万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

自らが貧困の元凶であることに気付かない軍政

2007年10月09日 18時36分51秒 | アジア
国民を貧しくする元凶=ミャンマー軍政、デモ参加者を非難(時事通信) - goo ニュース

 ミャンマーの軍政は、デモの発生に付随して生じた損害を挙げて、デモへの参加を国民の貧困の元凶として非難していると言います。しかしながら、ミャンマーの国民を貧しくしている根本的な原因は、軍政という国家体制そのものにあると思うのです。

 ミャンマーでは、軍部が経済全般を統制しており、国民が自由に経済活動を行うことができる市場経済ではありません。このため、社会・共産主義国と同様に、資源利権が一部の特権階級に集中する一方で、国民は、自らの生活を豊かにし、生活水準を向上させる手段を持てないのです。さらに、非民主的な体制であることは、国民が、国家予算の配分に口を挿めないことを意味しています。これでは、いつまでたっても国民は貧しいままです。しかも、軍政への批判により、国際社会からの経済支援も滞るのですから、軍政こそが、貧困の元凶と言えましょう。

 国家の統治者が、自己の利益のみを追求する場合、やがて、それは国民の反発と言う形で跳ね返ってきます。無責任で国民を慈しむことのできない政権は、潔くその座を去ることこそが、唯一の国民に対する償いとなりましょう。

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