万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

カルザイ氏の決選投票受け入れは賢明

2009年10月20日 16時05分15秒 | 国際政治
アフガン大統領選結果めぐる混乱、カルザイ氏が決選投票受け入れ示唆(トムソンロイター) - goo ニュース
 権力者とは、とかく権力を悪用して自己に不利なルールを無視しようとするものです。イランでも、現職のアフマディネジェド大統領は、不正選挙疑惑に対する改革派の抗議を力で抑え込んでしまいました。

 アフガニスタンの大統領選挙でも、不服審査委員会の調査の結果、不正なカルザイ氏票が発覚し、一部の投票が無効とされたそうです。この結果、得票数が過半数を超える候補者がいなくなり、憲法に従えば、上位二名による決選投票に持ち込まれことになります。もし、ここで、カルザイ氏が決選投票を拒むとなりますと、アフガニスタン情勢が混迷を深めることは必至です。政権に正当性がないとなりますと、これを口実にタリバンの攻撃はさらに激しさを増し、国民の中には、タリバンに同調する人々も現れそうです。まやかしの民主主義は、民主主義を否定するタリバンの格好の攻撃材料となるのです。

 カルザイ氏が、権力の座に固執するよりも、アフガニスタンの安定を優先させたとしますと、それは、賢明な判断でありました(もちろん、当然と言えば当然のことなのですが・・・)。この行為によって、日常茶飯事にテロ事件が起き、根深い民族対立をはらむアフガニスタンに安定がもたらされると断言することはできませんが、かの地で、信頼ある政府づくりへの一歩が踏み出されたことに安堵するのです。

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