万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

韓国最高裁の戦時徴用賠償支払い命令-日本企業は国際仲裁に訴えては

2013年07月02日 17時41分19秒 | アジア
 昨日、戦時中に日本国民として徴用された韓国人が起こした、賃金未払いに対する損害賠償の請求について、韓国最高裁が、被告である三菱重工に対して、賠償の支払いを命じたと報じられております。新日鉄住友も既に訴えられていますが、この判決が確定しますと、他の日本企業に対しても、連鎖的に集団訴訟が起こされる可能性があるそうです。

 韓国政府の公式見解では、徴用による個人賠償の請求権は日韓請求権協定で外交上解決済みなそうですので、この政府見解が覆されるとしますと、韓国の司法は、権力分立の原則に反して、政治に介入したことになります。韓国最高裁が、何を根拠にこのような判決を下したのか、理解に苦しむのですが、2012年5月12日の判決要旨によりますと(国立国会図書館調査及び立法考査局)、特に日韓請求権協定の効力については、「サンフランシスコ講和条約(昭和27年条約第5号)第4条に基づき日韓間の債権債務関係を政治的合意によって解決したものであり、植民地支配に対する賠償を請求したものではない」と解釈しているようです。つまり、”植民地支配の賠償は別”と主張しているのです。果たして、この言い分は通用するのでしょうか。日韓請求権協定の第2条には、「1951年9月8日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第4(a)条を含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」とあります。”含めて”と記述されているのですから、請求権問題は、全面的に解決されたと解釈すべきです。韓国最高裁は、併合そのものを”違法な占拠”とする立場にもありますが、仮に違法な占拠であれば、サンフランシスコ講和条約第4条の適用を受けることもできなくなります(当時、韓国併合は、国際的な承認を得ており、国際社会は、日本国による韓国併合を国際法上合法としている…)。

 仮に、韓国側が、この判決を強制力を以て履行するとなりますと、日韓請求権協定がありながら、日本側が二度目の賠償を支払わねばらなくなるとと共に、国際社会の法秩序が崩壊する危機となります。こうした事態を防ぐために、日本企業は、国際仲裁に訴えてはどうかと思うのです。一般的な仲裁のほかに、国際仲裁裁判所のUNCITRALの制度を用いれば、民間企業も政府を相手取って訴訟を起こすことができます。また、TPP加盟問題ですっかりイメージを悪くしてしまいましたが、世銀のICSIDでも、民間企業からの提訴が可能です。韓国司法の人治に対しては、日本企業は、法の支配を盾に対抗すべきと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村


 
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする