熊本熊的日常

日常生活についての雑記

苦痛の少ない老い方

2006年06月26日 | Weblog
アンリ・カルティエ=ブレッソンのドキュメンタリー映画を観た。死の直前、アンリ自身が自分の仕事を回顧するという作品だ。改めて写真というメディアの力を感じた。そこに写っているのは一瞬の現実だが、それが物語るのは過去の記憶であり未来への示唆である。時間は連続している。

映画を観ていて気になったのは、登場人物の老い方である。加齢とともに身体は肥満し、締まりというものが失われていく。もう少し健康管理に気を配ればよさそうなものだと思う。

枯れるように死ぬのが最も苦痛が少ないのだそうだ。自分も歳を取ってわかるようになったのだが、加齢に伴って代謝が緩慢になれば、所要エネルギーは少なくなるのに、食欲の減退は代謝のそれに比例しない。食欲に素直に従うと、自然に過食になってしまうのである。自然に任せるというのは不健康な習慣が増えるということでもあるらしい。人は体内に自爆装置を持っていて、適度に健康を損なうようにできているのだろう。枯れるように老いるというのは、かなりストイックな生き方を要求されるようだ。