熊本熊的日常

日常生活についての雑記

JR東日本への提言

2010年03月24日 | Weblog
昨日の夜、山手線目白駅付近で架線障害が発生し、現場を通りかかった埼京線の列車が立ち往生して、その電車に乗っていた乗客が1時間半に亘って車内に放置されたのだそうだ。帰宅時間帯で混雑した通勤列車が乗客を乗せたまま1時間半放置されるというのは異常なことだと思うのだが、おとなしく電車の中で1時間半耐えていた人たちも驚異的な精神の持ち主だと思う。私なら30分ほどで我慢できなくなって非常コックを開いて外に出てしまったことだろう。

毎日のように障害が発生しているというのに、そうした非常事態に対してなすすべも無く乗客を車両のなかに放置する神経は人間とは思えない。一体何のために運転手や車掌が乗務しているのだろうか。技術的には無人の鉄道運行システムというのは可能だろう。ゆりかもめや日暮里舎人ライナーは無人で運行されている。地下鉄大江戸線は運転席に乗務員がいるが彼は運転しているわけではなく、駅でのドアの開閉と運行監視をしているだけである。リニアモーターカーは速すぎて運転手の技能ではどうにも管理できないので無人運行となるそうだ。無人まではいかないが、私鉄や地下鉄でもワンマン運転の線区が増えている。

それでは何故乗務員が存在しているかと言えば、雇用確保と組合対策ということなのだろう。表向きは安全確保なのだろうが、非常時に機能しない乗務員に安全確保は不可能だ。乗務員の立場からすれば、指令からの指示を待っていたら結果的に乗客を1時間半も車内に放置することになってしまったということなのだろうが、指示無しに動けない人間を人間とは呼べまい。指令は現場を知らないのである。現場の状況を把握しているのは現場にいる乗務員だ。その乗務員が成す術もなく1時間半も無為に過ごしているようでは、安全の確保など望むべくもない。結局、非常時には自分の身は自分で守るしかないということが今回の件で証明されたようなものだ。それならば、乗務員とは何のために存在しているのだろうか。まさかドアの開閉だけのため、車両の発進と停止のためだけ、ということではあるまい。

ここで、毎日のように運行障害が発生している状況下で遅延を無くす現実的な方法を提案したい。「遅延」というのは何らかの基準があって、その基準に対して遅れるということである。従って、遅延を無くすには基準を無くせばよいのである。つまり、ダイヤを非公開とするのである。列車が運行されているかいないか、という情報だけを利用客に与え、それ以外の情報は開示しないことにするのである。そうすれば遅延という状況は成立しなくなる。現にロンドンの地下鉄では時刻表というものを見たことがない。どこ行きの列車が何分後に到着するという情報がパネルに表示されるだけで、他には障害が発生しているのかいないのか、ということくらいしかわからない。それでも、社会が地下鉄はそういうものだと認知してしまえばそれで通用するのである。

列車が何時来るのかわからないとなると、乗客としては乗り遅れを回避しようという動機が強くなるだろう。当然、今以上に駆け込み乗車が増え、それが障害の原因となる。そこで、逆に駆け込みを奨励するというのはどうだろう。現在は「危険ですから駆け込まないでください」という誰も聞いていないと思われるアナウンスが習慣的に流れている。習慣だから風景の一部と化して人々の耳に入らないのである。時刻表を非開示として、
「次の電車は何時になるかわかりませんので、決死の覚悟で現在停車中の電車をご利用ください」
とかなんとか言うのである。車掌だって人間なのだから、そこはなんとかうまいことを毎回考えて欲しい。運輸関係の仕事というのは痴呆になりやすいもののひとつだそうだ。毎日のアナウンスを工夫するというのは脳の刺激にもなって本人の健康増進にもつながる。そして発車のサイン音は運動会の徒競走の時に流れる音楽にする。電車が着く度にホームの上は高揚した気分で満ち溢れるのである。緊張感が高まるから、かえって駆け込みに伴う事故は減少するかもしれない。できれば、陸上競技場のように改札からホームまでコースが引かれているとよい。自動改札も扉を大きくして、開閉時に競馬場のゲートが開閉するときの「ガッシャッ」という効果音が出るようにすると気分がより高まるだろう。乗客は改札を抜ける度に「よしっ、やるぞ」という気分になるのである。そうなれば、毎日が楽しくなって良いのではないか。構内放送も工夫したほうがよい。電車が着いてドアが開くと
「各車両から一斉に降車が始まりました。先頭は5号車から降りた黒い服の女性、おっと最後尾から降りた男性が猛烈な勢いで中央階段へ向かっています…」
といった具合になるのである。ホーム上の誰もがアナウンスに注意を払うようになるだろう。利用客に駅の構内放送に注意を払うという習慣が定着すれば、非常時の場合にも駅職員から乗客への連絡がスムーズに伝えられるようになることだろう。さらに、人々の気分が高揚すれば、景気にもプラスになるのではないか。鉄道職員にとっても利用客にとっても良いこと尽くめだ。こういうのを妙案と言うのである。