踊る小児科医のblog

青森県八戸市 くば小児科クリニック 感染症 予防接種 禁煙 核燃・原発

福島県の甲状腺がん「2巡目で1例確定が大事件なのか」を考えてみる

2015年02月15日 | 東日本大震災・原発事故
まず、だいぶ前に確認した事項。細胞診での甲状腺がん「疑い」例というのは、まず全例「甲状腺がん」だと考えて間違いない。
だから、前回「疑い」4人から、今回「確定」1人+「疑い」7人になったことについては、現象として新しい事件や発見があったわけではない。問題は数字の比較。

この作業は好んでやっているわけではないけど、誰もやらないので自分で確認するしかない。
できるだけ簡単に。。
(多分今回もわからないことはわからないという結論になるとは思うが)


(表は右クリックまたはcontrol+クリック(Mac)で別ウインドウまたはタブに拡大表示してください)

数字で確認。
表の一番上、切れてるけど「合計」の欄が、2014年12月時点での「先行調査」。
赤く塗りつぶした「有病率」(スクリーニング効果を考慮しない数字)が比較する数字。

2014年12月が10万人あたり36.4人、今回(2015年2月)は36.5人。
甲状腺がんの確定例が84人から86人に増えて、「確定+疑い」は108人から109人に増えた。
このあたりは、今後も疑い→確定例が増えるとは思うが、全体としてはあまり変わらない。
これをベースとしてみる。
(それが妥当かどうかは別として)

問題の2巡目の「本格調査」。
一次受診者は8万人から10万人に増えて、BC判定、二次受診者、細胞診実施者もそれぞれ増えて、結果として、甲状腺がんは「疑い4人」から「確定1人+疑い7人」に増えた。

赤い部分の有病率(一次受診者を分母として10万人あたり何人になるかという単純計算)は、
2014年12月 4.9人
2015年2月 7.5人
と増えているように見える。

欄外の数字は、一次判定確定者を分母として、BC判定者中の二次受診者の割合を掛けた数字、だったはず。
12.2→17.2 これも増加。

水色の、二次受診者中の割合でも、
2014年12月 1.6%
2015年2月 2.1%
と微増傾向に見える。

スクリーニング効果の復習。
先行調査が「10年分をかき集めた」結果なら、発症率は計算上の有病率の1/10になり、3.6人/10万人となる。
これでもベラルーシの90年代半ばに相当する数字であるというのが懸念材料。

先行調査が10年分かき集めて、その後増加していないなら、本格調査はその1/10になるはず。

実際には、
先行調査 36.5人/10万人
本格調査 7.5人/10万人(まだ未確定の数字)

1/10はとっくに超えている。1/5かそれ以上。

これをどう解釈していいのか、まだわかりません。
「先行調査も多発、本格調査も多発」というのがキケン派の主張。

「先行調査」が「スクリーニング効果10年分」としても「多発である」と仮定する。
そうすると、「本格調査」では「先行調査のスクリーニング効果10年分」より上回って更に多発だという論理になる。
これは数字ではそうなっている。

「先行調査」は「スクリーニング効果10年分」なので「多発ではない」という医大や県の判断で考えると、
「本格調査」では「先行調査のスクリーニング効果10年分」より上回っているので、
「先行調査」の甲状腺がんは原発事故の影響じゃないが、
「本格調査」の甲状腺がんは原発事故の影響の可能性が考えられる、
と言うことができる。
(県や医大は相変わらず先行調査での「見逃し」と主張してるが)

ここで、資料の中で見てもわけのわからない表を、ざっくりまとめて単純化してみた。


今回BC判定だった611人のうち、
147人は先行調査でもBC判定
441人は先行調査ではA判定 *1

逆に、先行調査でBC判定だった261人のうち、
147人は本格調査でもBC判定
114人は本格調査ではA判定になっている *2

*2の114人は、小さくなったのかもしれないし、先行調査で過大評価だったのかもしれない。
*1の441人は、大きくなったのかもしれないし、先行調査で過少評価(見逃し)だったのかもしれない。

これはいずれも当然起こり得るもの。
ただし、*1の441人が全て見逃しだったと考えるのは全く科学的ではない。

今回の8例のうち、どれが見逃しで、どれが2年~3年のうちに増大したのかは判断できないけれども、全例見逃しであると考えること自体は間違いと断定できる。

今回も結論はわかりません。
少なくとも2巡目のデータが出揃うまでは。

増えている可能性は、当然あると思いますが。

福島の甲状腺がん 2巡目で4人 発症率1.9~4.9人/10万人(2.5年分) ベラルーシ95年に相当

2014年12月27日 | 東日本大震災・原発事故
恒例の福島の甲状腺がん検診の解析。新聞も検討会のPDFも「増えた増えた」というブログを見ても何もわからないので、こればっかりは自分でやるしかない。

第17 回福島県「県民健康調査」検討委員会(平成26年12月25日開催)
http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045b/kenkocyosa-kentoiinkai-17.html
資料3-1 県民健康調査「甲状腺検査(先行検査)」結果概要【暫定版】 [PDFファイル/913KB]
http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/96850.pdf
資料3-2 県民健康調査「甲状腺検査(本格検査)」実施状況 [PDFファイル/842KB]
http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/96851.pdf

先行調査の結果も変わっているが、最後の表にまとめて記載します。
資料3-2のPDFから結果のスクリーンショット




この表だけではわかりにくいので、これまでと同じ一つの表にまとめまて比較してみました。


● 先行調査(2011-2013)
甲状腺がん
2014年8月発表 確定57+疑い46=103人
2014年12月発表 確定84+疑い24=108人
(確定 +27人、疑い -22人、合計 +5人)

