踊る小児科医のblog

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新型コロナ:東京:「増加速度の鈍化」はほぼ間違いない。「ピークかピーク超え」はまだ判断しきれない

2020年07月25日 | 新型コロナ
いま観察しているのは、自然流行(無策放置=集団免疫戦略への説明なき方針転換)において、どのような要素がピーク超えに関わってくるのか、あるいは「恐怖論者」の言うように「恐怖の結末」が待っているのか。。

判断できない不確定要素が二つあります。
一つは東京都の検査対象者のポリシー(どこまで拡大しているのか)がはっきりと公表されていないこと。
もう一つは、国や都の無策に関わらず良識派・多数派の都民がどのように行動変容(いわゆる自粛)をきたしたのか、その影響が数字に表れてくるのかどうか、という点です。

検査数拡大状況と陽性率の推移については、別に述べたいと思いますが。。

先週末にFBで「今週で鈍化(はっきりしなかった)、次週でピークかピーク超え」と希望的観測も加えて書きました。


曜日毎のグラフでは、先週まではっきりしていたグループがばらけてきているので、全体の傾向が移り変わりつつあるのだろうと想定できます。


7日前との増減の棒グラフでは、はっきりとそうだとは言い切れないにせよ、ピークからなだらかに低下しているように(目を細めて見れば)見えると思います。


ずっと判断の基準にしてきた片対数グラフ(7日平均)では、見た目微妙に思えるかもしれませんが、先々週、先週の傾きから、今週の傾きまで徐々に緩やかになっていると読めます。これは、足かけ3〜4週の傾向を確かめた上での判断なので、ほぼ確実だろうと考えます。
(もし、この傾向から外れる動きが出てくれば、それにはそれなりの要因があるはずです。)


最も情報量が少ないのが、テレビや新聞に載っている線形グラフです。ある専門家が民放ニュース番組で、「多い人少ない日が上下しながら、全体として増加する傾向」と説明したのを唖然として聞いていました。
このグラフを見ているだけでは、その程度のことしか言えないのは仕方ないのでしょう。

曜日毎のグラフでは、先週まではっきりしていたグループがばらけてきているので、全体の傾向が移り変わりつつあるのだろうと想定できます。


7日前との増減の棒グラフでは、はっきりとそうだとは言い切れないにせよ、ピークからなだらかに低下しているように(目を細めて見れば)見えると思います。


ずっと判断の基準にしてきた片対数グラフ(7日平均)では、見た目微妙に思えるかもしれませんが、先々週、先週の傾きから、今週の傾きまで徐々に緩やかになっていると読めます。これは、足かけ3〜4週の傾向を確かめた上での判断なので、ほぼ確実だろうと考えます。
(もし、この傾向から外れる動きが出てくれば、それにはそれなりの要因があるはずです。)


最も情報量が少ないのが、テレビや新聞に載っている線形グラフです。ある専門家が民放ニュース番組で、「多い人少ない日が上下しながら、全体として増加する傾向」と説明したのを唖然として聞いていました。
このグラフを見ているだけでは、その程度のことしか言えないのは仕方ないのでしょう。

新型コロナ「経済と感染制御」ドイツは実効再生産数(Rt)=0.75を目指し、東京は数値目標を撤廃して感染拡大を放置した

2020年07月16日 | 新型コロナ
It is no use crying over spilt milk 覆水盆に返らず
高校に入ったときに最初に習った英語の格言の一つですが、もしかしたら本当の最初は Cool as a Cucumber だったか。。
いま思うと、どちらも単に英語を教えるだけでなく、何か心の片隅に残って、活かされていくことを期待していたのかもしれない。。(キュウリを食べると思い出します)

6月末にNHKで放映された2本の特集番組で、いずれもドイツの経済学者と感染症学者の共同研究が紹介されていました。
BS1スペシャル「新型コロナウイルス 世界は科学で闘った」2020年6月29日放送
NHKスペシャル「新型コロナウイルス 危機は繰り返されるのか」2020年7月2日放送


GDPの損失は、Rt=0.1(厳しいロックダウン)でもRt=1.0(感染持続)でもなく、Rt=0.75のときに最も少なく抑えられる。
これは、研究で用いられたシミュレーションを詳しく知らなくても、直感的に大体そのくらいだろうと予想できる結果です。

ところが、経済学者は、

「経済にとっては、再開が早いほど良いと考えていたので、Rtを1以上にして経済を回すべきだと考えていました」とおっしゃっている。
日本だけでなく、ドイツでも経済学者というものは、感染が再度拡大しながら経済再開を急ぐべきと考えていたことに、驚くというか呆れますが。。


感染症学者「感染制御と経済活動のどちらかだけを優先する必要はなく」

Rt=1(あるいはそれ以上)では、

経済学者「結果的に経済への打撃はさらに大きくなるのです」
という当然の結論に辿り着いています。
(ただし、実際にはドイツでもRt>1となって苦戦しているようですが)

「二兎を追う者は一兎をも得ず」ではなく、感染制御と経済活動は両立し得る。ただし、それはRt=0.75(感染は制御して緩やかな減少傾向にあること)が条件となります。

一方で、東京都では5月末から一貫して感染拡大が続いていたのに、東京アラートの50人を越えた途端に、自ら制定したルールそのものを変更して、目標数値を撤廃してしまいました。
試合の途中で負けそうになったからルールを変更するなどという、小さな子でもわかる愚策をとったわけであり、この過程には専門家も関与していたので、厳しく検証されるべきでしょう。

「news23」小川彩佳キャスター、東京都が新たな指標で数値目標撤廃に「ますます罹患するにしても、経済的損失も、自己責任に…」7/1(水) 7:10配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/2d79fdb2a3088a35d6813ebcce5ecb40f5db51e3

