万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

秋入学移行問題―大学の発信力強化という選択

2012年03月05日 15時47分57秒 | 社会
 東大が秋入学への移行を表明した第一の要因は、グローバル化の遅れ、すなわち、留学生数が少ない現状を打開するためと説明されています。早稲田大学なども、独自の改革案を検討してますが、国ごとに異なる入学時期のみが、留学生の減少の原因ではないと思うのです。

 急激な経済成長を遂げている途上国においては、海外への留学は、豊かな未来へのパスポートとなりますので、旺盛な知識欲を持った学生達が海外に飛び出してゆきます。その一方で、先進国では、グローバル化が進展した結果として、逆に留学意欲が低下しているのかもしれません。その理由は、インターネットやテレビの衛星放送などを通じて、直に外国の情報や文化にアクセスできるからです。かつては、実際に外国に渡航し、自分の目や耳で見聞しなければ得られなかった情報や映像が、今では、通信機器の画面上の操作で一瞬にして手に入ります(アメリカでは、講義をネット上に公開している大学も…)。自宅に居ながらにして全世界と繋がっており、”未知なる世界”が狭まっているのです。

 このように考えますと、留学生の人数が少ないことは、必ずしも、グローバル化の停滞や閉鎖性を意味するものではないのかもしれません。日本の大学が、国際的な評価を高めたいのであるならば、世界に向けて、発信力を強めるという方法もあるのではないでしょうか。

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コメント (6)
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