踊る小児科医のblog

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原発事故・放射能・自然エネルギー関連の本を貸し出します

2012年05月02日 | 東日本大震災・原発事故
 昨年の3.11東日本大震災以来、地震、津波、原発事故、放射能、自然エネルギーなどの本をずっと読み続けていますが、私一人がいくら勉強して知識を溜め込んでも、何も変えられないし何の力にもなりません。震災以前から持っていた本も含めて待合室に置いておきますので、読んでご活用下さい。
 最近読んだ中では『1億3000万人の自然エネルギー』が簡潔でわかりやすく特にお勧めです。1~2時間で読み切れて、世の中を変えることができます。

『1億3000万人の自然エネルギー』飯田哲也
『原発社会からの離脱 - 自然エネルギーと共同体自治に向けて』宮台真司・飯田哲也
『今こそ、エネルギーシフト - 原発と自然エネルギーと私達の暮らし』飯田哲也・鎌仲ひとみ
『「原子力ムラ」を超えて - ポスト福島のエネルギー政策』飯田哲也・佐藤栄佐久・河野太郎
『3.11後の放射能「安全」報道を読み解く:社会情報リテラシー実践講座』
影浦 峡
『原発のウソ』小出裕章 『原発の闇を暴く』広瀬 隆・明石昇二郎
『原発を終わらせる』石橋克彦・編 『市民科学者として生きる』高木仁三郎
『それでも三月は、また』谷川俊太郎・多和田葉子・ほか
『間違ってますか? 私だけですか? 14才のココロ』藤波 心

その他、随時追加予定

(追記)ここにあげた以外にも、八戸市立図書館から多くの本を借りて読みました。その中でも特にお勧めなのは『プロメテウスの罠 明かされなかった福島原発事故の真実』と『ホットスポット ネットワークでつくる放射能汚染地図』の2冊で、いずれも朝日とNHKという問題の大きかった旧メディアの中から出された良質のジャーナリズムであり、歴史に名を残すべき著作です。八戸市立図書館は原発・放射能問題に関する良書を積極的に購入していますので、是非ご利用下さい。

『官邸から見た原発事故の真実』野田内閣は田坂氏の「政府が答えるべき七つの疑問」を無視して再稼働に邁進

2012年04月10日 | 東日本大震災・原発事故
2012年04月08日(日)

『官邸から見た原発事故の真実』(田坂広志)を図書館で借りて読みはじめたところ。示唆に富んでいる。いわゆる「新事実」ではなく「伝えなくてはいけない本当の事」を包み隠さず書いている。一度BSのロングインタビューを見たが、これだけの人が中にいたのに何故あのような対策になったのか。
posted at 17:55:08

『官邸から見た原発事故の真実』(田坂広志) これ野田総理や閣僚、官僚、財界人など原発再稼働にまっしぐらの連中はちゃんと読んでるのだろうか。少なくとも枝野は危機の2ヶ月間を共にしてきたはずだが。
posted at 17:55:22

田坂広志氏が内閣官房参与就任前の3/13に「直ちにSPEEDIを活用して放射能拡散予測を行うこと」「直ちに全国から放射線と放射能を測定する機器を総動員し徹底的な環境モニタリングを実施すること」の2つを政府に緊急提言したが、すぐには実行されなかった。
posted at 17:57:33

『官邸から見た原発事故の真実』田坂氏は3/13にSPEEDI活用の緊急提言を「政府に届けた」というが、菅・枝野・海江田には伝わっていたのか。だとしたら国会答弁はウソになる。(菅前首相の参与だったのだから自身が知っているはず。後半に書かれているか?)
posted at 17:58:22

2012年04月09日(月)

【官邸から見た原発事故の真実 これから始まる真の危機 (光文社新書)/田坂広志】を読んだ本に追加 →http://t.co/ZDx4vArx #bookmeter
posted at 14:52:39

『官邸から見た原発事故の真実』3月15日東京駅の異様な光景:何組もの外国人の家族がトランクを引き深刻な表情で新幹線を待っていた。当時田坂氏は官邸入りする前で「アメリカやフランスの過剰反応ではないか」と思ったが、官邸で状況を知り過剰反応ではないことがわかった。
posted at 17:59:46

『官邸から見た原発事故の真実』アメリカが首都圏9万人のアメリカ人全員に避難を勧告しなかったのは、日本人を含めた首都圏全体がパニックになるという理由から。(ケビン・メア米国国務省日本部長)
posted at 23:22:05

『官邸から見た原発事故の真実』最悪の事態に進展し「首都圏三千万人の避難」が求められる状況は「進むも地獄、退くも地獄」。数千万人の被爆を容認するか、首都圏で死者が出るような深刻なパニックに陥るか。(田坂氏)
posted at 23:23:03

小山先生は「パニックは緊急かつ重大な危険の認識、閉じられそうになっている限られた脱出路の認識、状況についての情報不足の3条件全てが揃わないと発生しない」と解説されているが「首都圏三千万人の避難」では全部揃う。三千万人が移動することは不可能。http://t.co/jYzyShWH
posted at 23:25:03

3月15日に息子を避難させたのも、放射性プルーム到来だけでなく、その事実が明らかになり避難者が殺到し交通が麻痺することを恐れたから(その予測が外れたことは16日に書いた)。14日から15日にかけて、私自身もパニックとまではいかないが地に足がつかず、いくつもの判断ミスをした。
posted at 23:27:46

『官邸から見た原発事故の真実 これから始まる真の危機』田坂広志氏のブログに目次が小項目まで掲載されている。http://t.co/ljzm7GdE 最初から読み直してメモを取ろうと思ったが面倒なのでやめた。
posted at 23:28:50

『官邸から見た原発事故の真実』政府が答えるべき「国民の七つの疑問」→原子力発電所の安全性/使用済み燃料の長期保管/放射性廃棄物の最終処分/核燃料サイクルの実現性/環境中放射能の長期的影響/社会心理的な影響原子力発電のコスト(←脱原発派の主張を原子力の専門家が殆ど認めたという章)
posted at 23:34:22

『官邸から見た原発事故の真実』田坂広志氏・日本記者クラブ講演(2011年10月14日)動画・PDF・会見リポートhttp://t.co/9vmiu0tL この講演を元に執筆されたとのこと。
posted at 23:35:27

