万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

安価な医療技術の開発が先進国の課題

2010年03月30日 15時48分11秒 | 国際政治
米大統領支持率51%に上昇=医療保険改革、不支持が56%-CNN(時事通信) - goo ニュース
 先日、アメリカ議会で医療保険改革法が成立したものの、世論調査では、同制度に対する不支持は56%にも上っているそうです。様々な反対理由があるのでしょうが、医療保険というものの性格を考えますと、財政悪化の心配は理解に難くありません。

 アメリカには、1000万人もの無保険の人々がおり、今回の法案では、これらの人々も医療保険に加入できるようになるそうです。当制度では、公営ではなく、民間の保険会社への加入を事実上義務付けるという形になるそうですが、10年間で9400億ドルの予算が見込まれていることから、赤字保険会社に対する政府補填があると考えられます。しかも、制度の運営が開始されますと、実際には、この予算を上回るかもしれません。何故ならば、人とは、より高いレベルの診療を受けることを望むものですので、医療費には上限がないからです。費用は保険でカバーされるとなりますと、医療費の増加にさらに拍車がかかりそうです。

 アメリカのみならず、我が国を含めた先進国では、年々社会保障費が増え続け、どの国でも財政を圧迫しています。アメリカの医療制度の行方はまだ未知数ですが、高度な先端医療技術の開発と並行して、安価で安全な医療を実現するための研究・技術開発が急がれるのではないかと思うのです。政府が率先して研究機関を設立したり、民間企業にプロジェクトへの参加を呼びかけたり、あるいは、国際レベルで技術協力を進めれば、医療保険の如何に拘わらず、財政問題の解決に役立つと共に、国民の健康に大いに貢献することになるのではないでしょうか。

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コメント (2)
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