春休みで名古屋にいる従兄弟の子供が私の実家に遊びに来ている。テレビ番組で紹介されていた六本木のミッドタウンにある店に行きたいというので、私が案内することになった。
「東京」と言って何を思い浮かべるのかは、勿論、人それぞれだろうが、何がしかのステレオタイプのようなものはあるのだろう。東京に長年暮らしていると、どこであろうと日常風景の一部でしかないので、何の接点もない相手に特定の場所を薦めるということは困難だ。1月に別の従兄弟の子供が来たときには、浅草を歩きたいと言われたのでそのようにした。今回はミッドタウンにあるその飲食店以外は何も手がかりがない。
かなり古いが「東京だよおっかさん」という歌謡曲の歌詞で取り上げられているのは、二重橋、九段坂、浅草の3箇所である。この曲が発売されたのは昭和32年。おそらく、戦争の傷がまだ癒えたとは言えない状況であったろう。歌詞の2番にある九段坂というのは靖国神社のことを指している。「やさしかった兄さん」が九段坂の「桜の下でさぞかしまつだろう」というのである。兄は戦死して靖国に祀られているということだ。多くの人々が悲しみを抱えながらも日々の生活のため、生き残った自分や家族の未来のために必死で生きている、その心の支えを歌ったものだろう。二重橋は皇居、九段坂は靖国神社、浅草は観音様、いずれも宗教の聖地のような場所である。この歌がヒットしたということは、日本人の間に東京が単なる機能としての首都ではなく、心の拠り所としての中心地であるということをも意味していると思う。また、おそらくこの歌詞が原因でかなり最近までNHKがこの曲の2番を放送禁止にしていたという話も聞いたことがある。この曲は150万枚のセールスを記録し、昭和32年の紅白歌合戦への初出場につながるのだが、何故か紅白で歌ったのは「逢いたいなァあの人に」。
さて、従兄弟の子供のほうだが、結局、六本木から銀座へ抜けてお茶を濁した。銀座を歩くは久しぶりだったが、妙に薄汚い街に成り果てたものだとがっかりしてしまった。
「東京」と言って何を思い浮かべるのかは、勿論、人それぞれだろうが、何がしかのステレオタイプのようなものはあるのだろう。東京に長年暮らしていると、どこであろうと日常風景の一部でしかないので、何の接点もない相手に特定の場所を薦めるということは困難だ。1月に別の従兄弟の子供が来たときには、浅草を歩きたいと言われたのでそのようにした。今回はミッドタウンにあるその飲食店以外は何も手がかりがない。
かなり古いが「東京だよおっかさん」という歌謡曲の歌詞で取り上げられているのは、二重橋、九段坂、浅草の3箇所である。この曲が発売されたのは昭和32年。おそらく、戦争の傷がまだ癒えたとは言えない状況であったろう。歌詞の2番にある九段坂というのは靖国神社のことを指している。「やさしかった兄さん」が九段坂の「桜の下でさぞかしまつだろう」というのである。兄は戦死して靖国に祀られているということだ。多くの人々が悲しみを抱えながらも日々の生活のため、生き残った自分や家族の未来のために必死で生きている、その心の支えを歌ったものだろう。二重橋は皇居、九段坂は靖国神社、浅草は観音様、いずれも宗教の聖地のような場所である。この歌がヒットしたということは、日本人の間に東京が単なる機能としての首都ではなく、心の拠り所としての中心地であるということをも意味していると思う。また、おそらくこの歌詞が原因でかなり最近までNHKがこの曲の2番を放送禁止にしていたという話も聞いたことがある。この曲は150万枚のセールスを記録し、昭和32年の紅白歌合戦への初出場につながるのだが、何故か紅白で歌ったのは「逢いたいなァあの人に」。
さて、従兄弟の子供のほうだが、結局、六本木から銀座へ抜けてお茶を濁した。銀座を歩くは久しぶりだったが、妙に薄汚い街に成り果てたものだとがっかりしてしまった。