マンスール氏、暫定大統領就任=軍主導の政権移行が始動―モルシ氏訴追も・エジプト(時事通信) - goo ニュース
ムバラク元大統領を追い込んだアラブの春から2年後の今日、今度は、民主的な選挙を経て選ばれたはずのモルシ大統領もまた、100万人規模のデモを招き、軍の手によって職を去ることになりました。エジプトは民主化への移行過程にあって、政府も国民も、解決策を求めてもがいているように見えます。
現地を訪問したことがありませんので、エジプトの実情を正確に把握しているわけではありませんが、ムバラク時代から続く大統領の独裁傾向とイスラム原理主義問題を考慮しますと、エジプトは、実務型国家への転換を図ってはどうかと思うのです。現状では、宗派や思想間の権力闘争の色合いが強く、大統領選挙を何度繰り返しても、選出された大統領は、特定勢力による支配を意味するに過ぎません。大統職は、国家・国民の統合ではなく、逆に、分裂方向に作用してしまうのです。しかも、大統領選では、エジプトの状況を改善するための具体的な政策が競われているわけではありません。民主的な手法でモルシ氏が大統領に就任したものの、結局は、エジプトの具体的な経済再生策を欠いたために、経済の停滞や失業率の上昇を招きました。また、イスラム原理主義への傾斜から、国民の自由化要求に十分に応えることもできなかったのです。このように考えますと、エジプトが真の民主化達成の鍵は、モルシ政権の失敗の克服にありそうです。例えば、大統領選挙に際して、エジプト経済の再建などの具体的な争点を設定し、立候補者に具体的手法、スケジュール、将来予測の提示を求めることで、民主的選挙の不毛な権力闘争化を抑えることができます(もちろん、必ずしも、政策公約が実現するわけではないのですが…)。また、大統領への過度な依存が、不安定化や分裂の要因であるならば、議会の権限を強化することも一案です。合議制の議会であれば、国内の多様な集団の意見や利益を調整できますし、それぞれの勢力が、自らの政策を議会を舞台に討論することもできます。民主主義とは、自由な議論に支えられている制度なのですから、この側面を強化できれば、民主的制度の利点を発揮することができます。さらに、条件を付して大統領リコール制度を導入すれば、少なくとも、民主的な手法で政権交代を実現することができます。
実務型国家への転換は、エジプトのみならず、実のところ、全ての諸国に必要なことなのかもしれません。エジプト国民の意識の高さと行動力は証明済みなのですから、そのエネルギーを内部対立ではなく、真の民主的国家建設に向けることができれば、早期の混乱収拾も夢ではないと思うのです。
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ムバラク元大統領を追い込んだアラブの春から2年後の今日、今度は、民主的な選挙を経て選ばれたはずのモルシ大統領もまた、100万人規模のデモを招き、軍の手によって職を去ることになりました。エジプトは民主化への移行過程にあって、政府も国民も、解決策を求めてもがいているように見えます。
現地を訪問したことがありませんので、エジプトの実情を正確に把握しているわけではありませんが、ムバラク時代から続く大統領の独裁傾向とイスラム原理主義問題を考慮しますと、エジプトは、実務型国家への転換を図ってはどうかと思うのです。現状では、宗派や思想間の権力闘争の色合いが強く、大統領選挙を何度繰り返しても、選出された大統領は、特定勢力による支配を意味するに過ぎません。大統職は、国家・国民の統合ではなく、逆に、分裂方向に作用してしまうのです。しかも、大統領選では、エジプトの状況を改善するための具体的な政策が競われているわけではありません。民主的な手法でモルシ氏が大統領に就任したものの、結局は、エジプトの具体的な経済再生策を欠いたために、経済の停滞や失業率の上昇を招きました。また、イスラム原理主義への傾斜から、国民の自由化要求に十分に応えることもできなかったのです。このように考えますと、エジプトが真の民主化達成の鍵は、モルシ政権の失敗の克服にありそうです。例えば、大統領選挙に際して、エジプト経済の再建などの具体的な争点を設定し、立候補者に具体的手法、スケジュール、将来予測の提示を求めることで、民主的選挙の不毛な権力闘争化を抑えることができます(もちろん、必ずしも、政策公約が実現するわけではないのですが…)。また、大統領への過度な依存が、不安定化や分裂の要因であるならば、議会の権限を強化することも一案です。合議制の議会であれば、国内の多様な集団の意見や利益を調整できますし、それぞれの勢力が、自らの政策を議会を舞台に討論することもできます。民主主義とは、自由な議論に支えられている制度なのですから、この側面を強化できれば、民主的制度の利点を発揮することができます。さらに、条件を付して大統領リコール制度を導入すれば、少なくとも、民主的な手法で政権交代を実現することができます。
実務型国家への転換は、エジプトのみならず、実のところ、全ての諸国に必要なことなのかもしれません。エジプト国民の意識の高さと行動力は証明済みなのですから、そのエネルギーを内部対立ではなく、真の民主的国家建設に向けることができれば、早期の混乱収拾も夢ではないと思うのです。
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