なお、実効再生産数(Rt)の速報値は、東洋経済ONLINEの「新型コロナウイルス国内感染の状況」に掲載されています。7/14現在、全国で1.42、東京で1.41ですが、7/15、7/16の新規陽性者数により、更に上昇しているはずです。
https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/

一方、小池都知事は「夜の街、若者、軽症」を繰り返し強調し続けましたが、別の番組で専門家は、

「東京なんですけど、夜の街に目がくらんでしまっていますが」


「実は夜の街から市中へのスピルオーバー(漏れ出すこと)を心配してた」
と懸念しています。
(この spill over で冒頭の格言を思い出したわけです)

これも当然のことで、専門家でなくても、多くの医療関係者は懸念を共有していました。
そして、それが今起きている「中高年」「一般の職場・学校」「地方都市」への拡散であり、この段階まで来ると抑え込みは不可能だと考えられます。
昨日(7/15)になって「感染拡大警報」などとパフォーマンスしてみても、遅すぎます。
It' Too Late
https://denihilo.com/carole-king/its-too-late


「新型コロナウイルスに世界は科学で戦った ドイツが見出した最適バランス、日本が選ぶべき指標は?」
「活用には、政策決定者のリテラシーが大切」
「世界は科学で戦った」の最後に、政策決定者のリテラシーが大切と強調されましたが、まさにそれが現実となっているのです。
すでに流行状況の把握が難しくなっています。
自衛しかありません。

6/19の移動全解除から2週後である7/3に124人、2日連続100人突破という時点で、都民の良識的多数派が再び行動自粛に戻り、自然にピークアウトしてくれることを期待したいのですが、すでに5月末から8週目に入っており、明日からの2日のデータで明暗は分かれると考えています。

なお、今後の流行状況については、「都内の最新感染動向」の中でPCR検査数と陽性率を見ていくことが一番の指標になります。また、再増加が明らかになっている入院患者数だけでなく、重症者数も底を打って反転傾向にあり、注意が必要です。
https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/

東京は指数関数的増加へ、7日平均55.1人。「検査数増加・重症者減少だから安心」説の問題を検証する

2020年07月01日 | 新型コロナ
東京は本日(6/30)の54人<前日比マイナス4人ではなく、前週同曜日比+23人>により、7日平均では6/22の31.6人から55.1人まで8日間で23.5人増加しています。
昨日掲載した2つのグラフに本日(6/30)のデータを入れて再掲してみます。

対数グラフ②

緑の点線(5/23-6/20)よりも保守的な水色の点線(5/23-6/25)に沿って直線的(=指数関数的)に増加しているように見えます。

線形グラフ①

緑の点線(5/23-6/20)から、この5日で上方に解離しつつあるように見えます。
今週の後半でこの傾向がどちらに傾くのか、決まってくるはずだと思います。

地方の迷惑<子どもたちの無意味な難行苦行や、各種スポーツ大会などの中止>を考えれば、頭打ちになって悪い予想が外れてくれることを願いたいのですが、今のところ良い材料はありません。
(本旨と外れますが細胞性免疫に関する重要なニュースがあり注目していますが)

本来は東京の人がきちんと検証していただけたらと思うのですが、「検査を拡大していて軽症・無症状者をピックアップしているだけで、重症者は減っているので何も問題ない」という説がはびこっているようです。

上記のグラフだけでもそれは否定できるのですが、東京都発表のデータで検証してみます。

検査実施件数


たぶん、私の目が悪いせいだと思いますが、5月上旬以降、飛躍的に検査件数が増加しているようには見受けられません。5月下旬に減少して再び増加しているのは、感染者数の増加に応じて検査件数が増えていることの反映だと考えられます。

PCR陽性率


ここでの陽性率は累積ではなく毎日毎日の値ですから(これも7日平均だったはず)、3%という値がどれほど異常か東京の人は認識しないといけません。5月下旬には、やっと1%を切るまで減少したのですが、このグラフをみてその差は感じられないかもしれません。
一番の問題は、検査数を増やしているから陽性者が増えているだけだというのなら、陽性率は不変か低下しているはずですが、きちんと上昇していることです。

重症者数


この指標だけが今のところ良い指標と言えるでしょう。新たな感染者の多くが若者で無症状や軽症者なら、今後も入院患者や重症者は増えないかもしれない。

ただし、それは希望的観測です。水面下での母集団が規制のないままに増えれば、再び制御不能な形で入院患者や重症者が増加してくることがないのかどうか、懸念されます。

入院患者数


このグラフではほとんどわかりませんが、6月下旬に増加傾向に転じたように見受けられます。毎日50人超の状況が続けば、

流行のレベル(試案)


(以下、作業中)

東京の百人復帰は7月上旬〜中旬か。地方は東京流入者対策を再強化へ。3月連休の緩み説は根拠なし。

2020年06月30日 | 新型コロナ
東京の増加傾向について、質の問題の議論は後で触れることにして、とりあえず数だけを論じてみます。
その前に、現在の日本の状況は、東京では実質的な集団免疫作戦(公式には否定しているが)、地方では水際作戦・封じ込め政策という矛盾する2つの政策が説明されないまま推し進められているという点を指摘しておく。

先週の段階で、5/23の底から6/20まで増加が4週間続き、日〜火で鈍化傾向が見えたので、ピークを超えつつあるとFacebookに書きましたが、あっさり覆されてしまいました。

本日(6/29)の感染者は58人、昨日(6/28)は60人ですが、これを前日比マイナス2人と読むのではなく、前週の同曜日と比べて昨日は+26人、本日は+29人という連日大幅増の状況にあり、どこでピークを越すのか見通せなくなってきました。


