万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

電力危機―政府の無策は”経済敗戦”への道

2012年03月29日 15時41分02秒 | 日本経済
「電気、一方的停止ダメ」 東電に経産省が行政指導へ(朝日新聞) - goo ニュース
 今日の経済の現状を見てみますと、日本企業が、グローバル市場で敗退するシーンの方が目立つ状況にあります。それもそのはず、日本企業は、自国において、生産拠点としての条件を、尽く失いかけているのですから。

 グローバル市場では、常に激しい競争が展開されており、短期間に状況が一変します。一瞬の判断ミスが企業の経営を傾けたり、突然に不利な条件が出現することで、大企業であっても、あっという間に市場の敗者となることがあるのです。政府は、超円高を放任しましたが、この間、どれほどの企業が体力を奪われたか知れません。そして、経済の兵站である電力供給についても、政府は、牛歩戦術を自国の経済に対して掛けているのです。原発再稼働の遅れ、電力料金の値上げ、燃料価格の高騰、再生エネ法の施行など、どれを取りましても、生産拠点としての条件が悪化するものばかりです。その一方で、グローバルな競争は、有無も言わさず内外から押し寄せてきます。しかも、全ての国において競争条件が等しいわけでもなく、政府が、自国の産業のために有利な条件を整えませんと、製造拠点も人材も海外に流出する一方で、安価な商品だけは大量に流入してくるのです。グローバル化した時代であるからこそ、どの国の政府も、自国の競争条件を改善するための政策的な取り組みに余念がありません。

 方や、日本国政府の対応は、戦時にあって自国の兵站を自ら細らせ、充分な装備の補給もなく自軍を前線に放置するようなものです。政府やマスコミは、東電批判に終始していますが(原発の停止も、政府による一方的な供給停止では…)、その間にも、”経済敗戦”という名の衰退は、刻一刻と近づいていると思うのです。

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