有病率 34.8人 → 36.4人/10万人
(確定+疑い)

● 本格調査(2014-2015)
対象者数 216,669人 (今年度分)
一次受診者 82,101人(37.9%)
結果判定者 60,505人(73.7%)
B判定 457人
二次受診者 248人(54.3%)
細胞診 11人
甲状腺がん疑い 4人(手術 0人)

(A) 発症率(一次受診者に対する割合)=
 (4/82,101)×10万=4.87人/10万人

(B) 一次の結果判定率×二次受診率=
 (60,505/82,101)×(248/457)

一次受診者数あたりの発症率(推計)
 (A) / (B)=(4/82,101)×(82,101/60,505)×(457/248)×10万=12.2人/10万人

 (追記)二次検診の確定率62.5%はこの計算では考慮していません。
  二次検診以降はその時点での程度に応じて生検、手術の選択がなされているはずだからです。
  結果的に、ここでみた推計値よりも頻度が高くなる可能性はあります。

発症率
本格調査(今回発表)4.9~12.2人/10万人
(前回検査から2.5年分として、1.9~4.9人/10万人)

先行調査では、有病率 108/296,586=36.4人/10万人
発症率は、スクリーニング効果を
 10年分として 3.6人/10万人
 5年分として 7.3人
 3年分として 12.1人

ここで何度も比較してきたベラルーシのグラフを見直してみる。


発症率
小児(0-14歳)のピークは1995年の4.0人/10万人
思春期(15-18歳)のピークは2001年の11.3人
若年成人(19-34歳)は2002年が6.9人で増加中(現在のデータは不明)

これと、
本格調査(今回発表)4.9~12.2人/10万人
(または、2.5年分として、1.9~4.9人/10万人)
先行調査 3.6人~12.1人(スクリーニング効果10年分~3年分)
という数字を比較してみる。

スクリーニング効果はあれほど叫び続けていたものだから、たった3年分ということはないだろう。ベースラインとするなら10年分が最低限。今回のデータも2.5年分で割った数字を採用すると、

先行調査 3.6人(2011-2013)
本格調査 1.9人~4.9人(2014) …事故後3年半
ベラルーシ
 1990年 1.2人(小児) …事故後4年
 1995年 1.4人(若年成人)~4.0人(小児) …事故後9年

ベースライン(1~3年目)も高く、今回の数字ですでにベラルーシの事故後9年目を上回る(推計値)。
この4人の腫瘍径は7-17mmだから、超音波検査精度の向上では説明がつかない。

今回の「4人」が8万人の中でたまたま固まって早くに検出された可能性も否定できない。
そもそも一次の受診率が伸び悩んでいるのが問題。
(NHKスペシャルでも取り上げられていた県や医大への不信が大きな要因)

検討会では「先行調査で見逃しがあった」という見苦しい(噴飯物の)意見(※)もあったようだが、自分たちでこれまで「自然発生の分を発症前にスクリーニング効果で発見したから」と主張してたのだから、今回のデータが「自然発生分」に相当するのか「原発事故による増加分」なのかをきちんと検討すべき。

県や医大への不信はこれでは解消できそうにない。

 ※(追記)見逃しが絶対なかったとは言えないが、これは当然検診のバイアスとして最初からあり得ることだし、それが全体のデータに影響してくるとは言えない。(というか、そのバイアスを含んだデータとして最初から議論している)

(追記)
今回のデータで「先行調査におけるスクリーニング効果が否定された」と断定するのは間違い。
先行調査の方が発症率は高く、スクリーニング効果はある。程度の問題。
「スクリーニング効果は否定された」と主張する人は、初年度から原発事故により多発していたが、4年目の本格調査で事故の影響がなくなって減少傾向に転じたと言っているに等しい。
この点、おわかりいただけるであろうか。

問題は、
1)スクリーニング効果は十分にあり(10年分かそれ以上)、そのベースラインが高いのは検査精度のためであり多発ではなく、今回の本格調査結果は「増加」ではなく2年間で平準化すれば自然発生のレベルにおさまる
2)スクリーニング効果は十分あったので1-3年目は多発ではないが、今回はじめて増加に転じた
3)スクリーニング効果は十分ではなく(3年程度)、初年度から多発傾向であり、今回さらに増加してきた
4)スクリーニング効果は十分ではなく(3年程度)、初年度から多発傾向だったが、今回のデータでは増加してきたかどうか判断することはできない
5)その他の解釈
のいずれかという議論で、そのためには更にデータの推移を見守る必要がある。
(そのためには、検診の受診率の低迷を何とかしなければいけない)

2)または3)であれば、隣接地域での検診も必要になる。

このいずれかかを判断するデータは出ていないと考える。2)に近いのではないかと懸念しているが。

吉岡斉氏講演会『なぜ脱原発社会なのか』12/23(祝)14時リンクステーションホール青森(青森市文化会館)

2014年12月19日 | 東日本大震災・原発事故


講演会『なぜ脱原発社会なのか』
原子力市民員会座長 吉岡 斉 氏

福島事故後から最近までの原子力発電政策と政策上の争点、青森県での争点については核燃料サイクル問題を含めて論じます。

日時:2014年12月23日(火・祝日)14:00-16:00
会場:リンクステーションホール青森(青森市文化会館) 4F中会議室(200名)
主催:青森県保険医協会
参加費:無料
申し込み:FAX 017-775-1326