グラフ①は縦軸が線形表示(等間隔)で、メディアに出てくるものと同じですが、緑の点線の補助線についてはこの後に説明します。


グラフ②は縦軸を対数表示にした片対数グラフですが、かなり印象が違ってくるのではないかと思います。

ここで、緑の補助線を、どちらのグラフでも、増加局面に入る3/13〜3/20の1週間と、再増加の底の5/23〜6/20の4週間に合わせて引いてみました。

線形グラフ①だけをみると、3/13〜3/20の期間に、7日平均で2.7から7.4に増加しただけで、緑の補助線が示す通り、その後の指数関数的な増加を予測することは困難でした。

ところが、片対数グラフ②では、3/13〜3/20を結んだ緑の補助線は、4/11の7日平均149.9まで若干の上下はあれ、ほぼこの線に沿って推移していたことがわかります。

一方、問題の現在の局面では、線形グラフ①では5/23〜6/20の緑の線から上に逸れつつあるように見えるのに対し、片対数グラフ②では緑の線よりも低めに見積もった水色(5/23〜6/25)の点線に沿って増えつつあるように思われます。

片対数グラフ②で、百人に達するのは、7/5前後(緑=都知事選投票日前)から7/12前後(水色=都知事選投票日後)と予測できます。
無論、地方の立場からすると、東京の今の状況は心底迷惑でしかなく、予想が外れて頭打ち・減少に転じてくれることを願ってはいますが。。

なお、3月下旬の3連休の緩みが、4月1週目までの大爆発を引き起こしたという説があり、専門家会議の提言にも記載されていますが、グラフ②をみれば分かる通り、その連休と関わりなく一貫して増えており、根拠を見出すことができません。

いずれにせよ、現況では、東京からのビジネス客、帰省者、観光客などを「Go To キャンペーン」などで積極的に迎えるような状況とは遠く離れつつあるということです。東京目線での「経済再生との両立」は、「東京排除」という結論にしか結びつかないのです。(これは個人的な、あるいは医学的な見解ではなく、現在の社会状況を考慮したら辿り着く、当たり前の結論です。)

<前述の質の問題と、地方での受け止め方については、次に分けて書きたいと思います。グラフを6/30現在のものに入れ替えました。>

1週間早すぎた緊急事態宣言解除…火種はさっそく北九州市に飛び火

2020年05月27日 | 新型コロナ
東京では緊急事態宣言が1週間遅れたために医療崩壊寸前の危機に陥ったのに加えて、あと1週間待てば第一段階としての「収束宣言」を出せる(グラフ*の曲線が地べたまで到達する)ところまで来たのに、わざわざ火種を残したまま首相の独断で収束を宣言してしまいました。
(諮問会議には慎重意見もあったようですが、結論はあらかじめ決まっていた模様)


*【都道府県別】新型コロナウイルス感染者数のトラジェクトリー解析
札幌医科大学医学部 附属フロンティア医学研究所 ゲノム医科学部門
https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/japan_trajectory.html

いま、日本中で残りは東京23区と札幌だけなのですから、東京と北海道では宣言を継続しながら、知事の裁量で他の市町村は実質的に解除していけば良いだけの話で、最初から各都道府県の知事は自らの裁量で地域にあった柔軟な運用をすることがなかった。
(広い北海道の各地や、東京でも小笠原や奥多摩と都心を同じ規則で運用するなど最初からナンセンス)



この表は5/15に集計してFacebookに掲載したものの続きで、各国の「100万人あたりの累積死者数」の10日間の増加率を、日本人の人口に合わせて理解しやすいように「1億人あたり」に換算したものです。
代表的な国を選んだもので、全ての国の順位ではありません。(この順番は5/15時点での累積死者数)
緑が5/5-5/15、水色が5/15-5/25の10日間の平均です。

上位の欧米各国は、死者数の増加率が減速してはいるものの、1億人換算ではまだまだ想像もつかないほど多い。急増しているブラジルの問題が報道されていますが、英国やスウェーデンはそれよりまだ多い。
(どうしてみんな平気なんだろう)

問題はそこではなく、日本の死者数の増加率。
やっと「10人」を切ってきましたが、3月中旬までは1日2〜3人(実数)だったことを考えると、まだ多い。
韓国、オーストラリアに近い「2人」程度まで、あと半月以上はかかりそうです。

何が言いたいかというと、毎日相当数の死者が出ているということは、それに相応する多数の重症患者が医療機関で治療中だということを意味します。

人工呼吸器装着患者数なども出されるようになってきましたが、死者数の減少が毎日の指標となり、かつ、最終目標であったはずです。
緊急事態宣言の解除には、死者数の減少が必要不可欠であり、まだ早すぎた。

これまで書いたことをまとめると、
・新規患者数:全国で20人、東京で4人以下
・死者数:全国で2〜3人以下
が目標であり、前者はあと1週間程度、後者はまだ半月以上はかかりそうです。

(これもFacebook上に、目標として①全国100人、東京20人、②全国50人、東京10人、③全国20人、東京4人の3段階を挙げてきましたが、まだ②から③へ向かいつつある途中だったのです。)

この早すぎた1週間の火種がそのまま消えていってくれれば良いのですが、わざわざ禍根を残したと言えるでしょう。

早速、北九州市で感染源不明の感染者が連日発生していて、第二波の始まりが懸念されています。

新型コロナ感染続く北九州市 小倉城が再度休館へ
2020年5月27日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200527/k10012446831000.html
「26日まで4日連続で新型コロナウイルスに感染している人が確認され、合わせて14人にのぼっていますが、このうち13人の感染経路がわかっていません。」

また、東京都も24日以降、14人、8人、10人となり、前週の同曜日比で+9人、-2人、+5人と足踏みまたは反発の予兆がみられています。

「知事の失政」に戻ると、青森県の三村知事も同じで、昨日、八戸市の新八温泉、青森市の青森国際ホテルの破綻が伝えられましたが、青森県内では自粛や施設の休業要請などは必要のない、有害無益の政策でした。

