万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

2013年参議院選挙―タレント議員の時代は去った?

2013年07月22日 15時32分48秒 | 日本政治
 昨日、日本国で実施された参議院選挙は、自民党の圧勝という結果となりました。ようやく、安定政権が誕生したことになりますが、今回の選挙において、日本政治に、一つ、大きな変化が見られたと思うのです。それは、タレント議員の減少です。

 政党の中で、タレントの経歴をもつ議員を立候補させたのは、自民党の山東昭子氏と維新の会のアントニオ猪木氏のみでした。もっとも、山東氏の初当選は1970年代のことであり、政治家の親族もいることから、純粋なタレント議員とは言えないのかもしれません。一方のアントニオ猪木氏も、1989年に「スポーツ平和党」を結成して参議院選挙に当選した経歴があります。結局、スキャンダル等で引退することになりましたが、維新の会は、政治家としての実績よりも、元プロレスラーとしての知名度を期待して出馬を要請したのでしょう。同氏は一位当選を果たしたものの、党全体としては、比例区での得票数は振るわず、当選者は5名ほどに留まりました。むしろ、政界や官僚の古い体質を痛烈に批判しながら、旧来の手法を踏襲して目玉のタレント議員に頼ったため、自らの矛盾を露呈してしまった感もあります。しかも、同氏は、北朝鮮との繋がりが指摘されていますので、”保守政党”の看板とのミスマッチも目立っているのです(国民一般の支持を得ることは難しい…)。なお、東京選挙区で当選した山本太郎氏は、タレントとしての知名度は低いながら、反原発運動で名が知られるようになりましたので、タレント議員の逆パターンなのかもしれません(一点主義ですので、政治家としてのトータルな能力には疑問…)。

 何れにしましても、これまで、日本国の政治の問題点として指摘されてきたタレント議員が減少傾向にあることは、望ましいことです。この現象が、政治家としての能力が問われる時代の到来を告げているとしますと、日本国の政治にも、明るい兆しが見えてきたのではないかと思うのです。

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コメント (2)
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