岡野雄一さんが認知症のお母様を介護された実体験を元にして描いた漫画を原作としたこの作品は、赤木春恵さんが「世界最高齢での映画初主演女優」としてギネスブックに登録されたことでも話題になっていた。この話はNHKBSでもドキュメンタリードラマとして、イッセー尾形さんが岡野さん(雄一)を演じられていたけど、映画では岩松了さんが演じられた。
母親の介護というのは、僕にとっても他人事ではない。同居している母は、今はまだ身の回りの事を自分でやることができるけど、このままならばいつ介護が必要となるか不安だ。コメディタッチで描かれた作品で、ところどころで笑い出してしまったものの、赤木春恵さん演じる母親の認知症の症状が進んでいく様子を観ながら、母もいつかこのような状況になるのだろうかという思いが頭の中に浮かんでいた。竹中直人さんも巻き込んだ「ハゲ」ネタも…
この映画、僕は素直にコメディ映画として楽しんだ。そういう観方もいいのだろう。「認知症の親の介護を考える映画」なんて言われたら、もしかしたら観ていなかったと思う。でも、コメディ映画として楽しめたから、介護についても考えられたのかな…
「ボケるのも、悪いことばかりではない」といった言葉を雄一が発する。その言葉を彼が言えるようになるまでには相当な苦労を重ねてきただろう。僕も同じような状況になった時、母にそんな言葉を言えるようになりたい。