『官邸から見た原発事故の真実』田坂氏が3/13に提出したSPEEDI活用の緊急提言がどこに消えたかについては具体的には触れず。第二部「第一の疑問」で「縦割り行政の硬直性」「行政機構の組織的無責任化」の問題として言及されている。
posted at 23:48:21

『官邸から見た原発事故の真実』SPEEDI問題「一つの部署、一人の職員としては責任を全うしている。しかし、行政全体としては、極めて無責任な状態になっている」こうした「行政機構の組織的無責任化」の背景には「縦割り行政の硬直性」がある。
posted at 23:48:32

『官邸から見た原発事故の真実』SPEEDI問題「国民の生命と健康、安全と安心を守るためには、組織の領分を超えてでも行動するという職業意識と責任感、倫理観が、現在の行政機構には希薄になっていると言わざるを得ない」
posted at 23:49:04

『官邸から見た原発事故の真実』現在の「最大のリスク」は、政界、財界、官界のリーダーの間に広がっている「根拠のない楽観的空気」「原発事故は無事収束に向かっている。だから他の原発については、安全性を確認したら速やかに再稼働を行おう」という楽観的空気。
posted at 23:52:02

『官邸から見た原発事故の真実』「福島原発事故は幸運に恵まれた」というのが危機に対処した人間の実感。更なる爆発や余震・津波、燃料プールの崩壊も起こらなかったため「最悪のシナリオ」へ進まずに済んだ。リーダーは「どこまで深刻な事故だったか」を深く理解し根拠のない楽観的空気を自戒すべき。
posted at 23:55:47

2012年04月10日(火)

楽観的空気が生み出す「最悪の問題」は国民から政府への「信頼」が決定的に失われること。「信頼」が無ければ、すべてが意味を失う。原子力の問題で「安全」と「安心」が重要だと語られるが、実は最も大切なのは「信頼」。残念ながらその「国民からの信頼の喪失」は現実に起こっている。
posted at 00:34:32

そもそも「絶対安全の神話」が崩壊したことが全て。それ加えて「起こった事故への対応」の不信もある。「国民からの信頼を失う」ことがどれほど致命的な障害になるかを理解していない。まず政府が国民からの信頼を失ったということを深く自覚すべき。その厳しい認識を抜きにして信頼の回復はない。
posted at 00:40:48

昨年夏に「最低と最悪の選択」と書いたが、ここまで予想通りの「最悪」とは思ってもいなかった。日本語で悪い方の言葉の選択肢が少ないことを嘆いている。地獄の底とか。しかし野田内閣の支持率がまだ30%もあるって。どこの誰が?「私はその10人のうちの3人だ」という人がいたら名乗り出てみよ。
posted at 00:54:34

『官邸から見た原発事故の真実』事故直後、官邸に対し「事故の影響は健康リスク以上に、社会心理的リスクが極めて深刻になる」と進言したが、行政は「目に見えないもの」を軽視し、「過度に心配する住民が多い」「不安が煽り立てられている」といった受け止め方をしている。
posted at 10:27:40

『官邸から見た…』物理的被害や経済的被害だけでなく、長期的に見れば、「精神的被害」が最も大きな被害になってくる。政府が信頼を失えば失うほど「社会心理的リスク」は大きくなるが、その認識が甘い。更に深刻な問題は「社会心理的リスク」が「社会心理的コスト」となって跳ね返ってくること。
posted at 10:29:16

『官邸から見た原発事故の真実』政府がエネルギー需給の逼迫を懸念し再稼働を急ぐ気持ちは分かるが、この状況においては拙速を避け、地道に国民からの信頼を回復していく道を選ぶべき。急げば急ぐほど国民は懸念を強め、納得しなくなる。その結果、すべてが動かなくなっていく。その逆説に気づくべき。
posted at 10:29:45

『官邸から見た原発事故の真実』現実的な選択肢を広げる「四つの挑戦」。原子力エネルギーの「安全性」、自然エネルギーの「基幹性」、化石エネルギーの「環境性」、省エネルギーの「可能性」への挑戦。現実的な選択肢を広げ、国民的な議論を尽くした上で、10年後に国民投票を行う。(田坂氏)
posted at 10:37:21

「原発事故の最悪シナリオが避けられたのは“幸運”に恵まれたからです」今、戒めるべきは「根拠の無い楽観的空気」田坂広志(日経ビジネスオンライン)http://t.co/m1YVx1ko
posted at 11:01:38

リスク・マネジメントの専門家から見た福島原発事故の問題の深刻さは、事故が起こったことだけでなく、事故の原因、経緯、現状が明確に分からないこと、事故への対処、管理、制御が十分にできないことだった。田坂広志(日経ビジネス)http://t.co/37T6pJuq
posted at 11:02:05

原発再稼働に向け政府が乗り越えるべき「三つの壁」国民は原子力行政が「いつか来た道」を走ることを恐れている。田坂広志(日経ビジネスオンライン)http://t.co/cjlRcZQD
posted at 11:02:22

「事故の真の原因」が解明されなければ「新たな事故を防ぐための改善策と解決策」も本当には分からないはず。その状況で、いかなる論拠をもって「安全性を確認した」と言えるのか。そのことを、多くの国民は疑問に思っている。田坂広志(日経ビジネス)http://t.co/HoiJs7ff
posted at 11:02:42

いわば保安院による「安全性確認の見切り発車」と称すべき状況だが、そもそもこうした「結論ありき」の「見切り発車」の姿勢こそが、今回の福島原発事故の背景にある「組織的問題」であることを、多くの国民は敏感に感じ取っている。田坂広志(日経ビジネス)http://t.co/HoiJs7ff
posted at 11:03:42

政府が「三つの壁」を越えなければ国民の納得は得られない。第一は「事故原因の徹底究明」。技術的な原因だけでなく「人的、組織的、制度的、文化的な原因」を含めた究明。第二は「責任の所在の明確化」、第三は「原子力行政の徹底的な改革」田坂広志http://t.co/OFHnbXQs
posted at 11:05:13

藤波心さんからのビデオメッセージ さようなら原発・核燃3.11青森県民集会 (2012年3月11日)

2012年04月06日 | 東日本大震災・原発事故
藤波心さんからのビデオメッセージ → さようなら原発・核燃3.11青森県民集会HP

さようなら原発・核燃3.11青森県民集会にご参加のみなさん、こんにちは藤波心です。
日本はいま歴史上、大変な危機に直面しています。
この狭い国土に、この地震の多い国土に、気がついたら54基もの原発を建ててしまっていた。
これは繁栄の象徴でも何でもなくただの時限爆弾のようなものです。
もしまたどこかで大地震が起きて別の原発が爆発するようなことがあったら今度こそ日本は終わってしまうと思います。
いつ爆発するかわからない爆弾と一緒に生活するなんて私は絶対にイヤです。
日本が先進国の仲間入りをして世界をリードするにはこの道しかないと勝手に思っていた。
いやそう思い込まされていたのです。
日本の発展、経済発展のためにスーツを着て涼しい顔をして日本を破滅へ追いやる人がいます。
実は日本の最大の敵は日本人の中にいるということが私は残念でなりません。
日本滅亡のカウントダウンはもうすでに始まっています。
でもそのことを多くの国民は全く気づいていません。
もう私たちの国土に、第二の福島をつくっては絶対にいけません。
私たちは原発によって支えられていたのではなく、何も知らない私たちが原発を支えていたのだと思います。
私たちは今こそ立ち上がらなければいけません。
みなさん、一人一人の力は大きな力に変わると思います。
子どもたちの明るい未来、そして日本の未来を守って下さい。
宜しくお願いします。

それでは「ふるさと」を歌います。

兎追いし かの山
小鮒釣りし かの川
夢は今もめぐりて
忘れがたき ふるさと

如何にいます 父母
恙無しや友垣
雨に風につけても
思い出ずる ふるさと

こころざしを果たして
いつの日にか帰らん
山はあおきふるさと
水は清きふるさと

ありがとうございました。

『プロメテウスの罠』SPEEDI隠し関連の記載 抜き書き

2012年04月06日 | 東日本大震災・原発事故
『プロメテウスの罠 明かされなかった福島原発事故の真実』(朝日新聞特別報道部)の「全く生かされなかったSPEEDIのシステム」より、SPEEDI隠し関連の記載を抜き書きしてみました。

文部科学省:渡辺格「放出量がわからないときに単位放出のSPEEDIで情報を流すという点ではマニュアル通り」。配布先:一部の省庁と原子力安全委員会、福島県、現地対策本部。海江田と枝野は3/20までSPEEDIを知らなかったと国会答弁。

保安院緊急時対応センター(ERC)も独自予測。3/11 21:12(3/12 3:30に2号機ベントの予測)、3/12 1:12(同時刻に1号機ベント)、3/16までに45回173枚の独自予測。文部科学省より精度は高い。1・2回目の予測図のみ官邸に。43回167枚はERC内で止まっていた。

現地対策本部機能せず。保安院ERC、避難区域案づくり、原子力安全技術センターに注文、SPEEDI予測。官邸はERCと別に避難案。21:12、1回目の予測図。21:23、首相、同心円状の避難指示(3km避難、10km屋内退避)。ERC、避難区域案づくりをやめる。避難指示:3/12 5:44 10km、18:25 20kmに。

政府「放出された放射能量が不明だったのでSPEEDI予測はそもそも役に立たなかった」。ERCがSPEEDIを使って避難区域案をつくろうとしたことは伏せられた。

10/31、菅直人「おれの目の前に保安院のトップがいたんだよ」、『プロメテウスの罠』を読んで驚愕。保安院長・寺坂との間で重要な会話が成立していなかった。3/11午後6時以降、原子力安全委員会に文部科学省のSPEEDI予測図が1時間毎に届き始めていたが、斑目は官邸に届ける手だてを取らなかった。

2012/3/3に報道された「2011/3/15の会議で文部科学相ら政務三役や文科省幹部が協議し「一般にはとても公表できない内容と判断」と記した内部文書が作成」という事実との関連を伺わせる記載はない。2012/4/3報道の「3/15世界版SPEEDI、ヨウ素10兆ベクレル試算未公表」も同じ会議か?

津波でメルトダウン、わかっていた。元東電社員・木村俊雄さん

2012年04月04日 | 東日本大震災・原発事故
津波でメルトダウン、わかっていた。元東電社員
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=NHN1A94PJWc

「原発再稼働わたしはこう思う」元東電社員・木村俊雄さん(47)

(停止中の原発は)まだ運転できる段階ではない。(福島第一原発は)ほとんどの重要機器が格納容器に入っていて、その中がまだ近づけない状況において、故障原因も、どれがどのくらい壊れたのかさえもまだ洗い出していないのに、格納容器のふたさえも開いていない状況で、安全だ、妥当だとよく言えるよね。

1991年10月30日に福島第一原発の1号機で海水漏洩があり、タービン(建屋)の地下1階にある非常用ディーゼル発電機が水没して機能が喪失した。

「津波が来たら大変じゃないか。メルトダウンするのではないか」と言ったら、上司は「その通りだ、鋭いよね」と褒めてくれました。「安全審査をやる裏方の中では津波を過酷事故の(想定の)中に盛り込むのは実はタブーなんだ」と。その言葉を聞いた時にがくぜんとしたし、そんなもんなんだなと。

耐震の指針もきちんと世界の地震学の定説に合わせて造ったとすると、日本の国土には原子力発電所は造れませんと。知っているのに知らないふりをしている。少なくとも電力会社の人間は知っている。

青森県三村知事要請への要請 さようなら原発・核燃3.11青森県民集会 (2012年3月28日)

2012年04月02日 | 東日本大震災・原発事故
                        2012年3月28日
青森県知事 三村申吾 様

            さようなら原発・核燃3.11青森県民集会
                     実行委員長 大竹進

          要請

 青森県知事は原発・核燃をなくす運動の先頭に立ってください

 3月11日、私たちは青森市文化会館において「さようなら原発・核燃3.11青森県民集会」を開催しました。この集会には1730名が参加し、青森県が原発・核燃推進政策から決別することを求める集会アピールを採択しました。(別添集会アピール参照)

 私たちは改めて、三村県知事が、原発・核燃をなくす政策へのすみやかな転換を求める運動の先頭に立つことを強く求めるものです。

 以上、要請します。

追悼文 さようなら原発・核燃3.11青森県民集会 (2012年3月11日)

2012年04月02日 | 東日本大震災・原発事故
          追悼文

 あの日から一年がたちました。

 地震と津波は、そこにあった日常生活を襲いました。2万人にものぼる死者・行方不明者の一人ひとりとその周りの人々の心中を思うと胸が痛みます。原発事故は、いまだに平穏な生活を奪い続けています。避難した人びと、現地で暮らし続けている人びと、双方に襲い続けている放射能の恐怖を生み出した原発への怒りの気持ちでいっぱいです。そして、遅々として進まない復興に苛立ち、苦しんだ一年でもありました。

