踊る小児科医のblog

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院内版感染症情報~2010年第02週(01/11~01/17)

2010年01月23日 | 新型インフルエンザ
 インフルエンザは11月中旬にいったん減少し、11月最終週をピークに急上昇した後、減少傾向が続き、冬休みに入ってほぼ下火になりました。7月から12月中旬までに全国で1400万人以上が感染し、その8割の1100万人は未成年だという推計も発表されましたが、未成年の人口は2300万人程度ですので、疑い例や不顕性感染を含めると、すでに子どもの過半数は感染したものと推測されます。乳幼児や大人を含めて、未感染の人もある程度残っているので、3学期に入って小さな山がみられるかもしれません。12月末現在ウイルス定点で検出されているインフルエンザウイルスはほぼ全てA/H1N1(いわゆる新型)ですが、今後A香港型などの季節性が流行してくるかどうか注意が必要です。

 ほかの感染症は目立ちませんが、インフルエンザが下火になるのと入れ替わりに、この時期に毎年見られるウイルス性胃腸炎(ノロまたはロタウイルス)や咳がひどくなるタイプ(RSウイルスなど)が増えてきています。

 一部の保育園などで水ぼうそうやおたふくかぜが流行しているようですが、水ぼうそうやおたふくかぜのワクチンは個人防衛ためのもので、流行は野放し状態にあると言えます。(米国では両ワクチンとも公費で接種されています)
(院内報 2009年12月・2010年1月号より)

ゼロ歳児も接種開始~インフルエンザワクチンの接種状況

2010年01月23日 | 新型インフルエンザ
 基礎疾患のない健康な成人に加えて、これまで接種できなかった0歳の乳児(当院では6ヶ月以上)にも接種できるようになり、全ての年齢で接種できることになっています。また、既に感染した子どもも多く、流行も下火になっていることから、予約された方にはできるだけ早いうちに接種を終わらせてしまいたい状況にあります。今後はワクチンの入荷も予約分のみに絞っていきますので、0歳児や健康な成人も含めて、ご希望の方は早めにお申込みください。季節性ワクチンの接種は終了しております。
(院内報 2009年12月・2010年1月号より)

輸入インフルエンザワクチンは使用しません

2010年01月23日 | 新型インフルエンザ
 中高生までは国産ワクチンを接種することになっていますが、大人でも入手できる限り国産ワクチンで接種します。輸入ワクチンは国産と違って免疫を高める成分が入っていて筋肉内注射が必要なことや、使いにくい大瓶であること、国内での使用経験がなく副反応などの懸念も解消されていないことから、 当院では使用しないことにしました。国産ワクチンの供給も余裕がある状況なので、 輸入ワクチンはほぼ全量余ることになるでしょう(これも税金)。
(院内報 2009年12月・2010年1月号より)

子宮頸がん予防のHPVワクチン 1月から接種開始

2010年01月23日 | 予防接種
◇ 接種対象:10歳以上の女性(11~14歳に推奨)
◇ 接種方法:1回0.5mlを3回、筋注(初回、1ヶ月後、初回の6ヶ月後)
◇ 接種料金:任意接種(全額自己負担)、1回 14,000円

 前号でお知らせした子宮頸がん予防のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンを1月から接種開始します。非常に高額なワクチンですが、予防効果は高く接種率の向上による子宮頸がんの減少が期待されており、定期接種化(無料化)が望まれます。民主党の総選挙「政策集」の中には掲載されており、政府でも公費負担を検討しているようですが、その時期や金額(一部か全額か)、対象年齢などはまだわかりません。当院ではなるべく多くの方が接種できるように、最低レベルの価格に抑えてありますが、お子さんの将来の健康のために中学生になったらHPVワクチンのプレゼントをお勧めします。
(院内報 2009年12月・2010年1月号より)

HPVワクチンの効果は? 子宮頸がん検診とどちらが大事?

2010年01月23日 | 予防接種
 これは結論から言うと、どちらが大事ということではなく「10代で予防接種、20代から検診」と両方受けていくことが大切です。



 HPVワクチンは16型と18型というがんを起こしやすい2つの型に対するものですが、悪性化しやすい型は100種類のHPVのうち15種類が知られており、この2つの型だけで100%予防できるわけではありません。また、検診ではがん化する前の異形成の段階から発見でき、ごく初期に発見すれば子宮を温存して負担の少ない手術でほぼ全例完治することができます。HPVワクチン+検診のセットを全員が受ければ、子宮頸がんを激減させることができるのです。

 なお、子宮頸がんは喫煙でも2倍以上リスクが高くなり、喫煙+HPVで相乗的に高まることがわかっています。依然として若い女性の喫煙率が高く、20~30代の子宮頸がんが急増していることの大きな要因になっているのです。
(院内報 2009年12月・2010年1月号より)

1~2月の診療、急病診療所、各種教室、相談の予定

2010年01月23日 | こども・小児科
 1月4日から通常診療で、2月の臨時休診はありません。急病診療所当番は2月6日(土) 夜、2月28日(日) 夜。次回の赤ちゃん教室は、3月20日(土) の予定です。育児・子どもの心相談、禁煙外来(保険診療)は随時受け付けております。メール予約システムをご利用下さい。
(院内報 2009年12月・2010年1月号より)

「真実を知らされていない国民」by マーク・ギブンズ氏

2010年01月23日 | 禁煙・防煙

これは、2006年6月にオーストラリア人看護師マーク・ギブンズさん(当時愛媛県在住、現在帰国)が禁煙お遍路で日本列島を徒歩で縦断した際に、市内の小学校で防煙授業をしたときの写真です。
(以下は私が毎年小学6年生に行っている防煙授業でも触れているエピソードです)


マークさんは、鹿児島から北海道の宗谷岬まで歩ききってゴールしたときに、ゴールできて嬉しいのではなく「カナシイ」とおっしゃいました。何が悲しいかというと「こうしてゴールした今も、毎日300人(※)もの人がタバコで亡くなっている。その状態は何も変わっていない。それが悲しい」とのことでした。


禁煙授業のときに小学生が「タバコを吸っている人のことをどう思いますか」という良い質問をしてくれました。マークさんは、母国オーストラリアと比較しながら「真実を知らされずに(半数の人が)亡くなっていく、カワイソウ」と答えました。

オーストラリアでは、テレビのCMでこのような禁煙キャンペーンが流されています。
http://www.quitnow.info.au/internet/quitnow/publishing.nsf/content/smokescreen-lp
ぜひご覧下さい。これが各家庭のテレビで流れているのです。

一方、日本ではJTがゴミ拾いをしたりバレーボールで社会に貢献しているというCMが堂々と流されています。
http://www.jti.co.jp/knowledge/tvcm/

このような企業イメージアップ広告は、タバコ規制枠組み条約で規制されているのですが、日本政府は何ら新たな規制に乗り出そうとしていません。

※毎日300人というのは、毎年11万4千人死亡という推計から割り出したものですが、その後、厚労省研究班の報告で年間約20万人(毎日500人以上)という推計値が新たに出されています。

オーストラリアでは現在でも800~1200円のタバコ価格を1600円に上げるべきという政府報告書が出されています。これはこのブログでも話題にしました。

ノルウェー1450円、オーストラリアは1600円へ:タバコ1箱
http://blog.goo.ne.jp/kuba_clinic/e/a7bcecee2fea78865b39af894619aed6

日本では300円という世界最低レベルの価格を100円あげて400円にするだけでこの有様です。1600円の4分の1に過ぎないのに。

衆院予算委 「貧乏人は喫煙するな」か! 民主・吉田公氏、増税批判
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100122-00000061-san-pol