     干蒲団瓦の波をちよと滑る         阿波野青畝


     鰯干す匂の中に蒲団干す          後藤比奈夫


     なつかしき炬燧蒲団の木綿縞        富安風生
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12月 18日

2019-12-17 19:05:04 | Weblog
                  煤払・煤籠・煤逃げ・煤日和



     上野より富士見ゆる日や煤払ひ       沢木欣一


     煤籠書架の土鈴を鳴らしみる        栗田やすし


     蝋燭の火の大揺れに煤払ひ         河原地英武 


     夢少し残して老いの煤払ひ         中山敏彦


     文机の向き変へてみる煤払         中野一灯


     煤逃のハングライダー鳶の上        磯田なつえ


     煤逃げの夫抱き帰る本五冊         岡野敦子


     煤逃げや古書街裏の喫茶店         武藤光晴


     人寄りて無人駅舎の煤払ひ         中村たか


     行き場なき張子の虎や煤払ひ        上杉和雄


     すす竹の笹千切れ舞ふ大手門        廣島幸子


     捨てられぬ書に書を重ね煤はらひ       こころ



          



     煤払ひ神官畳めつた打ち           林 徹


     煤逃げをするにネクタイ締めにけり      森田公司


     煤払車磨いて終りけり            小松和子


     煤隠りして猟銃を磨きをり          石原八束


     煤逃げの選句電車にしてゐたり        茨木和生


     煤籠る老僧に客多かりし           小野 秀子



          
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12月 17日

2019-12-16 19:22:15 | Weblog
                  冬苺・寒苺



     山歯朶に添へたる赤き冬苺         細見綾子


     春雷句碑蔓ごと供ふ冬苺          栗田やすし


     裏山に轟く沢や冬苺            矢野愛乃


     冬苺一粒づつに日のぬくみ         牧 啓子


     冬苺弁当箱に持ち帰る           鈴木華子




          



     波荒れてゆらぐ利島や冬苺         水原秋櫻子


     寒いちご親子四人の匙の音         福永みち子


     日の力落ちし小藪に冬いちご        神田 岩魚


     道かへて母を見舞ひの寒苺         金子 潮


     尻重の益子の碗や冬いちご         川原游巴


     冬苺引けば枯山やや動く          野沢節子


     冬苺つまむ小さき指ゑくぼ         中村ふみ


     嫁ぐ娘とつぶす銀匙冬いちご        楠本憲吉
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12月 16日

2019-12-15 13:07:09 | Weblog
                  冬菜・冬菜畑・かぶ菜・野沢菜・小松菜・漬菜



     水郷や葦辺に青き冬菜畑           栗田やすし


     海を負ふ暮らし漬菜の石探す         細見綾子


     磴千段来て堂守の冬菜畑           矢野孝子


     ネット越し椋が啄む冬菜畑          藤田岳人


     冬菜洗ふ姑娘そつと笑ひけり         武藤光晴


     軒先に冬菜を売れり洋品店          市原美幸


     吉良の寺裏に色濃き冬菜畑          井沢陽子


     籾殻を畝間に厚く冬菜畑           石原進子


     裸灯や京の市場の冬野菜           安藤虎杖


     山畑の婆鈴つけて冬菜つむ          大倉カツ江


     こきりこを聴きに横切る冬菜畑        二村美伽


     遠山のけふよく見えて冬菜畑         吉田明美



          



     冬菜漬け終り全身きしきしす         菖蒲あや


     茹で上げし冬菜の湯気が顔を撫で       西村和子


     笛つくることの遊びや冬菜屑         古館曹人


     湖を見下ろしにして冬菜畑          石田郷子


     曳売りの婆の冬菜の目分量          猪爪登美子


     火の山の高曇りゐし冬菜かな         吉田鴻司




          
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12月 15日

2019-12-14 18:59:27 | Weblog
                  襤褸市・ぼろの市・世田谷襤褸市



     元々は古着の売買が盛んに行われたことから、明治時代に「ボロ市」の名が付いた
     現代では古着のほかに、骨董品、古本、植木、食料品、神棚、玩具、寝具、新品の衣類、
     生活雑貨などが売られている。周辺の常設飲食店にはボロ市に合わせて臨時メニューを出すところもある 
     世田谷ぼろ市では「ボロ市名物といえばやはり代官餅」この代官餅は昭和50年(1975年)の発売開始から、
     その場で蒸してついた温かくてボリュームあるお餅を食べられることから、
     ボロ市を代表する名物として親しまれています。ボロ市のときだけ食べられるこの代官餅は、
     あんこ、きなこ、からみの3種類で、各600円で発売されています。



