万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

有事に日米同盟軍は機能するのか

2010年03月28日 16時16分34秒 | 国際政治
「ヘリ部隊、分散移転」 普天間 防衛相、県内外で検討(産経新聞) - goo ニュース
 国家間で同盟条約を締結しますと、それは、有事に際して同盟軍を結成して戦うことを意味してます。NATOなどで同盟軍としての演習を行うのも、実戦に備えてのことです。しかしながら、普天間基地移設をめぐる政府の対応は、むしろ、日米同盟による防衛力や抑止力を削ぐ方向に向かっているように見えるのです。

 そもそも、基地とは軍事上の戦略拠点となるのですから、まずは、軍事力が最大限に発揮されるよう、配置するのが常識です。北沢防衛相は、部隊の分散移転を提案しているようですが、アメリカの戦略との間に整合性が確保できませんと、同盟相手国の軍事力を弱めてしまう結果を招きます。もし、アメリカ軍が、有事に際して陸海空の兵力を機動的な展開する作戦を温めてているならば、分散の提案は、そのネットワークを切断してしまう可能性さえあるのです。中国が軍拡を進めていることを考慮しますと、我が国一国で、完璧に自国を防衛できる状況にはなく、同盟の弱体化は、即自国の安全保障問題として跳ね返っています。

 有事に当たって、日米同盟軍をどのように展開するのか、という視点が抜け落ちたままで、軍事基地の問題を政治的妥協よって解決しようとしますと、自国のみならず、アジアの安全をも危うくします。政府は、沖縄を防衛するためにも、軍事力の弱体化を招く安易な”解決”は避けるべきと思うのです。

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コメント (2)
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