万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

来日中国人は”法の支配”の伝達者に

2009年10月25日 15時56分30秒 | アジア
リンク: <中国人が見た日本>日本に来て味わった「生まれて初めての自由」 - 速報:@niftyニュース.
 中国から来日した人々が、「日本国の良さ」として、法に反しない限り政府から干渉を受けない、”法治国家の自由”を挙げているとのことです。もし、この調査結果が事実であるならば、中国本土にも、この”良さ”が広がる可能性があるのではないかと思うのです。

 おそらく、中国にも”法”そのものはあるのでしょうが、それは、上部から命令であったり、官僚による恣意的な運営に任されているのでしょう。中国の現状は、”法治”ではなく”人治”であり、そこには、自由が息づく空間がないのです。この文脈において、”法治”というよりは、個人の自由や権利の保障に重点を置く”法の支配”と表現したほうが相応しいかもしれませんが、中国の人々が、”法治国家の自由”をプラスに評価していることこそ重要なのです。このことは、もし国民が、自由に体制を選べるならば、法の支配の方に軍配を上げる可能性を示唆しているからです。国民の自由や権利を一方的に抑圧するのではなく、これらを守る政府のあり方も世の中にはあることを知ることは、中国国民の意識改革ともなりましょう。

 来日された中国人の人々は、本国の人々にも法の支配の良さを、ぜひ、伝えていただきたいと思うのです。もちろん、共産党政権下にあって、言論が統制されていますので、法の支配の伝達にはリスクもありますが、法の役割に関する国民意識の変化は、やがて、中国の国政改革へと繋がるかもしれません。この記事から、将来の可能性が、わずかながらも垣間見られるのです。

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コメント (10)
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