H23.09.16ホームページからのお問い合わせ 回答日 H23.10.11
『「岩手県の震災がれき20ベクレル問題」住民説明会開催の要望』への回答について
災害廃棄物は、一般廃棄物にあたるものとされておりますが、一般廃棄物については、廃棄物処理法の規定によりそれが発生した自治体に一義的な処理責任があります。よって、一般廃棄物の行政区域外における広域的な処理が必要となった場合は、排出元となる自治体が、処理施設のある自治体に通知するよう定められております。市では市内における広域的な処理についての打診を受けた場合、市の廃棄物処理に関する計画と齟齬が生じないよう事前協議を行なっております。
県外の災害廃棄物を八戸市内の民間処理施設で処理する場合は、あくまでも排出元自治体が行う処理であるため、処理費用やモニタリング経費等については、八戸市民の負担ではなく、排出元自治体による災害廃棄物処理事業として国から手当される事になります。
排出元自治体による八戸市内での広域的な処理については、八戸市民の十分な理解と協力が必要な事から、市は事前協議において、排出元自治体及び処理事業者に対し、情報公開や必要に応じた住民説明等を行なう事を、受入の前提として求めております。加えて、市としても、ホームページ等において情報公開に努めます。
岩手県から打診があった野田村の災害廃棄物の処理については、すでに岩手県により廃棄物の組成毎の放射性物質の濃度測定が行なわれておりますが、市の事務担当レベルの素案としては、濃度測定の精度を確保するために放射性物質の核種毎の検出下限値を20Bq/kg程度とした再測定をできないか、また、まずはその測定の結果で不検出となったものから受入をしたい旨の提案をしました。
これに対し岩手県からは、測定対象の廃棄物の組成別の比重等によって、測定精度が異なってしまうため、一律にその測定水準を確保する事は現実的ではない旨の意見がありました。
市の岩手県への提案は、協議を始めるにあたってのたたき台であり、今後協議により変更しうる事を前提としたもので、実際の受入がなされるかどうかも不確かな段階です。ただし、市が提案する測定精度に関する考え方が現実にそぐわない場合、その事のみで災害廃棄物処理を止めてしまう事は市の本意ではないため、この点について、現在、検討しております。
こういった実際の岩手県との協議や検討の内容からいうと、今回の一連の報道における「20Bq/kg以下のみ受入」という表現は、不正確であると考えております。
市が提案した検出下限値に関する考え方については、人の健康への影響を考慮する必要がないクリアランスレベルの放射性物質濃度として「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」(以下、原子炉等規制法とします)の関係省令において、セシウム-134・セシウム-137については合計濃度で100Bq/kgとされている事から、測定時の精度を保つ上で、核種毎にその1/5程度である20Bq/kg程度という検出下限値を想定したものです。
例えば、廃棄物の放射性物質の濃度を測定した結果、セシウム-134・セシウム-137が検出されず、仮にそれぞれの検出下限値が23Bq/kgであった場合、放射性セシウムの合計濃度としては最大で46Bq/kgまでのものが不検出となりえますが、前述のクリアランスレベルの濃度を十分に下回っている事が確認できます。
再生利用に関しては、前述の原子炉等規制法に基づく考え方にそって、国から処理基準等が示さていないものについては新たに処理基準等が示されるまでは、受入時点での放射性セシウム合計濃度をクリアランスレベル以下に保つべきと考えております。
一方、処理施設における排気・排水等については、現時点においては「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則の規定に基づく線量限度等を定める告示」における周辺監視区域外への排気及び排水に関する規定を基にするべきと考えており、その旨も岩手県に打診しております。
今後、放射性物質が付着したものを処理する事に関しては、国の動向を注視しながら市としても慎重に対応していかなければならないと考えております。
以下、疑問点や知りたい情報として列記いただいた件について市の現時点での回答をお伝えいたします。
●瓦礫の受入は野田村だけなのか、他市町村(特に岩手県南部)も含まれるのか。
現段階で、災害廃棄物の受入について協議しているのは岩手県との野田村分のみです。野田村は岩手県に災害廃棄物処理を事務委託しており、市は岩手県と協議しております。しかし、岩手県災害廃棄物処理詳細計画によると、災害廃棄物総量に対する処理能力上、岩手県内で処理可能なのが約67%で、残る33%について広域処理が必要とされており、現時点では打診がないものの、特に岩手県に災害廃棄物処理を事務委託していない自治体などについては、今後、八戸市内での広域処理を打診してくる可能性はあると思われます。