福島は「最終処分場」県外搬出を法制化して宮城や栃木からの搬入は拒否

2014年12月14日 | 東日本大震災・原発事故
ほとんどの人が問題にしてないし、選挙の争点にも全く上がらないけど、
私が「日本は本当にダメな国なんだ」と何度目(何十度目?)かに思ったのがこれ。

栃木や宮城で「最終処分場」を福島の高汚染地域に戻せと主張している極々当たり前の議論を、NIMBYの地域エゴみたいに切り捨ててるけど、

その肝腎の福島県では、
「最終処分場を県外に」という法律が、解散間際のドサクサで可決し(もしかしたら全党一致だったのかも=よく知りません)、栃木や宮城とは桁違いの容量と線量の除染廃棄物が、30年後に、どこか暖かく迎えてくれる「県外」に搬出されることが決まってます。
当然「青森じゃない」わけはありません。

ちなみに、その除染廃棄物ってのは、(少なくとも栃木や宮城のレベルでは)、福島の除染廃棄物は勿論、これから出てくる廃炉廃棄物やメルトダウンしたデブリなんかとは、桁が何桁も違うほど低いシロモノ。同じ「最終処分場」という言葉を使うこと自体が間違い。
(だから栃木や宮城で受け入れろと言っているのではありません。福島の【人が戻れない】原発隣接の高汚染地域に戻すのが当然)

どう考えてもあり得ないことを「福島の復興支援」だとして推し進める政府、議会、マスコミ。
解決不能の禍根を30年後の子孫に押し付けてなんとも思わない福島県民。日本国民。
当然、青森県民も含まれます。
誰が後世の子孫に言い訳できますか。

六ヶ所再処理工場 液状化の危険性は

2014年12月12日 | 東日本大震災・原発事故
先月発表になった青森県の地震・津波被害想定
http://www.bousai.pref.aomori.jp/kansoku/higaisoutei2425/higaisoutei2425top.htm

六ヶ所村は震度6強(赤)


液状化マップ


わかりにくいので通常の地図と見比べてみると、赤い液状化の部分は尾駁沼などの周辺に伸びているものと思われる。


六ヶ所の低地は縄文海進の時には海だったはず。

再処理工場の土地は50mくらいあるから津波の被害は受けないことになっているが、液状化の可能性はどうなのか。

この高さだと縄文海進でも陸地だったと考えられるが、渡辺教授は地震により隆起した地形だと話していた。

青森県のマップはその辺りに触れないようにしているのではと感じられる。
そもそも、あの施設が震度6強でも損傷がないとは想像しにくい。


青森県保険医協会理事会は前会長の立候補に対するスタンスを会員・県民に明らかにすべき

2014年12月01日 | 東日本大震災・原発事故
世の中の人の「反核燃・脱原発派」に対して抱いているイメージ、すなわち、「原発ゼロによる経済的損失や雇用喪失や地域経済に対する影響も考えずにただ『感情的に』ハンタイを叫んでいる『無責任な』人たち」という(原発推進派による)レッテルを、具体的な経済政策とメッセージで払拭しようとせずに、自ら「反核燃・社共統一候補」という「レッテル」を貼って立候補を表明して、それから広く県民の声を集めると言われても、負け戦でもいいから内向きの自己満足のための選挙戦だと表明しているようなもの。

順番が逆だった。立候補表明なんてもっと後でも構わないから、県内のあらゆる人たちの声を集めるべきだった。貴重な候補をマイナスからのスタートで食い潰した。

しかし、青森県保険医協会の理事会は一体全体何してたのか、どうするつもりなのか、会員や県民に明らかにする義務がある。
(私は2011年3月に抗議辞任してるので全く関与してませんが)

※この抗議辞任の経緯は会に対して正式に書面で提出したにも関わらず有耶無耶にされたので、必要ならいつでも公表することは可能です。

脱原発のために「核のゴミ」県内長期保管の議論を

2014年11月07日 | 東日本大震災・原発事故
脱原発を阻止する「悪の枢軸3A」

 今回ここに書くことは、当協会(註:青森県保険医協会)や環境部の統一見解ではなく私見であることを先にお断りしておきます。

 私は脱原発の動きを阻む「アベ・アメリカ・アオモリ」の3つを「悪の枢軸3A」と呼んでいる。2012年10月1日号に「『最低(菅政権)と最悪(野田政権)の選択』の後に、どのような選択を示すのか、見通しは暗いが希望を捨てることは出来ない」と書いた。その後の安倍政権の2年間で何が起きたかはご存知の通りである。原子力ムラの回帰路線にどっぷりと漬かっている「アベ」は論外として、「アメリカとアオモリ」が大きな障害となっている現実を述べたい。

再処理の「特権」をめぐる日米の駆け引き

 日米原子力協定について詳細な知識を持ち合わせていないが、最重要ポイントは非核保有国で唯一、核燃サイクル・再処理を認められている点だと理解している。この協定は30年間の有効期間が2018年に満期を迎える。米国政府としては日本に無条件でこの「特権」を継続させて余剰のプルトニウムを保有させることは避けたい。日本政府としては「潜在的核保有力」を維持するために「特権」を継続させたい。そのためには全量再処理路線を維持して、プルトニウムを全部燃やすのだというポーズを取りたい。その証拠として、六ヶ所再処理工場が(どのような状況であれ)少しでも稼働しているという実績を作っておくことが必須。

 一方、米国側とすれば、国内の原発産業は競争力を失っており、既に日本企業と合併・提携関係にある。しかし、「核なき世界」でノーベル平和賞を受賞したオバマ大統領は、旧来の「米国(核)軍事力による世界秩序維持」路線に復帰しており、米国の原子力産業のプレゼンスを維持するためには、日本が原発ゼロを選択することは許されない。

 素人目には米国の「原発維持で再処理ノー」に隷属するなら直接処分しかないだろうと考えるのだが、そのあたりは判然としない。この「2018年問題」は見通しが不透明な状況だが、再処理を止める最大の圧力になる可能性が高い。太田昌克著『日米〈核〉同盟 原爆、核の傘、フクシマ』(岩波新書)の後半に経緯や状況が詳述されているので紹介しておく。

「核のゴミ」の全量返還が脱原発の最大の障害

 本稿の主題はアメリカではなく「アオモリ」。上述の2012年の当欄で「原発ゼロでも核燃サイクル堅持を喜ぶ青森県」と題して青森県および六ヶ所村が当時の民主党政権の「原発ゼロ」路線への転換を阻んだ経緯をリアルタイムに書いた。「原発ゼロ・再処理中止」なら六ヶ所の「核のゴミ」を全量返還すると脅しをかけて、当時も現在も国民の多数意見である脱原発路線を覆させたという歴史的事実を青森県民はどのように考えるのだろうか。

 多額の核燃マネーとの引き換えで、「全量再処理」という名目の元に受け入れ続けてしまった核燃料廃棄物。これを全量返還することは物理的に不可能なのに加えて、青森県も六ヶ所村も本当に返還されて核燃料税がゼロになってしまえば直ちに困窮してしまう。ただの「はったり」に過ぎない。

 ここで三村知事が錦の御旗として振りかざしたのが政府との空約束(協定としての効力はない)であり、その根拠として、青森県を核のゴミ捨て場にさせないという県民の声、なかんずく反核燃派の主張が駆け引きの道具として(再処理中止を阻止する屁理屈に)利用されているというのが現実なのだ。

 20年、30年来の反核燃の戦士には、遅れて出て来た口先だけの人間の意見など片腹痛いだろうと想像するが、もし今すべての原発の再稼働を阻止できたとしても、現存する核燃料を移動させることはすべきではなく、今ある場所で管理するしかない。

 批判を覚悟の上で書かせてもらえば、原発再稼働を阻止して原発ゼロを本気で求めるのなら、その障害となっている「核のゴミ全量返還」という実現不可能な建前を返上し、脱原発・反核燃派が率先して「長期の乾式中間貯蔵による税収確保と全原発停止」という選択肢を積極的に求めるしかないと考える。

 ただし、この「長期」というのは、私たちが生きている間には終らない。どの道を選択するにせよ、私たちは孫やその先の世代に負の遺産を押しつけることしかできない。ここに書いたことも、現実的には実現できそうにないとは感じている。それを承知であえて問いたい。

(この文章は青森県保険医協会の会員向け新聞2014年11月1日号に掲載したものです)

『プロメテウスの罠7』「医師、前線へ」ヨウ素剤の時系列メモ 配布阻止は山下教授と県庁

2014年10月29日 | 東日本大震災・原発事故
#図書館から借りた本なので要点だけメモしておく

12日午前 放医研・富永医師、大熊町オフサイトセンターへ
12日午後 双葉町・井戸川町長、県立医大で測定
12日 県立医大・細矢副院長、ヨウ素剤服用態勢を検討、職員への配布開始。16日以降は事務部門にも配布。17日から看護部の子ども、19日~21日には他の部署の子どもにも「配布の事実は外に漏らさないこと」

13日午前 原子力安全委員会、経産省へ2回FAX「1万カウント以上でヨウ素剤投与すべき」
13日夜 住民の除染基準を10万cpmに(6千→1万3千→)

14日午前 3号機爆発
14日夕 長崎大・熊谷医師福島へ。山下教授に電話「ヨウ素剤の議論が出てない」山下「原子力安全委員会がSPEEDIの予測数値を見て決める」

15日午前 4号機爆発。福島市、広島大・細井教授「燃料プール爆発なら最低でもチェルノブイリ級。南東北はだめになるかも」現地で100人を超える死者も想定して準備
15日午後 県立医大で長崎大・松田教授、雨で頭部1万カウント超、雪溜まりで22.8μSv/h「これは地獄や」山下に電話「どえらいことになってまっせ」
15日 現地対策本部が福島県庁に撤退

15日午後8時 県立医大で広島大・細井教授「4号機が大爆発するかも」「200キロ圏が避難地域になる可能性」(→上記の職員の子どもへの配布へ)
15日深夜 経産省から現地対策本部へ「20キロ圏内の入院患者にヨウ素剤を」
16日 放医研・立崎医師、同内容の指示文書(→県はヨウ素剤配布せず)

18日か19日 富永医師、ヨウ素剤配布を県職員に提案、手配開始(→実現せず)
18日 山下教授福島入り。午後6時、県立医大で講演「ヨウ素剤信仰だ」「逃げ出すことのないように。原発事故の被曝は日本の宿命」

23日 SPEEDI公開、山下「ありゃー」
6月 放医研・明石「いま思えば、飲ませればよかった」

#ヨウ素剤配布に関して、福島医大・細矢副院長、白坂薬剤部長、長崎大・熊谷医師、桜井・県薬剤師会長、放医研・立崎医師、富永医師らが住民への配布へ動いたが、一貫して阻止したのは山下教授と福島県。県当局が山下の指示に従ったのかどうかは不明。

#これ見てわかるのは、山下教授はSPEEDIを(当然ながら)知っていたこと。福島では15日の時点で、4号機の燃料が爆発したら「最低でもチェルノブイリ級、200キロ圏避難」と認識していたこと。

