熊本熊的日常

日常生活についての雑記

オアシス

2006年08月16日 | Weblog
また来てしまった。ブリヂストン美術館。今は常設展が開催されている。常設と言っても、その時々で展示する作品や展示位置を変え、様々なテーマを追求している。

ある程度評価が定まった作品は、製作されてから長い年月を経ている。しかし、作品や作者に関する新たな発見や解釈は日々蓄積されている。作り手から離れた作品は、解釈の宇宙のなかを彷徨うのである。

良質のコレクターというのは、その彷徨に道筋を与える者なのではないだろうか。一見、何もない空や、果てしなく広がる海に航路というものがある。芸術作品に対する解釈の宇宙にも意味の光明を与えるのがコレクターである。適切な道筋の上に並べられた作品は、輝きを増すものだ。輝く作品を前にすれば、それを観る者の気持ちが愉快になるものだ。芸術作品の存在意義は、観る人の人生を愉快にすることだと思う。かくして、良質の美術館は人々の生活のオアシスとなるのである。