万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

温暖化ガス吸収政策へのシフトを

2007年10月14日 18時45分13秒 | アメリカ
ノーベル平和賞はアル・ゴア氏と国連パネルに 温暖化への取り組みに(gooニュース) - goo ニュース

 地球温暖化対策と言いますと、何故にか、温暖化ガスの削減のみが注目され、排出量規制政策の問題と化しています。しかしながら、環境と経済との逆比例な関係を考えますと、産業における排出量の削減よりも、それらを効果的に吸収する方法を検討する方が、経済の負担にはならないのではないか、と思うのです。

 第一に、自然を利用して効果的に二酸化炭素を吸収できる方法は、植林事業です。空気中の二酸化炭素濃度が上昇すると、植物の酸素供給量も増加するという実験結果がありますので、広域的な植林事業を展開することによって、相当量の二酸化炭素が吸収できるはずです。特に、砂漠地帯で緑化事業を行えば、地球環境にとりましては一石二鳥以上の効果が期待できるかもしれません。

 第二に、二酸化炭素より23倍も温暖化効果の高いメタンガスを吸収する技術の開発が挙げられます。湿原や温泉地などでは放置されているようですが、これを吸収することができれば効果は絶大ですし、エネルギー資源として利用できればこれもまた一石二鳥となりましょう。

 これらの他にもさまざまな技術が考えられますが、企業にペナルティーや排出権取引のコストを求めるぐらいなら、植林事業や技術開発への投資や参加を促す方が、はるかに理にかなっています。環境問題に取り組んでいる方々は、ぜひ、吸収面の政策をも訴えていただきたいと思うのです。

 

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