万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

アイスランドの国民投票と朝銀の救済

2010年03月08日 15時48分06秒 | 国際政治
アイスランド国民投票否決 EU加盟に暗雲 (産経新聞) - goo ニュース
 アイスランドでは、金融危機を受けて国有化された銀行が、イギリスとオランダの預金者に対して公的資金で預金を保護するか否かが国民投票に付され、圧倒的多数で否決されたと報じられています。

 この投票結果が、EU加盟に影響を与えるという見解は、おそらく、アイスランドが、将来の”EU市民”に”内国民待遇”を与えなかったことに対する否定的な反応と考えられるのですが、民主主義の観点から見ますと、予算の使途を問う国民投票の実施は、必ずしも非難できるものでもありません。財政危機にあるギリシャの救済に対して、加盟国内で不協和音が奏でられているのも、国民からの納税で成り立っている財政の領域にEUが踏み込むことに対する抵抗感の表れでもあります。どの国も、納税者である国民を無視した財政運営はできないのです。

 翻って、我が国では、バブル崩壊後に起きた金融危機に際して、一人の政治家の意向で、朝銀信用組合に対して1兆4千億円とも言われる公的資金が投入されました。もし、この時、国民投票が実施されていたとしましたら、確実に否決されたことでしょう。我が国もまた、国民投票制度の導入を真剣に検討する時期にきているのではないでしょうか。 

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コメント (11)
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