万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

国連を人質にとる中国

2007年10月16日 21時49分23秒 | 国際政治
ダライ・ラマ勲章授与に中国が反発、イラン核問題会合延期(読売新聞) - goo ニュース

 7世紀には、既に独自の文化を持つ吐蕃を形成していたチベットは、ここ50年以上にわたり中国の占領下にあります。この占領は、明白な侵略行為でありながら、中国は、安保理の常任理事国の地位に胡坐をかいて、チベットを支配し続けているのです。

 今月16日のダライ・ラマとブッシュ大統領との会談と17日に予定されている議会によるダライ・ラマへの勲章授与は、チベットの立場を支持するという意味において、占領下にあるチベットの人々を勇気づけたことでしょう。しかしながら、その一方で、中国は、またも国連を利用して、国際社会に圧力をかけようとしているのです。チベット政策を変えないと、国連を麻痺させると・・・。

 これでは、まるで、中国が、自国の主張への同調を要求して、国連を人質に取っているようなものです。もし、国際社会が、こうした中国の振る舞いを許すとしますと、脅しの場と化した国連は、その存在意義を失うことになるのではないでしょうか。

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