4月上旬の時点で県内には市中感染はなく、持ち込み例も十和田の施設・院内感染を除けば封じ込めに成功しており、緊急事態宣言を受けて必要だったのは首都圏との往来をできるだけ絶つことの一点だけで、県民に対しては、県内における経済・社会活動を段階的に解除していく時期にありました。
この政権とこの県政下で、無論、そのような柔軟な運用を望むこと自体が間違いであることも承知の上なのですが。。

新型コロナ:リスク評価とかけ離れた各地の対策と一般の認識…現在の八戸(1千万分の1)は4月の東京(千分の1)の1万分の1

2020年05月26日 | 新型コロナ
感染症の流行レベル(リスク)とその対策というのは、今回の感染者数の推移でわかる通り、指数関数的に上下します。その感覚というのが、政府やメディアだけでなく(というか、政府やメディアのせいで)、一般の方には全く伝わっていないということを痛感しています。

誰もこういった議論をしてくれないので、わかりやすいように次の5段階で考えてみました。

◆ リスクのレベル(試案)
レベル5:千分の1(10*-3) 0.1%
レベル4:1万分の1(10*-4) 0.01%
レベル3:10万分の1(10*-5) 0.001%
レベル2:100万分の1(10*-6) 0.0001%
レベル1:1000万分の1(10*-7) 0.00001%

3月末の東京はレベル5で、現在の東京はレベル3を切ってレベル2に届くかどうか。
八戸は3月末でもレベル2で、現在は東北・新潟の7県だけでなく全国のほとんどの地域でレベル1に相当すると考えます。
(上記のレベル区分や評価は仮説であり、定量的な裏付けまではありませんが、大きくは外れていないはずです。1年後に思い出したら再評価してみます。)

3月末の東京では一時に1万人くらい無症候者も含めた感染者がいたと考えてもおかしくない。
1万/1千万=千分の1なのでレベル5。

現在はおそらく2桁以上は下がって百人〜数十人程度になっているとすると、レベル3からレベル2に向かうところと推測します。

八戸では一貫して市中感染は発生しなかったけれど、3月末には東京からの移入例がいる可能性があったので、レベル2からレベル3に上がらないか注意深くみてきましたが、無事封じ込めに成功して、4月上旬から青森県内では新規感染者ゼロ(十和田の院内感染・家族感染を除く)が続いているので、現在はレベル1に相当するのではないかと考えます。

レベル1の「0.00001%(1千万分の1)のリスク」と言われても、私も含めて普通の人はどれくらい小さいか頭の中で測れないので、考えに入れないと思います。

例えば、予防接種後の重大な副反応として想定するのはレベル2の百万分の1より小さいことが一つの基準になります(これより高いリスクのワクチン=年間百万人生まれる赤ちゃんの1人以上=は許容されないということです)。このくらいの数字になると、たまたま接種後の時期に重なって乳幼児突然死症候群(SIDS)などで亡くなる赤ちゃん(年間百例前後)がいても不思議ではないので、そういったケースも紛れ込み事故として救済制度の対象になります。それを含めたのが、予防接種の副反応の重大事例の数字なのです。

交通事故死はかつて年間1万人発生していたので、1万分の1でレベル4に相当します。
なので、当然対策が必要となり、自動車の改良、交通ルールの徹底や厳罰化、道路・交差点の改良などにより桁が一つ下がってきましたが、まだ年間千人(レベル3)までには達していません。

ただし、運転者、歩行者、自転車などがリスクを意識して行動すること(行動変容)により、リスクのレベルは二桁くらい下げることができます。

ここに書いた新型コロナにおける数字は、そのリスク(確率)で感染者に接触するという意味で、同じように三密回避などの「行動変容」によって感染する可能性は相当に低くすることができます。

更に、もし感染したとしても、伝えられている死亡率(致死率)4%は診断がついた有症状者や接触者を分母とする数字ですから、無症候者を含む実質的な死亡率は0.1%(千分の1)のレベルになるはずです。(当初の予想の範囲内)

上記の1千万分の1に、更に千分の1を掛けると、もう数字上の遊びでしかなくなる。(100億分の1?)

更に更に、この4%という致死率は、0歳から80歳以上まで含めて平均化した数字で、20歳未満の死亡は日本ではゼロです。

では、八戸の子どものリスクは?
もう考えるのがアホらしくなってきたでしょう。

(追記)もし八戸のリスクレベルが上がってくる気配があれば、いち早くアラートを出すアンテナは張っています。

新型コロナ:十和田中央病院、陽性3名(合計4名)、陰性58名:東北新潟7県346名死亡ゼロ

2020年05月01日 | 新型コロナ
①家族を含めた接触者で感染が広がっていない
②感染者は看護師4名に限られた
③元の入院患者は重症化していない高齢者が主
④青森県内では26名中死者も重症者もゼロ
⑤東北6県+新潟の346名の中でも死者ゼロ

検査人数が混乱しましたが、最初の看護師の接触者(夫を含む)と陽性となった3名の家族を含めて、合計61名にPCR検査をして、3名陽性(合計4名)、残りの58名は陰性ということで、とりあえずここで一段落。

現在、県内の陽性者26名のうち15名が退院して、11名が入院中。入院者の詳細は公表されていませんが、新たな看護師4名と、十和田の施設の入居者6名職員3名(合計9名)のうちの7名だろうと推察されます。

ポイントは、クラスター研究班の見解と同じく、この4名は家族にも感染させていないことと、感染者4名いずれもが患者に直接看護している看護師に限られたこと。

これまで、高齢者ほどウイルス排出が多いという報告が出てきており、介護を要する高齢者は、重症化していなくても看護スタッフへの感染リスクが高い。

介護を要する高齢軽症者を中核病院の感染症病棟に長期間入院させておくことそのものについて、議論が必要かと思われます。

また、全国で院内感染は多発しているが、医療スタッフが重症化したり死亡したりするケースはまだ報告されていません。今回の4名もおそらく大丈夫だと思われます。早期の回復を願います。

