万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

イラクにはテロリストはいない?

2007年10月03日 19時43分10秒 | 日本政治
政府、補給艦への給油中止を検討 新法骨子案(朝日新聞) - goo ニュース

 インド洋での自衛隊による給油活動の継続について、対イラク作戦に従事している艦隊への間接給油が問題として浮上しているようです。しかしながら、テロ対策特別措置法の本来の主旨からみますと、アフガニスタンとイラクとを区別する根拠は薄いように思えるのです。

 テロ対策特別措置法は、2001年9月に発生したアメリカの同時多発テロ発生直後に、国際的なテロリズムの防止を目的に制定されたものです。このため、本文には、活動をアフガニスタンに対象を限定するという文言は含まれていません。2003年には、イラクに対する人道復興支援活動などに関する法律も制定されているのですが、テロ特別措置法は、より広い対象をカバーできるのです。

 アフガニスタンと同様に、イラクもまた、依然として治安が安定せず、テロリストによる破壊活動に人々が怯える状況にあることを考慮しますと、イラクにおける活動をあたかも”不正行為”のように捉えることが適切であるか疑問なところです。国際ネットワークを持つテロとの闘いは、アフガニスタンでもイラクでも続いているのですから。

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