また、瓦礫ではありませんが、現時点で、宮城県内の自治体から、農水省が管理していた政府米について、大震災で被災した事から八戸市内での広域処理について打診があり、協議をしているところです。
●瓦礫の総量はどの程度を予定しているのか。
野田村の件については、広域処理が可能かどうかの協議段階であり、どれ位の量をというところまでは進んでおりません。また、災害廃棄物を受入する施設に対しても、八戸市の災害廃棄物の処理を優先していただくようお願いしているところであり、さらに、平時から受入している産業廃棄物等がある事から、施設毎に実際受入できる限度があると思われます。
市内の処理施設での処理は、可能なものについて可能な範囲でという事になるため、広域的に受入する災害廃棄物総量は現時点では不明です。
●現時点で、瓦礫の放射性物質の濃度は測定しているのか。
岩手県野田村の災害廃棄物に関する放射性物質の濃度、宮城県内の自治体からの政府米に関する放射性物質の濃度については、自主的に測定されており、そのデータを受領しております。なお、岩手県では、広域処理の必要性から、野田村以外でも放射性物質の濃度を測定しており、岩手県のホームページ等で公表されています。
●高濃度のものもあるか。その場合、分別して受け入れることは可能なのか。
高濃度の範疇をどう捉えるかにもよりますが、災害廃棄物について現時点で打診のあるものは、原子炉等規制法に基づくクリアランスレベル以下のもののみです。
岩手県では災害廃棄物の組成毎に放射性物質の濃度を測定しておりますが、実際の災害廃棄物は組成毎ではなく、「角材・柱材」「可燃系混合物」「不燃系混合物」といった分別になるかと思います。例えば可燃系混合物中の特定の組成のみ放射性物質の濃度が高かった場合について、それを分別するには相応の手間と費用がかかると思われます。
現実的には、放射性物質の濃度測定とは別に、岩手県において運搬に先立ち放射線量を測定し異常が見られないか確認し、仮に異常があった場合は運搬を止める事としております。一方、受入施設側でも同様に確認し、異常があった場合は当該災害廃棄物を返すといった事を想定しています。
●現時点での、空間線量率だけでなく、野田村および八戸市の土壌の放射性物質(セシウム)濃度を測定しているのか。
現在のところ、市内の土壌の放射性物質の濃度は測定しておりません。また、野田村についても土壌に関する情報は岩手県からいただいておりません。
●瓦礫受け入れの影響を知るためには、市内各地、特に学校における線量率や土壌の基礎データが必要と考えられるが、八戸市は何もしてこなかったため、学校薬剤師会がボランティアで実施していると伺っています。これらの調査を行なう予定はあるのか。
災害廃棄物を受入し、その処理が市内の環境に影響を与えないかについては、廃棄物の放射性物質の濃度に応じ処理施設の排気・排水・処理残渣等について国の指針等を参考にモニタリングし、影響が無い事を確認する事を想定しています。また、長期間の処理が予想される場合は、廃棄物自体の放射能濃度測定をした後、処理試験を実施しその際に排気・排水・処理残渣等をモニタリングし、問題が無い事が確認できたものについて、本格的な受入を開始する事を想定しています。
市内各地における線量率や土壌の放射能濃度については、より細やかな放射線量の監視のため、今後、放射線測定器を購入するとともに、県に対しては、当市へのモニタリングポストの増設等を要望するなど、放射線の監視体制の強化に努めます。さらに、放射線の測定結果等の情報については、各メディアを通じ市民へ提供して行きます。
●処理施設での工程やフィルタの性能などの情報
現時点で打診があるのは、焼却・焼成処理を行う施設や、破砕後に熱分解する施設です。焼却等の処理を行った場合、放射性セシウムはばいじんに濃縮される傾向があるとされておりますが、現時点で打診がある施設における排ガス処理設備のばいじん捕集効率は99.9%以上と伺っております。その情報を補完するため、モニタリングの実施を想定しております。
●民間の処理場で放射性廃棄物を処理することについての法律的な問題
現行法では、一般環境中に放射性物質に汚染された廃棄物等がある事を想定しておらず、福島第一原子力発電所事故後、国は当面の考え方等を通知する事で対応してきたところです。また、事故以前から、原子炉等規制法に基づくクリアランスレベル以下のものについては、放射性廃棄物に該当せず、原料として再生利用されたり通常の廃棄物として「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下、廃棄物処理法とします)に基づき処理していたものです。
放射性物質で汚染されたおそれのある廃棄物の処理に関して、8/30に「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」(以下、放射性物質汚染対処特措法とします)が公布されました。放射性物質汚染対処特措法の全面施行は来年1月1日とされており、今後、全面施行に向けた関係省令等が定められていく事によって、詳細が明確にされていく事となります。