PCR陽性率をずっとチェックしてきたが、今回の62名を加えても、3.9%のままで上昇しなかった。十和田の施設・院内感染を除けば、依然として青森県では市中感染は起きていないものと推測される。
(GW中の帰省者などに注意が必要だが)


また、県内26名だけでなく、東北6県+新潟の7県346名で死者ゼロが続いている(4/30現在)。これは偶然や幸運だけなのか、医療機能に余力が残っているからなのか、要因はわからない。


他地域の致死率は、北海道 3.78%、埼玉 4.01%、東京 2.89%、全国 3.16%であり、もし7県で1名発生しても0.29%なので、これだけ明らかな致死率の地域差は問題の一つとして考えた方が良いのかもしれない。
(ウイルスの型の違いなども考慮)

新型コロナ:玉川徹・岡田晴恵の初歩的なミスは「傾向を見る」という基本作業を怠った証左:東京都曜日別陽性者数グラフ

2020年04月30日 | 新型コロナ
説明不要、グラフが全てを物語っています。(4/30(木)は水曜の赤に重なっていて見えませんが前週から半減以下です)


玉川・岡田のあり得ないミスは、26日(日)の72人(水色)にイチャモンをつけようとして発生したものだが、曜日別グラフでその前の金土の減少傾向を見ていれば、日曜の72人が何の不思議でもない流れだと簡単に理解できること。

玉川氏は原発報道の際に政府・御用学者らの言説に対してオルタナティブな学者の主張を伝えて信頼できると判断していたのだが、今回の新型コロナで馬脚を現したと言える。岡田氏については直接見聞きしたこともないのでコメントはしません。

『モーニングショー』玉川徹がスクープ?翌日一転して謝罪(番組訂正を受けた追記あり)
https://news.yahoo.co.jp/byline/mizushimahiroaki/20200428-00175678/

新型コロナ「ドイツやスウェーデンから日本は何を学ぶべきか」

2020年04月28日 | 新型コロナ
規模の違う国は人口あたりで揃えないと比較はできません。今回、日本の人口に合わせて「1億人あたり」にしてみました。この数字の違いを理解した上で、現状と今後の手綱の引き方緩め方について議論すべき。
(数字はロイターより、4/27現在)


◎ドイツは世界でもトップクラスの感染者数(日本の16倍)、死者数(21倍)を出しながら、医療崩壊を起こさずに乗り切ったと自負して、段階的な封鎖解除に移る。

◎スウェーデンは封鎖をしない独自政策で、ドイツの3倍、日本の70倍もの死者数を積み上げながら、来月には集団免疫が得られる見込みとして、政府も国民も平気な顔をしている。日本人にはこのような考え方や対応ができるだろうか。

◎日本の感染者数、死者数が韓国を超えた(大変だ)というテレビ番組の画面をネットで見たが、韓国の人口は日本の4割程度しかないのに単純に数字で比べるという愚(あるいは意図的な誘導操作)。

 確かに、韓国は最初の感染者・死者数の拡大がその後は抑えられているが、初期の拡大検査は死者数増加抑制に寄与したとは言えず、長期間に渡って封鎖と国民監視・行動制限を続けてきたことが最大の要因だと思う。

◎日本は、3ヶ月以上にわたり、諸外国に比べると感染拡大のスピードを抑えられてきたが、長年の医療費抑制政策を行ってきたために、特に東京・大阪・埼玉などでは感染症爆発に対する余力は元々なく、現状の医療崩壊から回復させるためには、大都市を中心とした流行地域の手は緩められない。

 ただし、大都市圏と地方都市、更に山間部などとのリスク格差は数字で二桁以上あるものと考えられ、都道府県単位だけでなく、市町村単位での緩和や厳格化などの制御が長期戦にあたって絶対的に必要。

新型コロナ:青森県は新規感染者ゼロ2週間で「非流行地域宣言」へ。奥羽越後列藩同盟の独立可能性を考える

2020年04月25日 | 新型コロナ
感染症の対策というのは流行のフェーズに応じて厳しくしたり緩めたりする絶妙な差配が必要になります。
青森県の政策のうち何が現実に適合して、どれが現実に反したものだったか、この嵐が過ぎ去った後に厳しく問われなければなりません。



3/30五所川原(管内)、4/3八戸、4/9青森、4/11十和田(実質的には4/10)から、八戸では3週間、十和田でも4/25には2週間が過ぎ、接触者の観察期間も終了します。
青森県内では市中感染の発生は元々なく、移入例の影響も無くなったので、3月までの「非流行地域」に戻ったと宣言することができます。
(無症状の感染者がゼロと言うことまではできませんが)

感染者22名のうち退院したのは14名で、8名はまだ入院中なので「ウイルス保有者がゼロ」とまでは行きませんが、幸い重症者もなく経過しているようです(詳細は公表されていません)。

東京の感染拡大が地方に飛び火していた状況で、青森県内でも一時危ぶまれながら、ここまで抑え込むことができたのは、
1)各地域の保健所スタッフの奮闘
2)基幹病院における適切な治療と院内感染防止の努力
があったことを認識し感謝しなくてはいけません。

一方、東北6県および新潟県の状況を見てみると、南東北3県+新潟と、感染者ゼロの岩手県を含む北東北3県との差は出てきたものの、合計人口1千万人超で感染者は三百数十名(全国で1万3千人)、死者数ゼロという記録を続けています。

欧州でも1千万人規模の小国はありますが、感染者三百人、死者ゼロという国はないはずです。

後段の「奥羽越後列藩同盟独立」については、次に書きたいと思います。

八戸市「津波26m」:八戸ジャンクションが災害救援道としてのネックに(第2ジャンクションと簡易代替案は提示されている)