 いま私たちは、「自分に何ができるのか」「復興にどう役立てるのか」とみずからに問いかけています。そして、一日も早い復興を成し遂げ、二度と同じ苦しみを生み出さない未来をつくっていくという誓いをたてます。

 すべての犠牲者の方々に思いを馳せて、故郷を取り戻し、次の世代に、今度こそ安心で安全な未来をつくっていくことを胸に誓い、追悼の気持ちを表したいと思います。

 黙祷。

さようなら原発・核燃3.11青森県民集会 アピール (2012年3月11日)

2012年04月02日 | 東日本大震災・原発事故
         集会アピール

 2011年3月11日、東日本大震災により発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故は、いまだその収束の見通しもないまま、今日で一周年を迎える事になりました。福島第一原発の現場では、今なお多くの作業員の方々が日々被ばくを強いられながら、事故の処理に当たっています。

 環境にまき散らされた放射能は、放射性セシウムだけで広島原爆168個分と言われ、日本全土に降り注ぎました。これから、終りのない放射能汚染の時代が始まります。私たちは広島、長崎被爆者の問題を未解決のまま、原発の被害者であり、未来の世代への加害者であるという立場に立たされました。

 この「原発震災」は決して天災などではありません。国策の名の下で、原発に対する国民の批判や不安をウソとお金で抑え込み、利益追求のために地震列島に54基もの原発を建設してきた国と電力会社、原子力産業の責任であることは明らかです。

 私たちのふるさと青森県は、危険なものは都会から離れた所に建設するという国策に従ってきた結果、原子力産業の一大拠点となってしまいました。建設中の大間原発は、世界に前例がない、MOX燃料のみを使用する発電所です。そしてその大きな危険性が指摘されています。全国の原発から出された核のゴミが、「核燃料サイクル政策」の名のもとに六ヶ所再処理工場に集められ、さらに「むつ中間貯蔵施設」が建設されようとしています。六ヶ所再処理工場が本格稼働すれば、わずか1日の稼働で原発1年分の放射能を放出するとされています。貯蔵プールには3000トンもの使用済み核燃料が保管され、その危険性は原発の比ではありません。

 青森県民の皆さんに呼びかけます。原発マネーに私たちの命と暮らしを売り渡すことはもうやめましょう。原発・核燃がなくても、私たちは豊かに暮らせる知恵をもっています。子どもたちにこれ以上被ばくの危険と原子力の負の遺産を押しつけるのはやめましょう。次の世代にいのちをつなげていくために、「原発・核燃のない未来」を皆で選び取りましょう。

 私たちは今日ここに集い、日本政府に対して原発・核燃をなくす政策へのすみやかな転換を求めます。同時に、三村青森県知事がこの運動の先頭に立つことを求めます。そしてあらためて「原発・核燃はいらない」という思いを共有し、ここに原発・核燃との決別を宣言します。「さようなら原発・核燃!」

2012年3月11日

        さようなら原発・核燃3.11青森県民集会参加者一同

食品の放射性物質 年齢の数字を目安に キノコとタラに注意

2012年03月30日 | 東日本大震災・原発事故
 4月から食品の放射性セシウム濃度の基準値が100ベクレル(Bq)/kg、乳児用は50Bq/kgになります。これまでの暫定基準値が500Bq/kgでしたから、かなり厳しくなったようにも見えますが、子どもにはこの値で安心することは到底できません。

 目安として、核実験が盛んに行われていた頃のお米の放射性セシウム濃度でも10Bq/kgを超えなかったということを覚えておいて下さい。

 それ以外にはチェルノブイリ後の経験しかないのですが、セシウムの影響は全くなかったという説から重大な影響が続いているという説まで幅がありすぎます。

 わからないときはなるべく危険な方を考えて予防的に行動する。津波の対策と同じです。

 以前紹介した「原発と放射線」を書いた中山幹夫氏は、「年齢と同じ数字」を目安にするように主張しています。5歳なら5Bq/kgというように。

 放射性物質について「どこまでなら安全」ということは決して言えません。私もその数字なら「ガマン値」として妥当なところかとは思いますが、十代以降では高くなってしまうので、乳幼児は5Bq/kg、未成年で10Bq/kgを目安にしたいと考えます。(繰り返しますが新基準値は乳児で50Bq/kgです。)

 ただし、現在行われている検査では検出限界以下(ND)の値が20Bq/kgのことも多く、実際買う時には何も情報がない場合が大半です。八戸市、青森県、岩手県などのホームページにサンプル検査の情報が掲載されています。サンプル数が少なすぎるのが難点ですが、おおよその傾向がわかるかと思いますので参考にしてみて下さい。注意が必要なものについては気がついた時にブログやtwitterでも情報を発信しています。

 現在、八戸市で流通している食品については「年齢の数字」を下回っているものがほとんどだと推定されますが、念のため食材の種類と産地をチェックするようにすれば安心度は高まるでしょう。

 シイタケなどのキノコ類は岩手県産のものが多いのですが、県南部は注意が必要で県北部は(たぶん)大丈夫。情報が表示されていれば良いのですが、ただ岩手県産とだけ書かれていると困惑します。三陸のタラも秋から冬にかけて数十Bq/kgのものが散見されていましたが、3月のデータは20未満か非検出になっています。タラは底にいる魚なので高めになる可能性があるようです。このまま下がっていってくれれば良いのですが、今後の推移に注目しているところです。

LNT仮説の「掛け算禁止」問題 10万人あたり5枚の当たりくじなど存在しない?