『「岩手県の震災がれき20ベクレル問題」住民説明会開催の要望』への回答について
災害廃棄物は、一般廃棄物にあたるものとされておりますが、一般廃棄物については、廃棄物処理法の規定によりそれが発生した自治体に一義的な処理責任があります。よって、一般廃棄物の行政区域外における広域的な処理が必要となった場合は、排出元となる自治体が、処理施設のある自治体に通知するよう定められております。市では市内における広域的な処理についての打診を受けた場合、市の廃棄物処理に関する計画と齟齬が生じないよう事前協議を行なっております。
県外の災害廃棄物を八戸市内の民間処理施設で処理する場合は、あくまでも排出元自治体が行う処理であるため、処理費用やモニタリング経費等については、八戸市民の負担ではなく、排出元自治体による災害廃棄物処理事業として国から手当される事になります。
排出元自治体による八戸市内での広域的な処理については、八戸市民の十分な理解と協力が必要な事から、市は事前協議において、排出元自治体及び処理事業者に対し、情報公開や必要に応じた住民説明等を行なう事を、受入の前提として求めております。加えて、市としても、ホームページ等において情報公開に努めます。
岩手県から打診があった野田村の災害廃棄物の処理については、すでに岩手県により廃棄物の組成毎の放射性物質の濃度測定が行なわれておりますが、市の事務担当レベルの素案としては、濃度測定の精度を確保するために放射性物質の核種毎の検出下限値を20Bq/kg程度とした再測定をできないか、また、まずはその測定の結果で不検出となったものから受入をしたい旨の提案をしました。
これに対し岩手県からは、測定対象の廃棄物の組成別の比重等によって、測定精度が異なってしまうため、一律にその測定水準を確保する事は現実的ではない旨の意見がありました。
市の岩手県への提案は、協議を始めるにあたってのたたき台であり、今後協議により変更しうる事を前提としたもので、実際の受入がなされるかどうかも不確かな段階です。ただし、市が提案する測定精度に関する考え方が現実にそぐわない場合、その事のみで災害廃棄物処理を止めてしまう事は市の本意ではないため、この点について、現在、検討しております。
こういった実際の岩手県との協議や検討の内容からいうと、今回の一連の報道における「20Bq/kg以下のみ受入」という表現は、不正確であると考えております。
市が提案した検出下限値に関する考え方については、人の健康への影響を考慮する必要がないクリアランスレベルの放射性物質濃度として「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」(以下、原子炉等規制法とします)の関係省令において、セシウム-134・セシウム-137については合計濃度で100Bq/kgとされている事から、測定時の精度を保つ上で、核種毎にその1/5程度である20Bq/kg程度という検出下限値を想定したものです。
例えば、廃棄物の放射性物質の濃度を測定した結果、セシウム-134・セシウム-137が検出されず、仮にそれぞれの検出下限値が23Bq/kgであった場合、放射性セシウムの合計濃度としては最大で46Bq/kgまでのものが不検出となりえますが、前述のクリアランスレベルの濃度を十分に下回っている事が確認できます。
再生利用に関しては、前述の原子炉等規制法に基づく考え方にそって、国から処理基準等が示さていないものについては新たに処理基準等が示されるまでは、受入時点での放射性セシウム合計濃度をクリアランスレベル以下に保つべきと考えております。
一方、処理施設における排気・排水等については、現時点においては「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則の規定に基づく線量限度等を定める告示」における周辺監視区域外への排気及び排水に関する規定を基にするべきと考えており、その旨も岩手県に打診しております。
今後、放射性物質が付着したものを処理する事に関しては、国の動向を注視しながら市としても慎重に対応していかなければならないと考えております。
以下、疑問点や知りたい情報として列記いただいた件について市の現時点での回答をお伝えいたします。
●瓦礫の受入は野田村だけなのか、他市町村(特に岩手県南部)も含まれるのか。
現段階で、災害廃棄物の受入について協議しているのは岩手県との野田村分のみです。野田村は岩手県に災害廃棄物処理を事務委託しており、市は岩手県と協議しております。しかし、岩手県災害廃棄物処理詳細計画によると、災害廃棄物総量に対する処理能力上、岩手県内で処理可能なのが約67%で、残る33%について広域処理が必要とされており、現時点では打診がないものの、特に岩手県に災害廃棄物処理を事務委託していない自治体などについては、今後、八戸市内での広域処理を打診してくる可能性はあると思われます。
また、瓦礫ではありませんが、現時点で、宮城県内の自治体から、農水省が管理していた政府米について、大震災で被災した事から八戸市内での広域処理について打診があり、協議をしているところです。
●瓦礫の総量はどの程度を予定しているのか。
野田村の件については、広域処理が可能かどうかの協議段階であり、どれ位の量をというところまでは進んでおりません。また、災害廃棄物を受入する施設に対しても、八戸市の災害廃棄物の処理を優先していただくようお願いしているところであり、さらに、平時から受入している産業廃棄物等がある事から、施設毎に実際受入できる限度があると思われます。
市内の処理施設での処理は、可能なものについて可能な範囲でという事になるため、広域的に受入する災害廃棄物総量は現時点では不明です。
●現時点で、瓦礫の放射性物質の濃度は測定しているのか。
岩手県野田村の災害廃棄物に関する放射性物質の濃度、宮城県内の自治体からの政府米に関する放射性物質の濃度については、自主的に測定されており、そのデータを受領しております。なお、岩手県では、広域処理の必要性から、野田村以外でも放射性物質の濃度を測定しており、岩手県のホームページ等で公表されています。
●高濃度のものもあるか。その場合、分別して受け入れることは可能なのか。
高濃度の範疇をどう捉えるかにもよりますが、災害廃棄物について現時点で打診のあるものは、原子炉等規制法に基づくクリアランスレベル以下のもののみです。
岩手県では災害廃棄物の組成毎に放射性物質の濃度を測定しておりますが、実際の災害廃棄物は組成毎ではなく、「角材・柱材」「可燃系混合物」「不燃系混合物」といった分別になるかと思います。例えば可燃系混合物中の特定の組成のみ放射性物質の濃度が高かった場合について、それを分別するには相応の手間と費用がかかると思われます。
現実的には、放射性物質の濃度測定とは別に、岩手県において運搬に先立ち放射線量を測定し異常が見られないか確認し、仮に異常があった場合は運搬を止める事としております。一方、受入施設側でも同様に確認し、異常があった場合は当該災害廃棄物を返すといった事を想定しています。
●現時点での、空間線量率だけでなく、野田村および八戸市の土壌の放射性物質(セシウム)濃度を測定しているのか。
現在のところ、市内の土壌の放射性物質の濃度は測定しておりません。また、野田村についても土壌に関する情報は岩手県からいただいておりません。
●瓦礫受け入れの影響を知るためには、市内各地、特に学校における線量率や土壌の基礎データが必要と考えられるが、八戸市は何もしてこなかったため、学校薬剤師会がボランティアで実施していると伺っています。これらの調査を行なう予定はあるのか。
災害廃棄物を受入し、その処理が市内の環境に影響を与えないかについては、廃棄物の放射性物質の濃度に応じ処理施設の排気・排水・処理残渣等について国の指針等を参考にモニタリングし、影響が無い事を確認する事を想定しています。また、長期間の処理が予想される場合は、廃棄物自体の放射能濃度測定をした後、処理試験を実施しその際に排気・排水・処理残渣等をモニタリングし、問題が無い事が確認できたものについて、本格的な受入を開始する事を想定しています。
市内各地における線量率や土壌の放射能濃度については、より細やかな放射線量の監視のため、今後、放射線測定器を購入するとともに、県に対しては、当市へのモニタリングポストの増設等を要望するなど、放射線の監視体制の強化に努めます。さらに、放射線の測定結果等の情報については、各メディアを通じ市民へ提供して行きます。
●処理施設での工程やフィルタの性能などの情報
現時点で打診があるのは、焼却・焼成処理を行う施設や、破砕後に熱分解する施設です。焼却等の処理を行った場合、放射性セシウムはばいじんに濃縮される傾向があるとされておりますが、現時点で打診がある施設における排ガス処理設備のばいじん捕集効率は99.9%以上と伺っております。その情報を補完するため、モニタリングの実施を想定しております。
●民間の処理場で放射性廃棄物を処理することについての法律的な問題
現行法では、一般環境中に放射性物質に汚染された廃棄物等がある事を想定しておらず、福島第一原子力発電所事故後、国は当面の考え方等を通知する事で対応してきたところです。また、事故以前から、原子炉等規制法に基づくクリアランスレベル以下のものについては、放射性廃棄物に該当せず、原料として再生利用されたり通常の廃棄物として「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下、廃棄物処理法とします)に基づき処理していたものです。
放射性物質で汚染されたおそれのある廃棄物の処理に関して、8/30に「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」(以下、放射性物質汚染対処特措法とします)が公布されました。放射性物質汚染対処特措法の全面施行は来年1月1日とされており、今後、全面施行に向けた関係省令等が定められていく事によって、詳細が明確にされていく事となります。