#「汚染水」の章で馬渕が細野から「原発が大変です」と呼び出されたのが3月25日。近藤シナリオが届いた日。しかし福島では15日の時点で「南東北がだめになるかも」という認識。県庁が何も知らされていなかったとは考えにくい。(敬称略)

#県立医大・細矢副院長の職員へのヨウ素剤配布は小児科教授として当然な行動。職員子どもへの配布は遅すぎたくらい。緘口令も他に手段があったのか。ここに矛先を向けるのは意味がない。(何で医大職員の子だけという気持ちは最大限に理解しているつもりだが、リスクを知っている医療職が最後まで留まるためには必要=本来なら子どもには15日の時点で飲ませた上で逃がすべきだったが…)

再生可能エネルギーフォーラムinあおもり(8/23)Ustream→動画保存・mp4変換

2014年08月27日 | 東日本大震災・原発事故
8/23に青森市主催で開催された再生可能エネルギーフォーラムの動画がUstreamで公開されているので紹介しておきます。

IWJ_AOMORI
http://www.ustream.tv/user/IWJ_AOMORI
再生可能エネルギーフォーラムinあおもり1/3 2/3 3/3

Ustreamの映像をそのまま見続けるのは無理があるので、保存してiPhoneで見られるようにmp4に変換してみました。
ネット上に載せようかと思いましたがファイルのサイズが大きく実用的でないので断念。
(元々どこからも許可をいただいたわけでもないので)

この作業は環境にもよるけど誰でもできるはずですので、Macでの方法を参考までに。。

MacでUstream映像を保存してiPhoneで見る方法
1)FirefoxのアドオンにFlash Video Downloaderを入れる
(SafariがメインだけどFirefoxはこのためだけに使っている)
2)該当ページを開いて下向きの水色の矢印をクリックし、ダウンロード
(ここで複数ファイルが出てくることがあるがよくわからないので一番大きいのを選ぶ)
3)Miro Video Converterをインストール(以前はApp Storeにあったのだが現在は下記ページから入手)
http://www.mirovideoconverter.com/
4)Miro Video Converterにダウンロードしたflvファイルをドラッグし変換(少し時間がかかる)
5)mp4ファイルをiTunesにドラッグし、iPhoneと同期

--------------------------------------------------------
再生可能エネルギーフォーラムinあおもり~原発に依存しない社会の実現を目指して
テーマ「これからの青森市を支える再生可能エネルギーを考える」
日時 平成26年8月23日(土)

第1部 講演
講演1「原発事故後のまちづくり」
講師:福島県南相馬市長 桜井 勝延 氏

講演2「地域を活かす!再生可能エネルギーの最新動向」
講師:認定NPO法人環境エネルギー政策研究所理事 主席研究員 松原 弘直 氏

講演3「県内における再生可能エネルギー発電の取組み 自分たちでやってみよう!再生可能エネルギー」
講師:NPO法人グリーンシティ理事長 富岡 敏夫 氏

第2部 意見交換会 15:20?16:00
青森市長と講師による意見交換会
コーディネーター:弘前大学 名誉教授  神田 健策 氏

http://www.city.aomori.aomori.jp/view.rbz?nd=866&ik=1&pnp=141&pnp=866&cd=18066

八甲田大岳と地獄沼 噴火時規制が4kmから6kmへ 同心円マップを試作

2014年08月26日 | 東日本大震災・原発事故
どうも新聞記事とか行政のページって一番知りたい情報に限って掲載されてないんだな。。
仕方がないので、八甲田大岳と地獄沼からの同心円マップを、同心円地図 http://odomon.net/ds/ を使って作ってみました。

八甲田大岳
http://odomon.net/ds/?40.655989,140.893343(最初に掲載した地図の中心がずれていたので訂正しました)
地獄沼
http://odomon.net/ds/?40.6475,140.854444

大岳の方のマップを見てみると、
4km規制:ロープウェーの山頂駅や国道103号線の酸ヶ湯温泉、睡蓮沼、猿倉温泉は含まれるが、県道40号線はギリギリで含まれない
6km規制:ロープウェーの山麓駅、谷地温泉、城ヶ倉、県道40号線の大半が含まれるので、八甲田山系はどこからも通り抜けできなくなる。(田代交差点は7km地点だが七戸・十和田方面しか行けない)

実際には火口の位置や周辺の地形、風向き、積雪の有無などによって変わってくるので、規制も一律の同心円にはならないとは思いますが、目安として地図は必要。というか、地図がなければ話は始まらない。

多分、大岳から6kmも火砕サージが届くような大噴火は生きてる間にはないとは思いますが。。

八甲田噴火時の入山規制拡大(2014年8月26日)
火砕流に伴い火砕サージが火口から最大約6キロまで到達すると見込んだため…。規制範囲には酸ケ湯温泉、八甲田ロープウェーのほか、新たに八甲田温泉などが含まれることに。大規模噴火が積雪時に発生すれば、雪解けによる大量の泥水「融雪型火山泥流」が青森市の市街地まで押し寄せる恐れがある…。
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2014/20140826083732.asp

八甲田山火山防災協議会
http://www.bousai.pref.aomori.jp/kazan/
(3月までの資料しか掲載されていない)

八甲田山の噴火履歴【資料4-2】 八甲田山火山防災協議会
http://www.bousai.pref.aomori.jp/kazan/250906/04_2八甲田山の噴火履歴.pdf

福島県の甲状腺がん検診 確定57+疑い46=103人に 3年目の増加で懸念は減少 実施基準に疑問も

2014年08月25日 | 東日本大震災・原発事故
昨日発表になった福島県の甲状腺がん検診結果を以前の表に付け加えて比較してみました。

(クリックして別ウインドウに拡大)

