万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

曲がり角の中国―共産化か民主化か

2012年03月14日 15時28分01秒 | 国際政治
温首相が危機感「文化大革命、再び起こるかも」(読売新聞) - goo ニュース
 経済大国としての地位が不動のように見えつつも、中国では、急激な経済成長のもたらした歪が、国民の不満を爆発させる怖れがあるそうです。温首相が文化大革命を持ち出すところから推測しますに、それは、共産主義への劇的な回帰のシナリオなのかもしれません。

 経済成長の恩恵が全ての国民に行き渡り、かつ、利権の独占による政府腐敗がなければ、国民の不満もこれ程までには高くはなかったことでしょう。共産主義が平等を至高の価値として掲げ、現実には共産党が”隠れた特権階級”を形成しながら、”毛沢東主義”の下で国民の平準化が強力に推進された歴史を考慮しますと、中国国民の不平等や格差に対する許容レベルは、他の一般的な諸国よりも、遥かに低いのかもしれません。しかも、自由や民主主義に関する知識や情報にも乏しいともなりますと、中国国民は、再び共産化の方向に向かう可能性も否定できないのです。その際には、改革開放路線を推し進めた現在の指導部は、”革命の裏切り者”のレッテルを張られ、徹底的に粛清されることでしょう。そして、中国は、再び、共産革命時の振り出しに戻るのです。

 果たして、このシナリオは、中国国民の生活レベルを上げ、幸せへのチャンスをもたらすのでしょうか。現在の中国指導部は、民主化勢力を有無も言わさず弾圧してきましたが、共産主義への暴力的な回帰により、粛清の嵐が吹き荒れるも、方針を転換し、穏やかな改革路線としての民主化を認めた方が、中国に希望に満ちた未来を約束するのではないかと思うのです。

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