?馬、牛、羊、豚を並べられて「家畜にしたいものを連れて帰れ」といわれたとすると、人は飼育する時の手間を考えたり、愛玩にするか販売を目的にするかで悩むが、「羊なら散歩にも連れて行ける」と追って言葉を足されると子供なら誰でも羊を選ぶ。だが、選択の基準によって異なる回答が出るのと、後者の選択も押し付けになることは確か。
?八代市は環境センターの処理施設選定に向けて、その舞台にストーカー、ストーカー灰溶融、流動床方式ガス化溶融、シャフト方式溶融など異なる方式を一様に上げた。民主的で公正という印象にもあるが、それぞれが持つ長所、短所を総合して審査するわけだから当然、そこには「判定基準」という疑問は浮上する。もちろん、それが「シャフト方式溶融炉」と噂通りの事前通知があれば、それは手の込んだ芝居ながら審査においてはこれほど楽な話はない。しかし、それは先の例と同じく強要の示唆であって、審査委員会の存在価値が問われるというより明らかな不正。
?同市はその機種、発注メーカーの決定について「専門家による審査委員会に委託」と語るが、自然科学等の個々の分野で活躍の大学教授(八名)であっても処理施設のトータル的な判断には疑問符が打たれる。彼らにも「名誉的肩書」はともかく、「中国製の不良材料指定」とか「審査点数結果とは異なる結果」も飛び出す評価、審査委員会も多いと知ってか、その出席率からして「形式的委員会」は想定内。
?結局、実際の判定は八代市側の三名と審査委員長である全国都市清掃会議の技術部長によって決まるということになる。そこで全国都市清掃会議だが、同会議は全ての自治体が参加する法人団体ではなく、環境省公認の公式審査法人でもない。新日鉄住金エンジニアリング、エイト日本技術開発等の関係会社が協賛会員として参加していて、該当の技術部長は葛飾区(東京都)清掃工場の元場長。個々の専門家である大学教授らよりは総合的な判断では勝っていると思われるが、「公正さに欠ける背景」という批判の声は否定できない。
?これが八代市環境センターにおける機種施設選定、発注先決定の表舞台だが、いずれにしても「審査決定は専門家による審査委員会での結論」と責任転嫁が許されるものではなく、その責任はあくまで八代市に存在する。市民なら不承知、不認識でも通るが、官吏、公吏と称される公務員となると、それは許されず、場合によっては「不作為罪」として罰せられる。
「専門的な知識に欠けるから『コンサルタント』や『審査委員会』に任せた」
?だからといって、「責任転嫁」で逃げる理由はどこにも存在しないのである。断定はしないが、関係者から漏れ出た巧みな疑惑について、それを担当部署の職員はもちろん前市長、現市長が自らシナリオを作成して関与してきたとは思われない。だが、不審を抱かれる状況が仮に存在したとすると、それを承知して積極的に同意したか、もしくは黙認しているかは推察される。
?ここに敢えて想定されるクリスマス前の舞台を登場させたが、これを念頭にして改めて振り出しから検証すると、花火大会の頃には市民の多くがクリスマスプレゼントの中身を知ることになるが、果してそれはパンドラの箱か…。