踊る小児科医のblog

青森県八戸市 くば小児科クリニック 感染症 予防接種 禁煙 核燃・原発

院内版感染症情報~2011年第41週(10/10~10/16) 咳がひどくなる風邪:RSウイルスとマイコプラズマが流行

2011年10月21日 | こども・小児科
 今年の夏は全国的に手足口病が大きな流行になり、八戸でも9月まで続きました。今年のタイプは大きな発疹が膝や肘など広い範囲に出てかさぶたになることもある特徴的な流行でした。9月から入れ替わりに、咳が多くなる風邪が増えてきており、その中に乳幼児のRSウイルス、年長児のマイコプラズマも含まれているようです。毎年秋から冬にかけて流行するウイルス性胃腸炎も増え始めています。
 感染症ではありませんが、10月は喘息の発作が最も多くなる時期です。

(院内報 2011年10月・11月号より)

インフルエンザの予防接種 10月から開始 接種量が変更に

2011年10月21日 | 予防接種
 ご案内が遅くなりましたが、例年通りインフルエンザの予防接種が10月から始まっています。今年から接種量が変更になっています。

生後6カ月~2歳 0.25ml 2回(2~4週間隔)  2,500円
3歳~12歳   0.5ml 2回(2~4週間隔)  3,500円
13歳~64歳   0.5ml 1回 or 2回(1~4週間隔)  3,500円
           (小児には2回接種をお勧めしています)

 昨年までの「0歳:0.1ml、1~5歳:0.2ml、6~12歳:0.3ml、13歳~:0.5ml」という方法は根拠が乏しく、接種量が少ないために効果が不十分なのではないかと指摘されていました。今年からの新しい方式がWHOの推奨量であり、小児科医の間でも長年要望してきたことが実現したものです。なお、接種量の増量に伴い、接種料金も一部変更になっておりますのでご了承下さい。

 お伝えした通り、2009年の「新型」は今年の春から「A/H1N1 2009」という「季節性」扱いになっており、今年のワクチンにも含まれています。

 65歳以上の高齢者への定期接種は従来通り1回で、自己負担1000円(または無料)です。(当院では八戸市のみ受託)

(院内報 2011年10月・11月号より)

日本脳炎 接種もれの方(H7~H19年生まれ)も接種可能に

2011年10月21日 | 予防接種
 日本脳炎ワクチンは、標準的には3歳で2回(1期初回)、4歳で1回(1期追加)、9歳(小4)で1回(2期)の合計4回接種することになります。

 平成17年度から平成21年度まで実質的に定期接種が休止状態となり、その年代の子は接種しそびれたままになっていましたが、7月から定期接種(無料)で受けられるようになりました。接種間隔についてはわかりにくいところもありますが、標準的な間隔にとらわれず合計4回接種するようにします。個別にご相談の上スケジュールを決めていきますので、受付にお申し出下さい。

対象 平成7年6月1日~平成19年4月1日生まれ(4歳以上20歳未満で接種)

接種回数
1)全く受けていない方
 第1期初回分:6日から28日までの間隔で2回接種             
 第1期追加分:初回接種2回終了後、1年経過後に1回接種
 第2期分:追加接種後、6日以上の間隔で1回接種
  ※第2期分は9歳以上で接種
2)1~3回受けている方
 前回接種から6日以上の間隔で残りの回数分を接種 
  ※1回毎に6日以上の間隔を空けること
  ※第2期分は9歳以上で接種

(院内報 2011年10月・11月号より)

不活化ポリオ 来年度導入へ 当院では輸入接種は実施せず

2011年10月21日 | 予防接種
 すでに秋のポリオ集団接種が実施されていますが、ポリオ生ワクチンによる麻痺の副反応が報道等でも取り上げられ、接種率も下がっているようです。

 この問題については以前にもお伝えしましたが、基本的には「生ワクチンから不活化ワクチンへの早期の切換えを望むが、不活化ワクチンの個人輸入は国の承認のない薬であり、万一の場合の補償がないまま一般の医療機関で実施することは難しい」と考えております。国内ワクチン承認までの間に、海外のワクチンを国が承認して緊急輸入すれば問題は解決できたのですが、それも期待できない状況です。現時点では不活化ワクチン接種開始は来年度後半になる可能性が高く、春の集団接種までは生ワクチンになるものと予想されます。

