万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

北朝鮮の公開処刑―スイス留学の体験に民主化効果はない?

2012年03月24日 15時26分58秒 | その他
金正恩氏が軍高官を公開銃殺(産経新聞) - goo ニュース
 若年ながら、北朝鮮のトップの座に君臨する金正恩氏。報道によりますと、就任早々、何かと理由を付けては、公開処刑という極めて残酷な方法で、軍高官を粛正しているそうです。

 北朝鮮の一代目と二代目は、ロシアや中国との結びつきが強く、全体主義体制の中で教育を受けた人物達です。その一方で、三代目の正恩氏は、長期にわたるスイス留学の経験があり、自由で民主的な体制の中で青少年期を過ごしています。この前任者達にはない経歴からしますと、西欧的な価値観に理解があり、自国の独裁体制に疑問を抱くのではないかと、期待する向きもあったのですが、公開処刑や”ミサイル発射”強行の報道からしますと、この期待は、脆くも崩れ去ったようです。リビアでも、カダフィの息子達は西欧諸国で育ったものの、次男のセイフイスラム氏を始め、結局は独裁体制の擁護に回りました。

 価値観の取得や人格の形成には、育った環境が影響すると言われてきましたが、これらの例を見る限りでは、留学体験には、民主化や自由化の効果はないようです。あるいは、北朝鮮の真の決定者は他に存在しており、正恩氏は、飾り物にすぎないのでしょうか。

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