万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本国も東シナ海にガス田プラントを-日中中間線確定に向けて

2013年07月03日 15時48分44秒 | アジア
中国が新たな施設建設 東シナ海の中間線付近 菅長官「重大な懸念」(産経新聞) - goo ニュース
 尖閣諸島問題が注目を集めている矢先、中国が、東シナ海の中間線付近で新たなガス採掘施設の建設に乗り出したとするニュースが報じらています。日本国の菅官房長官は、すかさずに”重大な懸念”を表明しましたが、言葉だけでは中国の横暴を抑制できないことは誰の目にも明らかです。

 東シナ海の海域の境界線をめぐっては、日本国側が日中双方の基線から等距離となる中間線を主張しているのに対して、中国側は、日中中間線を越えて沖縄トラフまで中国大陸沿岸からの大陸棚の延長と主張しています。両者の主張が食い違うため、この海域での境界線は未確定とされてきましたが、そもそも、大陸棚の延長には、国連の「大陸棚の限界に関する委員会」の勧告による承認を要します。中国の場合、大陸棚延長は、2012年7月14日に申請されているものの、国連の委員会において、未だに承認を得ていないようです。そこで日本国としては、以下のような対応が考えられます。その一つは、国連海洋法条約では、境界について国際的な争いがある場合には、一国による一方的な資源開発は慎むべきとされていますので、大陸棚に関する国連の判断を待つよう、中国側に要請するという選択肢です。当委員会で中国の申請が却下されれば、日本国は、大手を振って日本側の海域で、ガス田の開発を行うことができます。もう一つ、選択肢があるとすれば、日本国側もまた、即、中間線の日本国側にガス田の採掘プラントを建設することです。その際、”海上日の丸プラント”の建設を中国側が黙認すれば、東シナ海の日中中間線は、事実上、確定されたことになります。ただし、後者の方法では、中国の一方的な天然ガスの吸い上げを阻止できる一方で、中国が、日本国側のガス田プラント建設を武力で破壊する可能性もあり、この点、いささかリスキーな選択ではあります。

 東シナ海において日中中間線が確定するか否かは、国連の委員会の判断を待つ必要がありそうです。

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コメント (3)
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