→第16回福島県「県民健康調査」検討委員会 資料の掲載について(平成26年8月24日開催)
→5月の時点でのブログ記事はこちら
 福島の甲状腺がん「確定49+疑い40=89例」 増えたこと(2年目)も増えないこと(3年目)も懸念材料(2014年05月20日)


一次検査受診者数がどういうわけか1年目・2年目で減ってます。集計ミスがあったのかわかりません(本文未読)。
B+C判定が167人増えて、二次検査受診者も197人増。細胞診も3年目が49人増(2年目が1人減)。

手術した人数は2年目5人、3年目2人増えて、7人とも甲状腺がん確定(乳頭癌6人、低分化癌1人)。
1年目の「低分化癌疑い」から疑いがとれて「低分化癌」が1人増加。
合わせて、確定例が57人(乳頭癌55人、低分化癌2人)に「8増」。
「確定+疑い」は、1年目2年目は変化なし(確定が増えた分、疑いが減少)。
3年目が21人から35人に「14増」。合計も89人から103人に「14増」。
以前予想していたように、100人のラインを超えてきた。

有病率は3年目も10万人あたり30人を超えてきた。
3年目は二次受診率も低めで、細胞診実施率は1年目>2年目>3年目なので、有病率ももう少し上がる可能性があり、1年目・2年目・3年目の差は明らかではなくなってきた。(前回書いた3年目がかなり低くなる懸念は少なくなってきた)

おかしな表現になるが、甲状腺がんの患者数が増えたことで、逆に懸念材料は減ってきたということになる。
(このあたり理解していただけない方が多いだろうと想像しますが、そのために毎回表にしてお示ししているのです)

有病率     2年目>1年目>3年目

一次検診陽性率 1年目<2年目<3年目 
細胞診実施率  1年目>2年目>3年目

二次受診者中の「確定+疑い」の割合  1年目>2年目>3年目
細胞診実施者中の「確定+疑い」の割合 1年目<2年目<3年目

疑問点はここ。
前回も書いたが、同じ基準で判定して細胞診や手術を実施しているのかという点。
一次検診の陽性率は後になるほど高めになっているが、二次検診受診者中の細胞診実施率は明らかに後になるほど低い。
結果的に、二次受診者中の「確定+疑い」の割合も後になるほど低くなっているが、細胞診実施者中の「確定+疑い」率は逆に高くなっている。
要するに、年度が進むにつれて、細胞診を厳選して実施するようになってきて、二次受診者中の「確定+疑い」率も低くなっている。

細胞診実施率 × 細胞診実施者中の割合 = 二次受診者中の割合
1年目 46.5% × 15.6% = 7.2%
2年目 28.6% × 21.2% = 6.1%
3年目 16.2% × 25.0% = 4.0%

これに、一次の陽性率が「1年目<2年目<3年目」であることと、二次受診率が①88.2%、②90.4%、③84.0%と3年目がまだ残っていることも加わり、結果的に有病率の差が少なくなって、「2年目>1年目>3年目」となっている。
この結果をどう読むのかはよくわからない。判定・実施基準の変動が全体に影響している可能性がないかどうか。

地域ごとの比較は元の資料でなされていますが、3年目にいわきと会津という別々の地域が混在しており、2年目が中通りであるという点も懸念が残る。

この数字は、「スクリーニング効果10年分」という非常に厳しい(というか甘いというか)判断としても、ベラルーシの90年代に相当するということは前にも書きました。
今年度からの「二巡目の検査結果待ち」という結論は変わりません。
(これまでが「先行調査」で今年度からが「本格調査」と位置づけていますが、一巡目、二巡目と表現した方が現実に即している)

記『小説 外務省 尖閣問題の正体』に出てくるお店、言葉、本、曲事のタイトルを入力してください(必須)

2014年07月17日 | 東日本大震災・原発事故
『小説 外務省 尖閣問題の正体』孫崎 享

---
Bookmeterへの短評

高校生程度の知性と知的好奇心があり、社会問題、特に日中関係や安全保障などに少しでも関心があり、自ら物事を考えて判断しようという気概があるなら、まずはこの小説を読んでから論じるべき(前著を読んでいることが望ましいが逆の方がむしろ良いかも)。小説という形式をとっているので、史実を掘り起こす部分と推論を重ねていく部分があるのは当然だが、結論として「尖閣棚上げ合意に戻る」しかないのは明らか。しかし、安倍首相や外務省は孫崎氏を黙殺し続けるしかない。その結果、

「中国が旗を立てれば安保の適用外。米国は介入しない。戦いがエスカレートすれば日本は勝つ見込みがない。『固有の領土』論は世界で相手にされていない。法律的に誰も中国を批難できない。「棚上げ合意を破った」と言われることが唯一の弱点だが、日本は馬鹿だから自国に有利な合意をないと言っている」(作中の中国幹部の発言を要約)

私の国は馬鹿じゃないと言えますか。

---
『小説 外務省 尖閣問題の正体』に出てくるお店、言葉、本、曲

ホテルオークラ「オーキッドルーム」
レストラン「アルゴ」麹町・旧東条会館9階
東京會舘「ユニオンクラブ」皇居外苑馬場先門・東京會舘8階
青山学院アイビーホール カフェ&ダイニング「フィリア」
日本工業倶楽部
紀尾井町「福田屋」
帝国ホテル「インペリアルラウンジアクア」
永田町「黒澤」
グランドアーク半蔵門 フレンチ・レストラン「パティオ」
ロシアレストラン「サラファン」 神保町・三省堂書店近く
電気ビル内 日本外国特派員協会 バー
新宿三丁目ビックスビル地下2階 喫茶室「ルノアール」
ホテルグランドヒル市ヶ谷

