熊本熊的日常

日常生活についての雑記

銀座にキャバクラ

2010年07月30日 | Weblog
今週はタクシーで帰宅する日が続いている。今日の帰り、運転手との会話のなかで、近頃は夜通し遊ぶような人がめっきりいなくなってしまった、ということが話題になった。銀座の夜もかつてに比べるとすっかり寂びれ、今ではキャバクラまで出現する事態となっているという。どうしてこんなことになってしまったのだろう。

社会人になって最初の10年くらいは銀座は私にとっては敷居の高いところだった。職場は丸の内や日本橋界隈だったので、夜、仕事を終えた後に上司に連れていってもらうのは、その上司が部長とか課長だと有楽町止まりで、役員だと銀座だった。それも銀座の真ん中ではなくて、少し外れた場所にあって、常連でもない限りは気がつかないような地味な佇まいの店だ。店内に入ると、なんとなく和やかな雰囲気が漂っていて、出される料理も、一見するとどうということのないものなのだが、口に運べば、下ごしらえや調理に並々ならぬこだわりがあるかのような、いかにも料理人が作った料理なのである。もちろん、メニューなどないし、客と店の人との阿吽で事が運ばれる。カウンターで隣の上司の横顔を眺めながら、かっこいいなぁ、と思ったものである。

やがてバブル崩壊後の不況が終わる気配を見せず、ずるずると続いていくと、勤務先は外資に買収されることになり、自分も就業機会を求めて転職を繰り返すことになって今日に至っている。自分の生活も落ち着かないが、世間も似たようなものらしく、銀座も表通りに牛丼チェーンの店舗が出現し、かつて靴屋だったところはユニクロになり、海外からもカジュアルブランドの店が進出し、路地裏にはコインパーキングが虫食いのように点在し、という具合だ。

2005年4月以来夜勤なので、夜に出歩くことは無くなってしまったが、少なくとも街並みを眺める限り、ずいぶん寂しくなったように感じられる。そして、自分が他人からかっこいいと思われる可能性も潰えてしまったようにも感じられる。それもまた寂しいことだ。