     ぼろ市や客を横目に股火鉢          小長哲郎


     ぼろ市に若きひばりのブロマイド       佐藤とみお


     襤褸市や銀のピアスの量り売り        奥山ひろみ


     一書欠く花の図鑑やぼろの市         森垣一成


     ぼろ市に売る軍服の金ボタン         関根切子


     並べ売るマリアと仏ぼろの市         幸村志保美


     ボロ市や鈍き光の銀食器           鈴木みすず


     ぼろ市や額縁入りの質の札          生川靖子


     鐘馗さま路地に腕くむ襤褸の市        佐藤喜美子


     刀剣の目利き談議やぼろの市         松原和嗣


     ぼろ市のランプ灯して売られけり        こころ



          



     襤褸市や大学芋の金色に           辻 桃子


     ぼろ市の由緒くはしき河童の図        有馬朗人


     ぼろ市の叩いて鳴らす鳩時計         大谷長平


     ぼろ市を流され歩む深帽子          鍵和田釉子


     ぼろ市の木魚と坐る嫗かな          水原春郎


     ぼろ市のピカチユウは日をひとり占め     小原希世 




          



          
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12月 14日

2019-12-13 17:09:21 | Weblog
                  義士会・義士の日・義士討ち入りの日



     元禄15年12月14日の晩(今の時刻では15日の午前4時頃だが、当時は明け方
     から1日が始まる感覚があったので14日深夜と考える)、赤穂浪士47名が
     吉良上野介邸に押し入り、上野介を殺害して主君の仇を討ちました。
     物語は「忠臣蔵」として語り継がれています

     この吉良邸があるのがJR両国駅近く 徒歩8分程度のところでしょうか
     現在では吉良邸の一部を残しているのみです
     丁度深川に芭蕉が庵を構えていた頃の出来事です

     『義人祭』は芝高輪泉岳寺で4月1日~7日に
     行われる赤穂浪士の御魂供養の法会で春の季語になっています




     義士の日の空を切つたる雀かな            吉田鴻司


     義士の日や本所に老いて吉良贔屓           大島民郎


     義士の日や討入蕎麦にあたたまる           鈴木みすず


     討ち入りの日の蝙蝠傘と舌下錠            鳥居真里子


     搾れば薫る討入の日のレモンかな           夏井いつき


     天へ逃げし義士討入の日の風船            加倉井秋を


     義士の日の見知らぬ同志墓碑を読む          山口恵子


     義士会や浅野家の墓所浪速にも            大橋敦子


     義士の日の出店が売れり鯨尺             北野民夫



          


           首洗いの井戸(吉良上野介の首を洗ったと言われています)



          
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12月 13日

2019-12-12 18:55:01 | Weblog
                  肩掛・ストール・襟巻・マフラー・首巻



     肩掛けに深く埋まり仏像見る        細見綾子


     面接にゆく子マフラー固く巻き       河原地英武


     ストールを巻き直し出る風の道       谷口千賀子


     赤マフラー巻いて還暦伊勢の旅       栗木豊代子


     糸足して母のマフラー編み直す       工藤まみ


     肩に掛け長きマフラーもてあます      森垣一成


     マフラーに声くぐもれり反抗期       岡田佳子


     マフラーを解きて阿修羅に佇ちつくす    内田陽子


     マフラーを靡かせローラースケーター    さとうあきこ


     月蝕を待つマフラーに顔うづめ        こころ



          



     風の子となるマフラーの吹流し        上田五千石


     襟巻に巻かれて首の突つ立てる        矢島渚男


     狐の襟巻まかり通るよ寄りがたし       玉川行野


     襟巻や毛皮ぞろぞろ念仏寺          川崎展宏


     襟巻やほのあたたかき花舗のなか       中村汀女


     桂郎の赤き襟巻畦の数            秋元不死男


     
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