ヒラリー・クリントン
「植えられた場所で花を咲かせ」

ダンテ『神曲』
「地獄の最も暗黒な場所は道徳的危機のときに中立を保っていた(何も発言しなかった)人のために用意されている」

ルオー『ミセレーレ』「七剣の悲しみを負う聖母」

中島みゆき
アザミ嬢のララバイ
時代
ファイト

『ALWAYS三丁目の夕日』
エンディング「花の名」

アンナ・アフマートヴァ
人は思っていた…
『アンナ・アフマートヴァ詩集』

読売新聞社説1979年5月31日
「尖閣問題を紛争のタネにするな」

夏目漱石『吾輩は猫である』
苦沙弥先生と落雲館のせいとのいざこざに関する哲学者先生の言葉

シェリング
勝利という概念は、敵対する者との関係でなく、自分自身が持つ価値体系との関係で意味を持つ

羽場久美子
国境の取り合いはゼロサム・ゲームです。ゼロサム・ゲームは取った、取られたで終るのではなくて、そこから次の戦争が始まります

中野孝次『清貧の思想』

孫崎・ウォルフレン『独立の思考』

八木啓代
検察による小沢一郎追及は「選挙で政権を取った民主党に対し、検察という権力が実験を取り戻そうとする一種のクーデターだ」

マルティン・ニーメラーの言葉

リアン・ライムス(歌手)
『落ちるのを恐れないで。我々は結局天使の側にいるのだから(Don't be afraid to fall. We're on the side of angels after all)』

マーティン・ファクラー ニューヨーク・タイムズ東京支局長
「官僚機構の一部と化したメディアの罪」
『20人の識者がみた「小沢事件」の真実』

麻布中学
『雁』森鴎外、『藤村詩集』島崎藤村、『大津順吉・和解・ある男、その姉の死』志賀直哉、『地獄変』芥川龍之介、『銀河鉄道の夜』宮沢賢治、『君たちはどう生きるか』吉野源三郎、『楡家の人びと』北杜夫、『点と線』松本清張、『冥土・旅順入城式』内田百、『狂人日記・阿Q正伝』魯迅、『変身』カフカ、『日本語の年齢』大野晋、『文車日記』田辺聖子

彼は「リベラルとは『人間を大事にしましょうね』というようなスローガンではなく、人間の深い洞察からくる」と思っている。だから、「リベラル日本社会が今崩壊しているのは知的階層の崩壊からきている」と考えている。

河野太郎のブログ
「日中漁業協定」2010年9月28日

チェーホフ『アドリアナ』

文化放送 木曜朝6時10分 「おはよう寺ちゃん」 寺島尚正

ビートルズ『イマジン』 ←間違い

応無所住 而生其心(おうむしょじゅう にしょうごしん)
応に住する所無くして而も其の心を生ずべし
『こころをとどめている人々は努めはげむ。かれらは住居を楽しまない。白鳥が池を立ち去るように、かれらはあの家、この家を捨てる』

日本の「固有の領土」という幼稚な論法は世界各国で全く相手にされていない。中国が尖閣諸島を自分のものにする行動をとっても、法律的に誰も批難できない。「棚上げの合意があった。中国はこの合意を破った」と言われることが唯一の弱点だが、日本は馬鹿だから、自国に有利であるはずの合意をないと言っている。

杜甫「月夜」

良寛
生涯 身を立つるに懶く

雙脚 等閑に伸ばす

『エセーニン詩集』内村剛介訳
わが思念を去らぬもの

---
「リベラルとは『人間を大事にしましょうね』というようなスローガンではなく、人間の深い洞察からくる」「リベラル日本社会が今崩壊しているのは知的階層の崩壊からきている」『小説外務省 尖閣問題の正体』孫崎享より

福島 550 女川 607 築館 2933 阪神 818 柏崎 2058 一関 4022ガル、東通・六ケ所 450→600(基準地震動)

2014年05月22日 | 東日本大震災・原発事故
福井地裁の大飯原発差し止め訴訟判決で1260ガルという数字が出て来たので、過去の記録を調べなおしてみた。

福島第一原発
大熊町 震度6強
福島第一2号機
水平 550ガル(設計値の約126パーセント)
上下 302ガル

女川原発
震度6弱
1号機 540ガル(想定512ガル)
2号機 607ガル(想定532ガル)
3号機 573ガル(想定594ガル)
(女川1号は設計用最強地震として250ガル、設計用限界地震として375ガルを想定して建設された)

東日本大震災
最大値 栗原市築館 2933ガル

岩手・宮城内陸地震
一関市 4022ガル(ギネス記録)

阪神大震災 最大818ガル

2007年7月 新潟県中越沖地震
柏崎市 震度6強
最大993ガル
3号機タービン建屋1階 2058ガル(想定834gal)
地下3階 581ガル(想定239gal)
3号機原子炉建屋基礎 384ガル(想定193gal)

東通原発電 平成26年1月30日
基準地震動Ss
450ガルから600ガル規模へ見直す

六ケ所村再処理工場 安全審査申請 2014.1.7
基準地震動を450ガルから600ガルに引き上げた
(補強工事は一部の排気口のみ)

『原発ゼロ社会への道 市民がつくる脱原子力政策大綱』を読みながら 青森県で「公論形成」の場を

2014年05月22日 | 東日本大震災・原発事故
『原発ゼロ社会への道 市民がつくる脱原子力政策大綱』を少しずつ飛ばし読みしている。240ページもあるし他にやることがあるので通読は後回しだが、特記すべき提言がいくつもある。まずはこの大綱をスタートにして議論を進めていくべきだろう。
http://www.ccnejapan.com/

