万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本国政府の法的立場の確認を

2007年10月07日 19時20分22秒 | 日本政治
A級戦犯分祀の必要性を強調 自民・古賀氏(産経新聞) - goo ニュース

 8月15日の靖国神社への公式参拝については、これまで、中国などから強い抗議を寄せられたこともあり、国際問題として議論が積み重ねられてきました。この問題は、A級戦犯の分祀により解決すべきとの意見もありますが、その判断に先立って、まずは、法的な立場を確認しておく必要があるように思うのです。

 第1に、厳密な法律問題として見てみますと、中国や韓国には、日本国に対して靖国神社参拝に関し、何らかの要求を行う法的な権利はありません。平和条約や基本条約を締結した後で、相手国に対して先の戦争を理由に請求を行うことの方が、むしろ、国際法のルール違反となります。

 第2に、サンフランシスコ講和条約には、靖国神社に対する規定は設けられておらず、A級戦犯については、主権回復後は、日本国政府の判断に任せられています。なお、中国との講和条約は、あくまで、日中平和友好条約であって、サンフランシスコ講和条約ではありません。

 第3に、サンフランシスコ講和条約の第11条には、戦犯の赦免や減刑の権限を日本国政府に認めています。

 純粋に法的な側面から見ますと、A級戦犯の合祀が、国際法に触れるということはありません。日本国政府は、この法的な立場を確認し、A級戦犯(ドイツのようなホロコーストは行っていない…)について、中国や韓国に対しては充分な説明を行う必要があると思うのです。最終的な判断は、その後でも遅くはないでしょう。

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