2020年04月23日 | 東日本大震災・原発事故
今朝(4/22)の新聞のトップ記事は、久しぶりに新型コロナ関連ではなく、昨日発表された「津波26m」。
(別の面に新型コロナとの複合災害について書かれているので、関連がないわけではありませんが)

八戸市の中心街(城下町)は、川と池(堤)と低湿地に三方囲まれて外堀の役割を果たしている台地で、更に馬淵川と新井田川が北と南を分断しているので、戦国時代に攻めるとしたら、攻め手は「上り街道」(南郷・軽米・二戸から盛岡に至る)しかない。(実際には、江戸時代になってから城と街が作られたので、戦場になったことはありませんが。)


ただし、その守りに強い造りが災いして、市内の低地全域が浸水するような大規模な津波被害が起きたら、橋や低地の道路が通行できず、高速道路が救援や避難、物資輸送などの大動脈となる可能性が高い。そこで問題になるのは、

1)八戸ジャンクションをハーフジャンクションにしたのは、災害対応を考えると失敗だった。市内に入るルートは盛岡→八戸インター→白山台大橋がメインになるが、青森方面(北インター)や久慈方面(南・是川インター)から中心街に入るルートが途絶するかもしれない。
(是川中の橋まで遡上すれば大丈夫かもしれないが)

→南郷インターまで戻って乗り換えるしかないかと思っていたら、ちゃんと考えている人がいらっしゃいました。第2ジャンクションの計画(←有名無実化)だけでなく、Uターンする連結路をつくるという簡易版も提案しています。おそらくプロの方だと思いますが、素晴らしいアイデアです。

◎八戸ジャンクション(青森)のフル・ジャンクション化について(みちのく案内標識よもやま話)
2020.01.12
http://annnai.blog100.fc2.com/blog-category-62.html

2)八戸駅の東北新幹線ホームはどうして2階ではなく1階に作ってしまったのか。
(今回のマップでは黄色か緑色、ギリギリか)
北陸新幹線が洪水で水に浸かったのを見てから、疑問に思っていたのですが。
(トンネルから近いからというのも理由にならないし、他の駅はみんな高架なのに、意味がわかりません。)

3)市民病院や消防署、ヘリポート、出来たばかりの保健センターなどが集まる田向地区も、以前の津波マップではギリギリ大丈夫だったのが、今回は2-5m(ピンク)の浸水域に入る。集中立地は危険だと、計画段階で一応意見は出したのですが。。(ただのアリバイ作りでしかありません)


「新型コロナと原発における科学リテラシー」

2020年04月21日 | 新型コロナ
 現在の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)流行において、専門家会議は「8割は誰にも感染させず、2割が密閉・密集・密接の三密環境で感染させている」という分析から、都市封鎖を行わずにクラスター対策と三密回避の行動変容を求める対策を提言してきた。実際に、青森県内の感染者は4月20日現在22人で、感染拡大は抑えられており、移入例への対策として今後も機能し続ける可能性が高い。

 一方で、本来なら成り立たないはずの「PCR拡大論争」が一部で続いているが、対策の主な目的は流行拡大のスピードを抑えてピークを後ろにずらし、結果的に死者数およびその増加スピードを抑えることにある。検査数によって左右される感染者数や致死率は指標にはなり得ない。実際に、検査を拡大して致死率を下げたと評価されている韓国やドイツと比較してみると、人口あたりの死者数および増加スピードは両国の方が上回っており、致死率も日本と逆転している。日本の致死率の再上昇に注意は必要だが、人口あたりの死者数は韓国のレベルに達しない可能性が高い。


 PCR検査は必要な患者に実施できる体制が求められているだけで、過度に拡大すれば、偽陰性(感度70%の場合3割)の存在だけでなく、陽性的中率の低下も問題となる。特異度99%で事前確率が0.1%の場合、陽性者の9割は偽陽性となる。PCR陽性率は市中感染の指標にもなり、青森県の4%台は適正範囲だが、東京の40%台は検査不足と言える。

 放射線被曝に対する立場との2軸で図示を試みてみた。この4象限に含まれる集団の性向は未整理の段階であり、ご批判を賜りたい。


 コロナ禍で分断が深まるのかどうか、ポストコロナの世界を論ずるのはまだ早いが、ポスト核燃として考えてきた地域分散・循環型社会、環境・生態系との共生、社会的資本としての医療などの動きを加速させるはずだ。

「4/1の専門家会議提言を読み直す」流行地域の3区分:一斉休校はレベル3のみ「選択肢として検討」、青森県はレベル2→1、八戸市は2週ゼロで非流行地域宣言

2020年04月19日 | 新型コロナ
緊急事態宣言が全国に拡大されたところで、その前提となっている4月1日の「状況分析・提言」について、Facebookに掲載した抜粋版に見出しを追加し、矢印(→)でコメントを加えてみます。
後述のように、八戸市は4/17で新規感染者ゼロ2週間となり、非流行地域宣言を出して対策の一部緩和をすべきフェーズであり、緊急事態宣言拡大を受けてあわてて緊縮するのは提言と全く逆の政策と言えます。
被害者は子どもたちです。

「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020年4月1日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000617992.pdf