・再稼働せず即時原発ゼロ
・福島は空冷・石棺化
・核燃サイクル(再処理・もんじゅ)中止
・日本原燃は破綻処理・清算・公社に移管、
・使用済み核燃料は返還方針だが暫定的に(相当期間?)保管
・青森県と六ヶ所村は新たな協定締結、長期間税収確保
・再処理工場はすぐに解体せず管理

空冷・石棺化とか、使用済み核燃料はすぐに返還せず保管して税収を確保するとか、至極当然の提言なので「特記すべき」と言うほどでもないのだが、核のゴミ問題は推進派だけでなく脱原発派もネックになりかねない。

安倍政権がいくら原発再稼働・核燃サイクル堅持で前のめりになっても、どのみち頓挫することは間違いない。福島の事故処理も既に行き詰まっている。このまま進めば国民の負担も核のゴミも被曝労働も増加していくだけ。旧日本軍と全く同じ。(だからあんなに軍事路線を突っ走ってるわけだ)

安倍政権や青森県が政策転換することは全く期待できない。『脱原子力政策大綱』が提言する「公論形成」を市民サイドで進めていくしかない。6月に弁護士会主催のシンポジウムがあるようだが、保険医協会でも何らかの企画開催を検討中(大綱か内部被曝かで意見は分かれているが)。

福島の甲状腺がん「確定49+疑い40=89例」 増えたこと(2年目)も増えないこと(3年目)も懸念材料

2014年05月20日 | 東日本大震災・原発事故
これまで何回も発表データを分析して考えてきたことに、今回新たに追加することはなさそう。結論は同じで二巡目の結果を待つしかないのですが、2年目の有病率がベラルーシのピーク時に迫ってきていることに留意する必要はあるでしょう。

第15回「県民健康調査」検討委員会(5月19日)
http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045b/kenkocyosa-kentoiinkai-15.html
「甲状腺検査」の実施状況 PDF
http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/65174.pdf

2月の時点での一次検査受診者26万9千人が、今回で29万5千人に増え、二次検査受診者も1490人から1754人に増えていますが、3年目(2013年度)の細胞診や手術施行者はまだ少なく、次回まで「一巡目の傾向・結論」は待たなければいけない状況です。


(クリックして別ウィンドウで拡大)

簡単にチェックしていきます。
3年間で90例の甲状腺がん疑い例のうち、
51例に手術を施行して49例が「がん確定」、1例は良性結節。
残りの1例は2011年の「低分化癌疑い1例」。
(この1例を含めた50例が「がん」と報道されていますが、ここでは疑いに含めます)
この1例と、細胞診で甲状腺がん疑いだけど手術はしていない39例を合わせて「疑い」が40例。
合わせて89例が「がん確定+疑い」例。(これを90例としているのは明らかに誤り)

有病率は10万人あたり30.1(前回は27.5)。

各年度の比較では、
2011 33.7 33.3
2012 35.9 38.3
2013 11.3 18.7

1年目はほぼ頭打ち、2年目が更に増加して有病率38.3人(スクリーニング効果10年として発症率3.8人/10万人)となり、ベラルーシのピーク時(94-95年)の4人に迫ってきていることに留意する必要があるでしょう。
3年目はまだ二次検診の結果が今後も増えるはずですが、おそらく1・2年目には届かないと予想されます。



この二つの所見がどちらも懸念材料となり得るし、違うかもしれない。
これまでの議論は一番下にリンクしておきますので、納得ができないという方はまずご覧下さい。

時間がないので繰り返しませんが、概算で「スクリーニング効果10年として発症率が10万人あたり3人程度」を目安にしながら推移を見ていく必要があるとお伝えしてきました。

2年目は上記のように既に上回っています。
これが「多発」でないのなら、3年目の会津でもいわきでも同じ割合で出てこないといけないが、届きそうにない。

新聞には「二巡目の検査で一巡目に比べがんが増えるかを比較して」などと書かれていますが、違います。
スクリーニング効果が10年分なら1/10に減るかどうか。それよりも増えるかどうか。
(以下、スクリーニング効果の想定年数によって同じように比較する数字が変動します)

スクリーニング効果10年というのは大甘の天野アキちゃんみたいな数字だと思っているが、それでもベラルーシのピーク時に匹敵する。(二巡目で1/10に減るとは正直予想しにくい)
しかし、1年目から出て来ているがん患者数が原発事故によるものとも考えにくい。

とりあえず、一巡目で予想した100例に届きそうな気配。
誰がこの結果を全て合理的に説明できているだろうか。
(無論、福島医大や検討委員会の見解は論外)

多発説も、スクリーニング効果説も、検診不要説も、いずれも現時点では信じることができない。
スクリーニング効果説をとるなら、当初の見込みよりも桁が2つ違うレベルになりそう。
(私の立ち位置はどこかと聞かれたなら、多発説とスクリーニング効果説の間のどこかと答えざるを得ないが、そのどこかがわからない)

(これまでの関連entry それ以前のものは下記のページを参照)

福島県の甲状腺がん検診「スクリーニング効果は試算してから論じるべき」「なし~30年で比較」
2014年04月08日
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/0ba55ab5c49c2ce771321db3ed3ea276

福島の甲状腺がん「確定32+疑い42=74名」 3年目は低くなりそうだが、懸念材料にも…
2014年03月06日
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/a118e8eaa67a7a9dab7b55473cf42865