万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ゆとり教育の失敗―危ない政策には必ずフォロー策を

2012年03月28日 16時54分05秒 | 社会
 ゆとり教育への反省から、来春から使用される高等学校の教科書の厚みが増すそうです。今になって考えてみますと、大幅な学力低下が予測されながら、ゆとり教育に邁進したことは、あまりに無謀であったと思うのです。

 ”社会実験”と言えばそれまでですが、この方法は、実験の対象となった世代だけに、リスクが集中します。実験に成功すれば、対象世代は恩恵を受けるのですが、失敗しますと、負の遺産を全て背負い込むことになります。教える内容を減らし、かつ、単純化するのですから、失敗する確率の方が高いことは、この政策を実施する以前から充分に予測はできたはずです。もし、どうしても実施したいのであるならば、何らかのバック・アップ機能を準備し(副教科書や発展コースの設置など…)、学力低下が起きないように配慮すべきでした。失敗しても実害がない研究室での実験ではないのですから、具体的な犠牲が生じる”社会実験”の手法には問題があります。

 ゆとり教育の結果、ある世代だけが、前後の世代よりも評価が低くなるのでは、ゆとり世代は、無謀な政策の犠牲者と言わざるを得ません。あらゆる政策には、プラス・マイナスの両面があるのですから、マイナスが予測される政策を実施する際には、必ずフォロー策を用意すべきと思うのです。


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