 ご自分で考えて判断する際に前提となる知識や状況を整理してみます。

1) ポリオは国内での自然の流行はないが、世界的にはまだ根絶されていない。

2) ポリオが根絶されれば、ワクチン接種の必要もなくなるが、それまでの間、免疫を維持するために接種を続ける必要がある。

3) ポリオ生ワクチンは効果が高いが、従来から数百万接種に1例程度で麻痺の副反応が発生していた。ここ数年では年1例程度の頻度で、百万接種に1例程度なのかもしれない。ワクチンの危険性が増加したとは考えられていない。

4) 不活化ワクチンは4回の注射が必要で、三種混合との混合ワクチン(四種混合)になる予定。切換え時の混乱を防ぐためにポリオ単独ワクチンも準備中。

5) 不活化ワクチンも絶対安全なわけではなく、他のワクチンと同様に、紛れ込み事故を含めて数百万接種に1例程度の重篤な副反応が起こる可能性がある。

6) 接種率が低下したために国外から持ち込まれたポリオの流行が懸念されている。実際に海外では散発的な流行が発生し、根絶までの期間を延ばしている。

7) 生ワクチンを接種した子から排出されたウイルスに感染する危険性もある。

 こういった複雑な状況にあるため、断定的に「こうするべき」とお伝えすることが難しくなっています。全てのワクチンはリスク(副反応)よりもベネフィット(病気を防ぐという利益)の方が圧倒的に高いことが前提となっています。ポリオ生ワクチンもその条件に合致していたのですが、国内発生ゼロが続いている中では、麻痺が1人でも発生すれば許容し難い状況にあります。不活化ワクチンを望む場合は個人輸入している医療機関で接種していただくことになりますが、現時点では八戸市内にはありません。あと1年待つことのリスク(流行や生ワク接種児からの感染)は、非常に高いと言う程ではなくても、大丈夫とも言えません。この状況でもし自分の子どもだったら生ワクチンを飲ませるとは思いますが、強くお勧めすることもできません。3つの選択肢のどれも間違いとは言えません。その他の情報なども参考にしてご判断下さい。

(院内報 2011年10月・11月号より)

子宮頸がん予防HPVワクチン サーバリックスとガーダシル

2011年10月21日 | 予防接種
 供給不足となっていたHPVワクチン「サーバリックス」は現在通常通りの予約・接種が可能となっております。

 新たに承認された「ガーダシル」も9月から接種可能になりました。いずれも中1~高1の女子には公費、その他の年齢には自費での接種となります。

 違いは、サーバリックスがHPVの16型と18型(高リスク型)の2価、ガーダシルは16・18型に加えて6・11型(低リスク型)の4価ワクチンとなっている点です。子宮頸がんに対する効果に違いはなく、ガーダシルは外陰部のイボなどへの効果が加わっているとのことです。接種間隔にも違いがあります。

 サーバリックス 初回、1カ月後、初回の6カ月後 0.5ml筋注
 ガーダシル   初回、2ヶ月後、初回の6カ月後 0.5ml筋注

 いずれのワクチンも、接種すれば100%子宮頸がんを防げるわけではなく、成人後の検診も欠かせないという点では変わりはありません。

 当院ではサーバリックスを主体に接種しておりますが、ガーダシルに関して何らかの問題があるからというわけではありません。ガーダシルをご希望の方はお申し出下さい。公費接種が来年4月以降延長されるかどうかは未定です。

◎「サーバリックス接種後死亡1例」心疾患によるもので因果関係認められず

「10代女子。2日後に死亡。心室頻拍の基礎疾患があり、致死性不整脈で死亡と推定。ワクチン接種との因果関係は不明」←妥当な判断と思われます。

(院内報 2011年10月・11月号より)

10~11月の診療日、急病診療所、各種教室、相談の予定

2011年10月21日 | こども・小児科
 10月3日~6日午前まで一部の時間を除いて臨時休診となり大変ご迷惑をおかけしました。それ以降、年末まで臨時休診の予定はありません。年末は12月30日午前まで診療で午後から休診、年明けは4日からの診療になります。急病診療所当番は10月24日(月)、11月3日(祝) 夜、17日(木)、28日(月) の予定です。次回の赤ちゃん教室は11月12日(土) です。今年度の喘息教室は実施できませんでした。育児・子どもの心相談、禁煙外来(保険・予約制)は随時受け付けております。メール予約システムをご利用下さい。 ♡ 当院は「敷地内禁煙」です ♡

★「さようなら原発1000万人署名」へのご協力をよろしくお願いします。

(院内報 2011年10月・11月号より)