踊る小児科医のblog

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消費税よりタバコ税:タバコ増税反対の候補を医師は支持すべきでない

2009年08月08日 | 禁煙・防煙
昨年12月に、日本医学会、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会など医療各団体の連名で提出した、

 たばこ税の引上げに関する意見書
 http://ishii-midori.sakura.ne.jp/report/ikensho081203.pdf
 禁煙推進議員連盟決議
 http://ishii-midori.sakura.ne.jp/report/ketsugi081203.pdf

これを自民・公明の与党はものの見事に叩き潰しました。
その中心となったのが大島理森氏であることは各社で報道された通りで、先日出席した懇談会でもタバコ問題について直接説明しましたが、具体的な返答はありませんでした。(「禁煙するかどうか考える」とのことでしたが)
私たちが実施したタバコ問題アンケートでも、タバコ税増税反対、タバコ農家転作反対(これまで通り推進)と、医師会の政策に真向から反対する意見を堂々と回答しています。確信犯と言えます。
 →衆院選候補者タバコ問題アンケート結果(大島、江渡、木村氏は増税反対)
  http://aaa.umin.jp/data/2009/200908kaitou.pdf
  (正式版は8月10日に発表予定)
引退した津島雄二氏は、自民税調会長という要職にあり、自身はタバコ税増税論者でありながら、何ら政治力を発揮しようとせず、何の役にも立ちませんでした。その息子の無所属候補について言及するつもりはありませんが、推薦する県医師会の気が知れません。(何のメリットもない…会員の利益を損なう行為と言えます)

タバコ税大幅増税でタバコ一箱千円になれば、毎年2~3兆円以上の財源が浮かび上がります。
→グラフ参照:26~51%が禁煙しても5.9~3.2兆円増収
 
2200億円の5年分である1.1兆円が1年でまかなえるだけでなく、タバコ農家転作対策を加えても十分すぎるほどおつりが来ます。
(参考:消費税1%=2兆円)

それだけでなく、3000万喫煙者の8割の2400万人が禁煙し、その半数の1200万人の命が助かる、それも全く何の財源も苦労もなく、税収はむしろ増加するのです。
更に、未成年の新たな喫煙者は限りなくゼロに近づくでしょう。
(当然、JTの経営は限りなく倒産に近づきますが)

このような劇的な医療政策は他ではあり得ません。
もちろん長期的な財源にはなりませんが、80%が禁煙するまで10年程度かかるものと予想されています。
予想に反して短くなるに越したことはありませんが、これはあくまで税収増が目的ではなく、タバコの惨禍から国民、なかんずく受動喫煙の煙害の中で育っている子どもたちの命を救うための、緊急かつ最重要の課題です。

自公政権はタバコ税についてマニフェストにも全く触れていません。
それどころか、タバコ税に手を付けずに消費税の増税を目論んでいます。
医療機関の損税については何ら手だてを打とうとせずに。
(いつも理解のありそうな発言はしますが具体的には何もしようとしなかった)

今回、民主党のマニフェストには残念ながら掲載されませんでしたが、政策集には、たばこ事業法廃止、タバコ税増税、JT規制がきちんと活字化されました。
私たちの永年の運動に耳を傾けてきた、その成果と言えます。
世界的に見ればごく常識的な政策ですが、この財務省支配の国では画期的なことで、この点だけでも今回は民主党政権でタバコ規制政策の根本的な転換をさせる必要があると言えます。

3千万人とその家族の命を救う政策とは、ごく簡単な当たり前のことで、それは医師会の政策そのものでもあります。
それを真向から否定するだけでなく叩き潰した候補を推薦することは、許されないことです。
国民の命を犠牲にした大島氏には今回は退場していただく必要があります。
(尾辻氏の「医師会の支持はいらないのか!」という叫びを無視してタバコ税増税を叩き潰した張本人ですから、医師会が支持する必要は更々ありません)
「団結して支持」など、どこをどう探してもあり得ない話です。

ご自身が喫煙しながら社会保障政策の意見を滔々と述べている方もいらっしゃいますが何の説得力も持ち得ません。
これは個人攻撃ではありません。
タバコ規制政策は、喫煙政治家にはできません。
喫煙教師には、防煙教育はできません。
喫煙医師には、禁煙治療はできません。医師は喫煙すべきではありません。
禁煙しないと、真実はわからないのです。
反発する方もいるかもしれませんが、「禁煙してはじめてわかった」というのは、禁煙治療で禁煙に成功された方から異口同音に伝えられる言葉です。

タバコ問題をアルコールと同列視するなど軽視・混同している方は(非喫煙)医師の中にもいらっしゃいますが、タバコ規制策組条約(FCTC)の『たばこの消費及びたばこの煙にさらされることが健康、社会、環境及び経済に及ぼす<破壊的な影響>から現在及び将来の世代を保護することを目的とする(外務省訳)』という条文をご理解いただき、今回も争点になっていないタバコ問題を医師たるものは重要な判断の基準にすべきと考えます。

 この「予防可能なタバコ大流行(epidemic)」を食い止めることは
 いまや世界中の政治家にとって、公衆衛生上の最優先課題だ
  Dr Margaret Chan, WHO Director-General

本来、このような問題は超党派で取組むべきものですが、自公政権には絶対に実現できないと昨年末に痛感させられました。
政権交代が必要です。(私がここに書かなくても実現するとは思いますが)

ちなみに、前記の禁煙推進議連には、自民党の石井氏、津島氏(引退)、武見氏、西島氏、国民新党の綿貫氏、民主党の小宮山氏、鳩山氏らが参加しており、昨年増税のために結成された議連にも自民党の中川秀直氏、尾辻氏、公明党の北側氏、民主党の前原氏らが参加しています。
青森県内の各候補の回答は繰り返しますが下記PDFをご覧下さい。
http://aaa.umin.jp/data/2009/200908kaitou.pdf