<用語の定義と現状分析>
オーバーシュート: 欧米で見られるように、爆発的な患者数の増加のことを指すが、2〜3 日で累積患者数が倍増する程度のスピードが継続して認められるものを指す。異常なスピードでの患者数増加が見込まれるため、一定期間の不要不急の外出自粛や移動の制限(いわゆるロックダウンに類する措置)を含む速やかな対策を必要とする。なお、3 月21〜30 日までの10 日間における東京都の確定日別患者数では、2.5 日毎に倍増しているが、院内感染やリンクが追えている患者が多く含まれている状況にあり、これが一過性な傾向なのかを含め、継続的に注視していく必要がある。
〇 以上の状況から、我が国では、今のところ諸外国のような、オーバーシュート(爆発的患者急増)は見られていないが、都市部を中心にクラスター感染が次々と報告され、感染者数が急増している。そうした中、医療供給体制が逼迫しつつある地域が出てきており医療供給体制の強化が喫緊の課題となっている。
〇 いわゆる「医療崩壊」は、オーバーシュートが生じてから起こるものと解される向きもある。しかし、新規感染者数が急増し、クラスター感染が頻繁に報告されている現状を考えれば、爆発的感染が起こる前に医療供給体制の限度を超える負担がかかり医療現場が機能不全に陥ることが予想される。

→指数関数的増加の程度の指標である「k値」を見ると、4/16には東京 0.061、全国 0.058、青森 0.000 であり、7日で倍増するk=0.1を下回っているため、「2〜3 日で累積患者数が倍増」する状況ではなく、「今のところ…オーバーシュートは見られていない」という分析は現在もあてはまる。4/8の緊急事態宣言の効果が出る前の4/12頃から鈍化傾向が見られている。この先、1週間の推移とその判断が最も重要になるでしょう。

→ただし、「医療崩壊」についてはここで予想された通り「爆発的感染が起こる前に医療供給体制の限度を超える負担がかかり医療現場が機能不全に陥る」状況になっており、東京を中心とした地域は更なる抑え込みによる新規患者数の減少を目指さないといけません。

<学校と子ども>
 なお、現時点の知見では、子どもは地域において感染拡大の役割をほとんど果たしてはいないと考えられている。したがって、学校については、地域や生活圏ごとのまん延の状況を踏まえていくことが重要である。また、子どもに関する新たな知見が得られた場合には、適宜、学校に関する対応を見直していくものとする。

→「子どもは地域において感染拡大の役割をほとんど果たしてはいない」ことは、国内の子どもの感染例のほぼ全てが大人から子どもへの感染であることからも確かめられています。

<流行のレベルに応じた地域の3区分と対応策>

①「感染拡大警戒地域」→「レベル3」と独自に表記します
 直近1週間の新規感染者数やリンクなしの感染者数が、その1週間前と比較して大幅な増加が確認されているが、オーバーシュート(p4脚注=上記=参照。爆発的患者急増)と呼べるほどの状況には至っていない。また、直近1週間の帰国者・接触者外来の受診者についても、その1週間前と比較して一定以上の増加基調が確認される。
[想定される対応]
 オーバーシュート(爆発的患者急増)を生じさせないよう最大限取り組んでいく観点から、「3つの条件が同時に重なる場」(以下「3つの密」という。)を避けるための取組(行動変容)を、より強く徹底していただく必要がある。
〇例えば、自治体首長から以下のような行動制限メッセージ等を発信するとともに、市民がそれを守るとともに、市民相互に啓発しあうことなどが期待される。
・期間を明確にした外出自粛要請、
・地域レベルであっても、10名以上が集まる集会・イベントへの参加を避けること、
・家族以外の多人数での会食などは行わないこと、
・具体的に集団感染が生じた事例を踏まえた、注意喚起の徹底。
〇また、こうした地域においては、その地域内の学校の一斉臨時休業も選択肢として検討すべきである。

→「地域内の学校の一斉臨時休業も選択肢として検討」はレベル3の地域にだけ記載されている。「地域内…一斉臨時休業…選択肢として」という意味は、そこまで行かない「学級閉鎖」や「1校のみの休校」なども選択肢としてあり得ると想定してるのだろう。「学級閉鎖」や「1校のみの休校」は他のレベルの地域でも子どもや教師に感染者が発生した場合にはとり得る選択肢と考えられます。

②「感染確認地域」→「レベル2」と表記
 直近1週間の新規感染者数やリンクなしの感染者数が、その1週間前と比較して一定程度の増加幅に収まっており、帰国者・接触者外来の受診者数についてもあまり増加していない状況にある地域(①でも③でもない地域)
[想定される対応]
・人の集まるイベントや「3つの密」を徹底的に回避する対策をしたうえで、感染拡大のリスクの低い活動については、実施する。
・具体的には、屋内で50名以上が集まる集会・イベントへの参加は控えること。
・また、一定程度に収まっているように見えても、感染拡大の兆しが見られた場合には、感染拡大のリスクの低い活動も含めて対応を更に検討していくことが求められる。

→このレベル2に相当する地域がどこまでなのか、緊急事態宣言が全国に拡大された現在「一定程度の増加幅に収まっており」「①でも③でもない地域」が不明確になっています。先行7都県+追加の6道府県はレベル3で、岩手県がレベル1であることは確かですが、東北6県でも危険水域に入ってきている南東北3県はレベル2→3と考えられ、青森県と秋田県はレベル2に踏みとどまっており、青森県は4/18で感染ゼロ1週間なのでレベル1への格下げが可能です。八戸市は4/17で感染ゼロ2週間となり「非流行地域」宣言を発することが出来るはずでした
「4/10→4/17の100万人あたりの感染者数」
 山形 29.58 → 50.09
 宮城 15.61 → 32.52
 福島 17.88 → 26.54
 秋田 11.39 → 16.52
 青森 11.24 → 17.66

③「感染未確認地域」→「レベル1」と表記
 直近の直近の1週間において、感染者が確認されていない地域(海外帰国の輸入例は除く。直近の1週間においてリンクなしの感染者数もなし)
[想定される対応]
・屋外でのスポーツやスポーツ観戦、文化・芸術施設の利用、参加者が特定された地域イベントなどについては、適切な感染症対策を講じたうえで、それらのリスクの判断を行い、感染拡大のリスクの低い活動については注意をしながら実施する。
・また、その場合であっても、急激な感染拡大への備えと、「3つの密」を徹底的に回避する対策は不可欠。いつ感染が広がるかわからない状況のため、常に最新情報を取り入れた啓発を継続してもらいたい。

