万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国本土撤退―グーグルの良心に敬服

2010年03月23日 15時56分59秒 | アジア
グーグル、中国本土撤退…香港拠点検索サービス(読売新聞) - goo ニュース
 グーグル社は、モットーとして”悪をなさない”を掲げているそうです。お金儲けのためには、良心をも売る企業が多い中で、グーグルの決断は敬服に価します。

 おそらく、このモットーを最初に唱えたPaul Buchheit氏は、情報技術の持つ善悪両面の作用を極めてよく理解していたのでしょう。情報化社会は人々の可能性を広げ、自由な社会の到来を後押しする反面、それが悪人の手に渡りますと、権力者の悪行や都合の悪い事実を隠し、人々を統制する手段となります。そうであるからこそ、情報を扱うビジネスが備えるべきモラルとして、”悪をなさない”を掲げたと考えられるのです。情報産業の発展が、人々により良い社会を約束をするために。善悪が相対化される風潮にある中で、グーグルが”国家権力による検閲”は”悪”であるとする価値判断を明確にしたことは、自由の価値を問う行為でもあるのです。

 中国政府は、情報・通信技術を国民に対する情報統制の手段として用いていますので、まさしく技術の悪用を行っているということができます。グーグルの勇気ある撤退によって投げかけられた問いに、中国政府はどのように応えるのでしょうか。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする