踊る小児科医のblog

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タバコで20万人死亡:どちらが危険?

2009年04月30日 | 禁煙・防煙
タバコ:全国で3000万人が罹患、毎年20万人ずつ死亡し、最終的に半数の1500万人が死亡。
新型インフルエンザ:全国で1000~2000万人が罹患して、数万~数十万人が死亡。ただし基本的には最初の1シーズンがメインで、翌年以降は季節性のインフルエンザとなるか収束する。
新型インフルエンザのことを「怖い」と言いながらタバコを吸っている皆さん。この数字をどう考えますか。
それに加えて、喫煙者はインフルエンザの罹患率も重症化率も当然のことながら高くなります。SARSの時にも確かめられています。
無症状の旅客に防護服で乗り込んで検疫するのであれば、直前に吸ったタバコの有害な煙を吐き出し続ける新幹線の乗客を排除すべきでしょう。
一般の想像をはるかに超える受動喫煙(毎年2万人以上死亡)およびサードハンドスモークの被害を放置しているこの国。。

死亡率は1%未満?問題はウイルスの病原性

2009年04月30日 | 新型インフルエンザ
フェーズ5で浮き足立っている雰囲気。。例によって過剰反応の方が心配です。。
国内発生が公式にはゼロの段階では、フェーズ4もフェーズ5も大きくは変わりません。
乗客が全員元気なのに防護服を着て機内に乗り込んで検疫するなんて異常です。
ウイルスは潜伏期に侵入すればその段階では防げないので、帰国後の発症への対応がポイントになるでしょう。
完全に侵入ゼロに抑えるのは無理だとの前提で考えた方が良い。

問題は前回も書きましたが、強毒性の「新型ウイルス」なのか、普通の強さ程度の「新しいインフルエンザ」なのか。

メキシコの統計は母集団も死亡者(そのうち豚インフルエンザがどの程度なのか)もはっきりしないのですが、おそらく感染者は数万人に上ると推測されるので、死亡率は大雑把に見積もって1%前後か。
先進国ではもっと低いことが予想されます。(現段階では)

米国での死亡第1例の経過が気になりますが、メキシコでみられたような成人例ではなく、何らかの病気で加療中の1歳児であること。メキシコ人であることも関係してくるかどうか。
詳しい情報はまだ掲載されていません。
その他の大多数は軽症で経過してらしい。

季節性のインフルエンザで、日本国内では毎年千人くらい亡くなっていますが、超過死亡は1万人前後なので、感染者が1千万とすると0.1%、その多くは高齢者。数は少ないが乳幼児。
新型インフルエンザの場合は、年長児や成人の死亡者が出てくることも予想されるので、単純に数字上の比較だけで議論することは出来ませんが、死亡率0.5%でも1万人の感染で50人(1000万人だと5万人)が亡くなるという計算になります。

ただし、強毒性の「新型ウイルス」で予想された3000万人感染で2%の60万人が死亡という状況を仮定して策定された計画どおりに一律に対処すべきなのか、疑問もあります。
おそらくこれから議論になってくるでしょう。

冬場の乾燥期ではなくこれから暖かくなるので流行が収束するというのは楽観的すぎるでしょう。人から人に感染し続ければ、季節は関係ないことはここ数年の夏場の流行で明らかになっています。

下記の東京新聞の記事では「豚インフルエンザの死亡率は1%未満、通常のインフルエンザは0・1-0・3%」と推定していますので、大体同じような予想になりますが、いずれにせよ「どの程度の病原性なのか」はまだわかりません。
もっと強いかもしれないし、もっと弱いかもしれない。それが問題。

豚インフル 衛生環境か医療水準か メキシコと先進国に差(2009年4月28日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009042802000065.html