2012年03月29日 | 東日本大震災・原発事故
この問題については何度か断片的に書いてきたが、一昨日twitterに続けて書いたものをまとめておきます。全部理解して批判できているとは思いませんが、この「掛け算禁止」が非常に政治的なものであることは言い切れる思います。
(関連entry→「1Gy被曝でがん死リスク42%増」の意味 LNT仮説が「哲学ではなく科学」であることは明白 中川恵一批判

<参考>
もぐさんの「リスク比較における『○○人に一人』は掛けてはならない』という主張
http://togetter.com/li/237937
集団線量の癌死予測への演繹方法について
http://togetter.com/li/238814
低線量被ばくのリスクからがん死の増加人数を計算することについて(原子力安全委員会)
http://www.nsc.go.jp/info/bassi_0908.pdf

<twitterより>

2012年03月28日(水)

LNT(直線しきい値なし)仮説の「掛け算をしてはいけない」問題。例えば0.01%=1万人に1人とは、1人死んで9999人元気ということではなく、元々1万人に100人死んでたのが101人になる。その101人は被曝が原因の1人とその他の原因による100人に分けることはできない。
posted at 00:25:59

LNT仮説:1mSvでは0.005%、10万人に5人。がん死が3万人とすると、3万5人に増える「だけ」であり、この差は他のリスクの中に埋没して検出できないから無視できる。ところが、環境汚染物質の基準は10万人に1人で、アスベストの敷地境界基準では7人を超えると逮捕される。
posted at 00:27:41

予防接種にはメリットとデメリットがあるが、通常目標とされる重大な副反応は百万分の1以下(紛れ込み事故もあるのでゼロにはならない)で、メリットの方が遥かに凌駕することが条件となる。1mSv被曝の0.005%=百万分の50という数字がどれほど大きいかがわかる。当然メリットは全くない。
posted at 00:29:02

話がそれるが、ポリオの生ワクは話が別で、不活化への切換えが遅れたこと(構造的には原発問題と同様に子どもの命ではなく業界保護を優先したこと)と、頻度が従来言われていたよりも高く百万分の1より多いことがわかってきたこと。
posted at 00:29:28

3万5人が亡くなったとして、元々の3万人と被曝による5人という形では分別不能。一人一人の因果関係はわからない。だからと言って増えた5人がいないわけではなく、全員が2万分の1(0.005%)のリスクを背負って全員足してみたら5人多くなっていたというのがこの計算の仕組み。
posted at 00:32:27

この計算は大人が自分自身で罹ったのなら許容できるかもしれない。しかし自分の子どもが大きな病気に罹ったり亡くなったとしたら話は別。100人が101人に増えたとしても、101人のうちの1人ではなく、101人全員の親が「あのとき避難していたら」という自責の念にかられることになる。
posted at 00:37:21

LNT仮説の1mSvで10万分の5という数字はがん死だけで、その他の病気は含まれていない。親が後悔したくないのなら(目には見えなくとも)津波がすぐそこに押し寄せているのだから、まずは安全な高台に逃げて、大丈夫そうならゆっくりと戻れば良い、と書いたのは去年の今ごろ。
posted at 00:38:42

原発事故後1年も経って「まず避難を」と主張する気持ちは失せた。少しでもリスクを減らすためというよりも、親の後悔を減らすために、避難できる方にはして欲しいと思う。0.005%というリスクを喧伝するのは親と子どもの心を不安にさせる不徳の医師のすることだという雰囲気がある。
posted at 10:02:43

掛け算から話がそれた。掛け算をしてはいけないという論理は、3万5人を3万人と被曝による5人に分けられないという当然の事実を、だからその5人は存在しないという詭弁に過ぎない。皆が2万分の1リスクを背負って足してみたら5人多いという計算を「5人が引いた当たりくじなど存在しない」と。
posted at 10:05:58

環境リスク学はなぜ御用学問に成り下がったか 中西準子『環境リスク学』を批判的に読む

2012年03月29日 | 東日本大震災・原発事故
『環境リスク学』中西準子
この本の前半は勉強し自らの認識を確認しながら敬意を持って読み、後半は批判的に自ら考えながら読んだ。特に原発問題などへの著者の態度は、市民のリスク不安や予防原則に対して冷笑的。三つのリスク(科学的リスク<規制リスク<リスク不安)で現実には市民のリスク不安が正しく「専門家」が過小評価し続けたことがこの惨禍の原因となった。原発事故後も事故と健康被害に対して同様の状況が続いている。リスク評価の方法論が正しかったとしても、市民ではなく業界や政府を守るために悪用された。

以下、まとまってませんが『環境リスク学』を読みながらtwitterに書いたものを順に拾っておきます。引用とコメントが入り混じっていてわかりにくい部分があるのでご注意下さい。

2011年12月11日(日)

ある大学の先生が、蒲生さん<産業技術総合研究所・蒲生昌志氏>が描いたグラフを出して講義したら、学生が「ダイオキシンよりタバコのリスクの方が高いんですか」と驚いていたそうです。こんな当たり前のことが知られていないのです。(中西準子『環境リスク学』より)
posted at 00:07:46

公害問題はリスクは高いが影響範囲は小さく局地的。環境問題はリスクは小さく昔のセンスでは安全だが不安が残るというレベル。今は何もないが将来危ないことが起こるのではないかということが関心の中心。リスクは公害より小さいが影響範囲は広い。(中西準子『環境リスク学』より)
posted at 00:41:54

2011年12月13日(火)

疑わしいものがあるとき、「禁止する」「何もしない」という二分法的考え方では、これからの環境問題に対処できない。中間の道とは、リスク評価をし、リスクの大きさとその物質を禁止したときの別のリスクの大きさとを比較しながら対策を立てること。(中西準子『環境リスク学』より)
posted at 11:23:52

中西準子氏のリスク評価の考え方は正しいが、放射能汚染と避難をあてはめた時に、放射能のリスクよりも避難によるストレスの方が大きいという論法を許してしまった。現状では避難により放射能のストレスから解放される方が大きい。避難のストレスは原発事故で生じたものだから二者択一の問題ではない。
posted at 11:26:00

本文中にも「リスク評価に対する批判は、リスク評価そのものを批判しているのではなく政治的なものではないかという疑いが根底にある」と書かれているが、その後の回転扉事故に関する認識は「子どもの手を引くようにするとか」など、事故防止の原則を知らない自己責任論。中西準子『環境リスク学』より
posted at 11:37:09

勉強しつつも批判的に読んでいる。最後の方に「原子力が夢の技術とは思わないが、わが国のエネルギー状況と今の管理技術を考えればもう少し利用されてもいいと思う。残念ながらリスク不安が大きく、原子力発電所の建設が市民に拒否される状況が続いている」との記載あり。中西準子『環境リスク学』より
posted at 15:56:49

そもそもリスク評価以前に、必要性や代替手段について殆ど触れられていない。BSEやインフルエンザなどは仕方ないとしても、原発やタバコ、大型自動回転扉などはリスクばかりで全く必要性がない。タバコは致死率50%でメリットなし。大型自動回転扉は空調のコスト削減だけか。原発はもう議論不要。
posted at 15:58:04

