辻厚成展を観に渋谷で出かけた。何度来ても、この町は好きになれない。どことなく垢抜けなくて、人と霊とが渾然一体となって彷徨っているような雰囲気を感じるのである。特に西口のスクランブル交差点からセンター街に抜ける道は、歩いているだけて吐き気を催す。このあたりの地形は、土地の名前からもわかるように谷地である。大雨が降ると、このスクランブル交差点は水浸しになるが、ここで宇田川と渋谷川が合流しているのである。尤も、どちらも暗渠なので外からはわからない。西武百貨店のA館とB館が地下でつながっていないのは、そこが宇田川の暗渠になっているからだ。宮益坂は、古墳時代に墳墓が並んでいた場所。現在のスクランブル交差点があるあたりを見下ろすように墓がならんでいたという。ちなみに、神泉には火葬場があったそうだ。スペイン坂を登り、パルコの並ぶ交差点がある高台まで来ると、ようやく一息つくことができる。谷は嫌いだ。