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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

普天間基地移設問題―二重約束は将来に禍根を残す

2010年03月07日 20時38分29秒 | 日本政治
普天間の進ちょく状況説明求める 前原担当相に沖縄知事(共同通信) - goo ニュース
 未だに解決につかないパレスチナ紛争。この紛争の発端が、イギリスの多重約束であったことはよく知られています。1915年、イギリスは、アラブとの間にフサイン・マクマホン協定を結んでアラブ独立を支持し、翌年の1916年にはフランス・ロシアとサイコス=ピコ協定を結んでトルコ帝国の分割を約し、その翌年の1917年には、ユダヤ人に対してバルフォア宣言を発して、ユダヤ人国家建設を約束しました。

 イギリスとしては、異なる交渉相手に対して最大限の善意で応えたことになるのですが、これらの約束を同時に果たすことは不可能なことでした。結局、この矛盾に満ちた複数の約束の間の不整合性は、後に紛争という悲劇を招くことになるのです。普天間基地問題の迷走を見ていますと、この多重約束の轍を踏むことになるのではないかと心配になります。アメリカとの合意、沖縄との約束、そうして、日本国の安全の確保という命題を同時に実現させることはできないからです。

 どのような結論に達しようとも、誰かには必ず不満が残ります。紛争として顕在化しないまでも潜在的には対立が残り、その対立は、思いのほか長引くことが予測されるのです。

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