→八戸市が再度戻ることができたレベル1では、注意深い監視体制の元にリスクの低い活動が可能なフェーズに入ってきています。徹底した流入者対策により維持が可能な段階であり、変動に応じて緩急をつけて長期間制御していく必要があります。

<終わりに>
〇 世界各国で、「ロックダウン」が講じられる中、市民の行動変容とクラスターの早期発見・早期対応に力点を置いた日本の取組「日本 モデル」)に世界の注目が集まっている。実際に、中国湖北省を発端とした第1波に対する対応としては、適切に対応してきたと考える 。
〇 一方で、世界的なパンデミックが拡大する中で、我が国でも都市部を中心にクラスター感染が次々と発生し急速に感染の拡大がみられている。このため、政府・各自治体には今まで以上の強い対応を求めたい。
〇 これまでも、多くの市民の皆様が、自発的な行動自粛に取り組んでいただいているが、が、法律で義務化されていなくとも、3つの密が重なる場を徹底して避けるなど、社会を構成する一員として自分、そして社会を守るために、それぞれが役割を果たしていこう。

→流行の段階に応じて、「クラスター対策+三密遮断」に加えて行動制限を強めたり弱めたりする必要があり、東京では更に強い制限が必要だと考えられますが、地方ではフェーズに応じた対策が求められます。

<菅官房長官見解;地域区分は市町村単位で>
菅官房長官は、「感染拡大警戒地域」など3つに区分することについて、区分は最も小さい単位で市区町村ごとになるという見通しを示しました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200402/k10012364001000.html

100万人あたりの感染者数・死者数とその増加率、致死率の「伊米独韓日」比較(4/5現在)

2020年04月06日 | 新型コロナ
特に東京などの感染拡大傾向について懸念される状況にあり、前回と同じく札幌医大のサイトを利用して、予告していた2週間を待たずに5日目で比較してみました。
(今回から1日あたりの増加も追加)



人口あたりの感染者数の1日あたりの増加数は、3月下旬まで韓国よりも少なく抑えられていましたが、4月に入って韓国より多くなりました。

グラフを見ても、4月に入ってから各国に近い傾きになってきています。
ドイツ、米国とは桁が違い、両国とも4月に入って更に拡大しています。


米独韓は検査数が多くて致死率が低く抑えられているという主張があり、3月中は実際に日本よりも低かったのですが、米国はすでに日本を上回っており、ドイツの増加ペースをみると、早晩日本より高くなりそうです。

一方、日本では感染者数は急増局面に入ってきたものの、死者数の増加はまだ以前と変わらず抑えられており、結果的に致死率は唯一低下しています。


おそらく、感染者数の増加と医療逼迫の状況により、死者数の増加ペースも遅れて上昇してくるものと考えられます。その意味でも緊急事態宣言は必要であり、局面が変わった4月1日に実施して移動による拡散を抑えるべきでした。

東京の増加ペースの頭を潰して(squash)、人の移動を最小限にすることにより、地方への拡散リスクも小さくすることがまだ可能なはずです。


新型コロナ「ドイツ・韓国は検査増で致死率を抑制」の誤り→人口あたりの死者数グラフで一目瞭然

2020年03月31日 | 新型コロナ
新型コロナ対策の目標は死者数およびその増加スピードを最低限に抑えることであり、コントロールの指標は、検査数によって左右される「感染者数」を分母とした「致死率 CFR: case fatality rate」ではなく、人口あたりの死者数で比較しないとわかりません。

当初、自分で表計算シートに入れて比較していたのですが、作業が追いつかなくなっていたところで、青森大学の櫛引教授から札幌医大のサイトを紹介していただきました。
100万人あたりの死者数がグラフ化されています。(縦軸は対数目盛)

人口あたりの新型コロナウイルス死者数の推移(国別)
札幌医科大学ゲノム医科学部門
https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/death.html


画像は3月30日現在のスクリーンショットですが、イタリア、米国、ドイツなど、ほとんどの国は右上方に向かって同じような角度で増加している一方で、日本(下の方のオレンジ色)は、他の国にどんどん追い抜かれながら、死者数の増加スピードが抑えられていることがわかります。
韓国(中位にあるオレンジ色)も、日本と同じような角度に抑えられているように見えますが、桁が一つ上の範囲での推移ですから実際の差は開いています。

グラフの各点にカーソルを当てると、その日の数字が表示されるので、主要国の実数を表に入れてみました。


この数字を見ればすぐにわかるように、米国、ドイツ、韓国とも、致死率は日本よりも低くなっていますが、実際の指標である「人口あたりの死者数」の増加数(ピンク色)は、日本の6倍(韓国)、20倍(ドイツ)、28倍(米国)もあります。
(イタリアは日本の594倍となりますが、今回は比較対象にはしません)

これは、実際には感染爆発と死者の急増が起きているにも関わらず、検査数の増加により感染者数(分母)が死者数に対して相対的に大きくなっているからだと考えられます。

「検査数を増やしたから致死率を抑えられている」のではなく、三角形の底辺に近い軽症者や無症状者を多数検出することと、頂点にある死者数の増加スピードを抑えることとは関連がないように思えます。
(これだけで「逆効果である」とまでは言えないと思いますが。)

ただし、日本の増加の角度が抑えられてきたのはこれまでの話であり、これから先に他国と同じような角度に移っていくのか、それなりの範囲で推移するのかは、主に首都圏や大都市圏での流行拡大と地方への波及に対する対策(大都市圏における行動制限と地方における移入者対策の強化)によって決まってくるはずです。
この先の2週間が、その後の傾向について判断できるポイントになってくるでしょう。