万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

朝青竜引退―裏目に出た曖昧な対応

2010年03月21日 15時43分20秒 | 社会
英雄消えて残る春もや モンゴル、日本への失望やまず(朝日新聞) - goo ニュース
 モンゴルでは、元横綱朝青竜の引退をめぐって、日本国に対する失望感が漂っているようです。このような対日感情の悪化を招いた原因は、引退の原因を曖昧にしたからではないかと思うのです。

 日本国内では、朝青竜が暴行事件を起こしたことが広く報じられており、被害者との示談が成立したことで、角界からの”追放”ではなく、”自主引退”という形で、朝青竜の横綱としての体面を保たせたと理解されています。いわば、穏便な形での幕引きを図ったわけであり、それは、横綱の名誉を重んじたからこその措置であったのかもしれません。しかしながら、事件をうやむやにしたことで、朝青竜は、モンゴルに帰国後に暴行事件を否定することができたわけですので、日蒙関係を考えれば、この措置は、裏目に出てしまったとも言えるのです。

 きちんと最初から刑事事件として対応し、裁判のプロセスで事実が明らかとなっていれば、モンゴルの国民の大半を納得したはずです。このままでは、"モンゴル出身の横綱を計略にかけて追い出した日本"、という誤ったイメージが定着してしまいますので、事実の解明を急ぐべきと思うのです。

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