わが国の行政機関は、BSEの場合も、リスクの大きさを説明しないし削減策の中からあるものを選ぶ理由や費用が妥当かの説明が全くない。本当に必要なリスク削減策に資源(資金や人手)を回すことができなくなり、国民の健康や福祉のレベルが下がり国力の低下につながる。中西準子『環境リスク学』より
posted at 16:07:06

放射能汚染の高度な地域や、森林、農地の除染など不可能なことに復興予算を注入すれば、土建屋(原発利権)は特需で儲かるが、作業員や自衛隊員は不要な被曝を強いられ、被災者は移住も出来ず放置され、国は沈んでいく。BSEの時の構図がそのまま当てはまる。中西準子『環境リスク学』より
posted at 16:21:15

2011年12月13日(火)

政府、学者、医師、マスコミが事故直後だけでなく現在までリスク管理、リスクコミュニケーションに徹底的に失敗したため(例:福島のコメ)、国民は「政府の言うことを信じない」のではなく「政府の言うことだから信じない」状態に陥っている。私は3.11以前からそうだったが。
posted at 16:39:57

リスク評価とリスク管理 現状のリスク評価の批判的分析 マサチューセッツ予防原則プロジェクト http://t.co/lfCBrUU9
posted at 17:54:02

健康に関するリスクコミュニケーションの原理と実践の入門書(CDC)農水省訳 http://t.co/J79Quxev
posted at 17:54:22

2011年12月16日(金)

リスク評価の構成と基本を理解することで、リスク評価を批判的に分析し、今日のリスク管理手法の危険性と、それが悪用されている現状について理解することができる。一般にリスク評価は危険な行為を正当化するために用いられている。(マサチューセッツ予防原則プロジェクト)←やっぱりそうか
posted at 11:48:41

ICRPは「微量の放射線による発がんリスクをLNTモデルに基づいて多くの人数に適用し、発がんやがん死亡数等を論じることは妥当ではない」と明記している(酒井一夫・医学のあゆみ)そうだが、そうされると都合が悪いから根拠なくそう主張しているだけなのでは?
posted at 16:41:03

そもそも、見積もったリスクに影響を受ける人数を掛けるのがリスク評価のはず。掛け算をしてはいけない理由はどこにあるのか。結果に幅があるのは元より承知。ICRPのLNT仮説はその中では低い方に入るはず。(ナントカ効果という健康になる仮説もあったが)
posted at 16:41:22

2011年12月17日(土)

【環境リスク学―不安の海の羅針盤/中西 準子】を読んだ本に追加 →http://t.co/WBaqWPPE #bookmeter
posted at 14:27:34

【環境リスク学―不安の海の羅針盤/中西 準子】この本の前半は勉強し自らの認識を確認しながら敬意を持って読み、後半は批判的に自ら考えながら読んだ。特に原発問題などへの著者の態度は、市民のリスク不安や予防... →http://t.co/0i75sWAJ #bookmeter
posted at 14:42:54

2012年02月17日(金) 1 tweets
RT @HayakawaYukio: 「私は、あと1年か2年、暫定規制値でいいと思っていた。」中西準子、2月9日  http://t.co/ynHvyPIh
posted at 15:47:52

2012年03月02日(金)
RT @HayakawaYukio: 著名人を特定しておこう。中西準子さんの2月22日雑感だ。 http://t.co/yZsvwwhW 彼女は立派な業績を持つひとで尊敬してたが、今回の原発事故での発言はまったくいただけない。
posted at 11:02:47

2012年03月29日(木)

福島大学放射線副読本研究会の『放射線と被ばくの問題を考えるための副読本』http://t.co/yjCuG4Za を読み通してみた。必読。中高生にも読んでもらいたい。一部に批判もあるようだが「この副読本も批判的に読んでいただいて結構」と書かれており、改訂を重ねていけば良い。
posted at 15:34:02

『放射線と被ばくの問題を考えるための副読本』http://t.co/yjCuG4Za 1カ所だけ、喫煙を自動車などと同列で「目的をもってそれを行う人にとって何らかの便益を得ることが可能」と書いているのは間違い。喫煙は便益ゼロ致死率50%のニコチン依存症という病気。
posted at 15:34:35

『放射線と被ばくの問題を考えるための副読本』で中西準子『環境リスク学』が大橋弘忠の「専門家になるほど格納容器が壊れるなんて思えない」とならんで「事故前の専門家の発言例」として紹介されている。『環境リスク学』は12月頃に読んで批判的にtweetしたのであとでまとめてみる。
posted at 15:53:14

『放射線と被ばく…副読本』田崎氏の批判 http://t.co/rYS6fbJt 前2段は同意できるし修正が望ましいと思うが「正しい怖がり方」については為にする議論。論理は間違っていないが副読本を読み直してみても問題は感じられない。氏の意図とは違う形で引用されているように思える。
posted at 15:58:07

米国の退役軍人ダイオキシン裁判の和解例を、水俣病被害者に提案して批判された話も、適当ではなかったと自ら認めているが、中西氏のリスク評価が住民・被害者の側に立ったものではなかったという顕著な例。(中西準子『環境リスク学』より)
posted at 17:01:19

リスクの大きさ三種。a)科学的評価リスク。b)社会の意思決定で用いられるリスク。c)国民が抱く不安としてのリスク。a<b<cの差を縮める努力を怠ると無駄が大きくなる。aに近い意思決定のためのリスクの大きさを適切に選ぶことが重要。中西準子『環境リスク学』 ←専門家が正しいという立場
posted at 17:04:28

疑われている物質の危険を回避しようという原則と、禁止した時の逆影響を予防するかという両側の予防原則が必要。しばしば言われる予防原則が本当に水俣病などから学んだのか疑問を抱く。セレン、マンガンを禁止すべきだったのか。『環境リスク学』より←予防原則を国民の命でなく企業を守る方向に逆用
posted at 17:07:20

中西準子氏は一貫して科学が評価したリスクを重視し、国民の不安リスクや予防原則に冷笑的。しかし原発事故では、国民の不安リスクが正しく、専門家のリスク評価が過小評価であったのが現実。中西氏の「もう少し利用されてもいい」という評価は完全に否定された。
posted at 17:07:54

H23日医母子保健講習会報告4:原発事故後のリスクコミュニケーションの失敗(私見)

2012年03月23日 | 東日本大震災・原発事故
 講演によると、日本産科婦人科学会では原発事故後の情報発信が妊産婦の不安を解消する役割を果たしたと評価しているが、そのように受け止められたのかどうか検証が必要ではないか。

 一例として、5月2日の母乳中の放射性ヨウ素に関する通知について考えてみる。3月下旬には汚染地域の牛乳や水道水から放射性ヨウ素が検出されており、学会でも水道水に関する通知を発表している。同時に母乳の汚染を心配する声も上がっており、私も当然ある程度は検出されると予想し、国が調査すべきと考えていた。

 しかし、政府も学会も自ら動こうとはせず、4月下旬に市民団体が自主的に検査して発表し、政府も母乳汚染の事実を認めた。更にその後に学会が細かい数字をあげて「赤ちゃんの健康被害は現時点では起こらないと推定される」と政府の言動にお墨付きを与える格好となった。

 この構図は11月の乳児用粉ミルク汚染でも全く同じ形で繰り返された。乳業メーカーは原乳の汚染について情報公開を求める声を「基準内だから」という理由で拒否し続けたあげく、市民団体がセシウム汚染を検出し、基準内だが自主回収に追い込まれるという事態に至った。

 原発事故後、政府や専門家に対する国民の不信感は急速に高まっていた。低線量・内部被曝の影響を過小に伝えて安心させようとした医師や医学界への不信が募る中で、学会からの情報も「安全情報」の一つして受け止められた。

 政府は「直ちに健康に影響がない」ことの根拠として医療被曝との比較を多用した。そのような不適切なリスク比較に対して、医師会や各学会から早急に申し入れすべきと考えていたが、学会自らが声明の中で同じ手法を用いている。原発事故による被曝はメリットが全くなく、合意なしに無差別に被曝が強要され、専門家による管理が不能の状態にあり、医療被曝と同列に論じることは不信感を招くだけであった。

 産科婦人科学会は、政府が根拠を示さないまま安全情報を出し続けたことへの不信に対し、学会では迅速に具体的な数字で根拠を示したことが安心に繋がったと自己評価しているが、これは事後の視点、すなわち、誤って1回の被曝をしてしまった際に、患者を安心させるための一種のパターナリズムの話法である。しかし、現実には原発から放射性物質の放出が続き、更に最悪の状況に進展する可能性もあり、大地や食物からの被曝が今後も積み重ねられていく状況の中で、事前の視点、予防原則に従ったメッセージを発信できなかったことを問題にしたい。

 産科婦人科学会に限らず多くの学会から出された情報は、避難しなくても良い、そのままそこで被曝していても大丈夫というメッセージとなった。3月15日の第一報ではヨウ素剤服用が必要な50mSv被曝の例として「2000μSv/hの線量を25時間受け続ける」と記されているが、多くの国民は20μSv/hですらとてつもなく高い線量であることを後になって知ることになる。3月に飯舘村で実施された小児の甲状腺被曝検査も同様の「安全情報」となり、飯舘村から子どもが全員避難を終えるまでには更に3ケ月もの月日を要する結果となった。

(この文章は、講演2「災害と周産期医療について」に関する私見です。八戸市医師会報に掲載予定)

H23日医母子保健講習会報告2「災害と周産期医療について」

2012年03月23日 | 東日本大震災・原発事故
2)災害と周産期医療について
      吉村泰典(慶應義塾大学産婦人科教授)

 東日本大震災に際して、日本産科婦人科学会では被害状況の把握、物的・人的支援、妊産婦に対する支援、行政への働きかけ等を実施した。岩手、宮城、福島の3県では診療所の半数は分娩を中止しており、宮城県では7割にも達した。分娩数の多い宮古、気仙沼、石巻の3市に全国の大学から医師の派遣を継続している。

 福島原発事故後の放射性物質による環境汚染は、妊産婦と子どもをもつ家族、生殖年齢にある女性に深刻な問題を投げかけている。軽度ではあるが長期にわたる内部被曝が母子に与える影響は、世代を超えて持続する可能性を否定できず、今後も注意深い観察と検証が必要である。

 政府の発表が国民の不安を増大させていた状況の中で、学会では事故直後より妊娠・授乳中の女性に対し、放射線被曝や水道水・母乳・粉ミルク・食品の放射性物質汚染に関する情報を8回にわたり発信し、不安の解消に務めた。

(この文章は講習会出席報告のために書かれたもので、文責は当方にあり、要約の内容が演者の意図を十分に反映していない可能性があります。八戸市医師会報に掲載予定)

【SPEEDI】福島県「データ大きくて消去」もウソだろうが、15日朝からの情報は受け取っていた

2012年03月22日 | 東日本大震災・原発事故
SPEEDI隠蔽に関しては、どれもこれもウソだろうという前提でみていった方が良い。どこまで口裏を合わせているのかも判然としないが。
原子力安全技術センターは無実を証明するために本当の事を言っていると思う。

この「容量が大きすぎて消してしまった」などというのはコメントするのも阿呆らしくなる。。

福島県が拡散予測消去 当夜から受信5日分(2012年3月21日)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012032190070832.html

問題は、これがもし本当だとしても、15日朝からの情報は受け取って知っていたわけだ。当日に飯舘村~福島市方面の汚染が起きる可能性が高いことも。

県の担当者は「送られてきたデータは二十キロ圏の範囲で、既に圏内の住民は避難した後だった」と釈明しているが、前のentryに書いたように、20km圏をはみ出して、夕方から夜にかけてこの方面に流れるシミュレーションは出ていた。(ただし、文科省のSPEEDIのページではどのファイルが何時に出たものかわからないので前後関係の確認ができない)



>県は「予測は役に立たない」として、その後も送られたデータを
>公表せず、市町村にも知らせなかった。

この日、文科省では大臣・幹部が「とても公表できない」と判断している。
このあたりの関係や、誰がどういう判断を行ったのかも、全て薮の中だ。
国と県で全く独自にそれぞれ「公表しない」と判断したとは考えにくい。15日であれば連絡は普通にとれたはずであり、謀議して隠蔽を決めたと考えるのが普通だ。
どうしてこれが捜査の対象とならないのか。法治国家としての体をなしていない。

