万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

アフガン紛争に新たなアプローチはあるのか

2009年10月17日 14時13分34秒 | 国際政治
米国務省「日本のアフガン支援継続を望む」(産経新聞) - goo ニュース
 アフガニスタンにおける軍事活動の雲行きが怪しくなり、アメリカでもオバマ大統領は、軍の撤退をも視野に入れていると憶測されています。その一方で、国際部隊の撤退が、タリバン勢力にとって勢力を拡大するチャンスとなることは必死であり、アフガニスタンとパキスタンの国境地帯は、今にもまして危険地帯と化しそうです。

 それでは、アフガニスタンを恐怖が支配する世界に逆戻りさせてもよいのでしょうか。それでは、国際社会は、あまりに無責任となりそうです。そこで、硬軟両面作戦をとってはどうかと思うのです。この作戦とは・・・

(1)アフガン政府との間に、今後の国家構想について合意を形成する。
(2)タリバンに対して、アフガン政府との交渉を呼びかける。
(3)現在のタリバン支配地域について、広範な自治権を認めるかわりに、一定の条件を挙げて、これらの条件を履行してもらう。
(4)タリバン側が条件を拒否したり、不履行の場合には、増派を決定する。

 というものです。(2)の条件とは・・・

(1)自治区内部にあっては、民族、宗教、部族の違いにかかわらず、全ての住民に対して生命、身体、財産を保護すること(治安の維持と少数民族の保護)。
(2)自治区においてアフガニスタンの枠内で独自の憲法を制定することを認めるかわりに、憲法の内容については、アフガニスタン政府、および、イスラム諸国の助言を受け入れること(立憲主義に基づく統治のシステムの整備)。
(3)けし畑を農地に転換し、麻薬取引を取り締まること。
(4)女児を含む全ての児童に教育の機会を与えること。
(5)女性が職業を持つことを認めること。
(6)少年兵を訓練・養成しないこと。

・・・などを挙げることができます(その他軍事的な取り決めも・・・)。

 高度な自治を認めた連邦制を提案することで、あるいは、アフガニスタンの状況は改善されるかもしれません。少なくとも、何らの事後策を講じることなく撤退をしますと、後には混乱しか残されないと思うのです。

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コメント (2)
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