【SPEEDI】政府が隠蔽したのは飯舘村ではなく3月15日朝の東京への放射性プルーム襲来情報のはずだ

2012年03月22日 | 東日本大震災・原発事故
▼ SPEEDI隠蔽批判報道は的外れか追及が甘い。政府が何としても隠そうとしたのは飯舘村汚染(3/15夜)ではなく、その前の東京への放射性プルーム襲来(3/15朝)であったと考えるのが、ごく当たり前の論理だ。(以下、いくつかの状況証拠から論証してみるが、具体的な証拠を知る立場にはないので、それ以上の追及はここではできない。)

この日は関東全域に少なくとも屋内退避(全経済活動停止)を命ずるべき状況だったが、政府は絶対にそんなことはしないしできないと確信していた。しかし、翌日になればメディアも国民もいくら何でも気がつき、大騒ぎになるだろうと判断した。(前段は当たっていたが後段は間違っていた)

▼ NHK ETV特集取材班による『ホットスポット ネットワークでつくる放射能汚染地図』の第一章に次のような記載があるのを読んで、いくつかの状況証拠が繋がってきたのを感じた。

「実は前日(註:3月14日)の深夜ある専門家筋からの情報でこの日にプルーム(放射性雲)が東京・横浜方面に流れると聞いていた。朝早く起きてメールなどで知っている限りの友人に知らせた。職場の上司にも、研究所員を自宅待機にするよう進言した。娘もありとあらゆる友だちに携帯メールで「いまそこにある危機」を知らせた。」

この章は七沢潔ディレクターの執筆。この「専門家筋」が誰なのかは突いても出てこないだろうが、SPEEDI情報ではないかと推察される。七沢氏はチェルノブイリ以来、原発問題を追及し続けており、SPEEDIの存在やその情報を入手できる人を知っていたとしても不思議ではない。あるいは、SPEEDIそのものではなくても、原発の状況と風向き情報などを総合的に判断できる専門家だったのかもしれないが、「東京・横浜方面に流れる」という表現は具体的すぎる。

(追記:この部分を引用したのは七沢氏が情報を公表せずに身内や知人だけに伝えたことを非難しようとしたわけではない。あの状況ではそれ以上のことは出来なかったと思うし、私自身も、3/15には家族にしか連絡しなかったから。しかし、1年経って状況が変わって来ており、情報源やルート、SPEEDI隠蔽問題との関連などを明らかにする時期が来ているのではないか。)

問題はこの記事。

▼ 文科相ら「公表できない」SPEEDIの拡散予測
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201203030112.html
「昨年3月15日、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による放射性物質の拡散予測について、当時の高木義明文部科学相ら政務三役や文科省幹部が協議し「一般にはとても公表できない内容と判断」と記した内部文書が作成…」「予測は原子炉内の全ての放射性物質の放出を想定し、文書には「関東、東北地方に放射性雲が流れるとの結果が出た」と広範囲な流出も記載 …文書は昨年3月19日付。政務三役らが出席した15日の会議で、試算結果を三役が見て「一般には公表できない内容であると判断」 …当時副大臣だった鈴木寛参院議員は「全量放出との前提は現実にはありえず、パニックを呼ぶ恐れもあった」と説明した。」

これでは具体的にどの情報を見て「とても公表できない内容」と判断したのかが判然としない。日付は問題の3月15日、菅前首相が東電に乗り込んだ日だ。政府首脳は当時SPEEDIの存在も知らされていなかったと主張しているがそれも嘘だと考えるべき。文部科学大臣や文科省幹部だけでこんな重要なことを決められるはずがない。(高木義明文部科学相も戦犯の1人として捜査対象に入れるべきだ。)

状況を振り返ってみてみれば、最初の危機的状況は飯舘村・福島市方面ではなく、東京・横浜への大襲来であり、「一般には公表できない内容」がそれに相当すると考えるのが普通だ。

▼ 文部科学省のSPEEDIのページを探してみた。

緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)等による計算結果(文部科学省)
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/distribution_map_SPEEDI/

福島第1原子力発電所(単位放出 WSPEEDI)[平成23年3月15日(火曜日)](PDF:435KB)
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1770/2011/03/1305748_0315_06.pdf
福島第1原子力発電所1号炉(全量2)[平成23年3月14日(月曜日)](PDF:309KB)
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/1770/2011/03/1305748_0314_01.pdf

…「全量放出」という条件では後者だろうが、東京横浜直撃という画像では前者がまさにその情報だ。PDFから切り取った画像を最後に掲載しておく。

▼ SPEEDIの公開情報をチェックしてみたが、3月15日朝の拡散予測は東京に赤とオレンジの細い筋が真っ直ぐ押し寄せている。3月15日の朝に2号機爆発のニュース(これは予測の範囲内だったが)とアメダスの風向きを見てこれはまずいと思った。風向きの変化までは想定していなかったが、前夜に予測は出ていたのだ。

▼ 東京へのSPEEDI拡散予測を隠せば、その後の飯舘村方面への拡散予測も何もかも隠さざるを得ない。結果として、運命の風と雨(雪)により飯舘村や福島市が汚染されたが、これがいわき市や水戸市であっても何らおかしくなかった。もちろん、東京や横浜であった可能性もあった。

▼ 政府が守ろうとしたのは何だったのか。東京に屋内退避命令を出せば、東証も停止となり株は暴落。世界中の投資家が日本から資金を引き上げて、損失は放射能汚染の補償どころの話ではなくなる。今こうやって直接被災していない多くの国民が(形だけでも)普通に暮らしていられるのは、政府がSPEEDI情報を隠してくれたお陰だと言うこともできる。それは福島や関東・東北の広い地域の放射能汚染という犠牲の上で成り立っているものだが。

▼ 昨年3月15日~16日の放射性物質拡散予測(SPEEDI)。データはKr85だが他の放射性物質も当然一緒に押し寄せた。















▼ 3/15 11時~21時の積算値 吸入による1歳児の甲状腺被曝等価線量



川内村にかかっている内側の濃い点線が1000mSv、いわき市にまで広がっている外側のオレンジの点線が1mSv あくまでシミュレーションによる計算値ですが

※ なお、当日(3/15)の放射性物質拡散シミュレーションについては数日前に書いたが、13時の図を再掲しておく。SPEEDIの予測がほぼぴったり当たっていることがわかる。(どちらもシミュレーションではあるが)

国立環境研究所の放射性物質シミュレーションを見直してみる 運命の風と雨・雪 関東の I-131被曝は?(2012年03月17日)
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/b69c56540c1eee7fbeb914fd59265fbe