万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

韓国は間接的に竹島の日本領有を認めたのでは?-日韓請求権協定の議事録

2016年05月04日 15時21分39秒 | アジア
尖閣、竹島は日本領…政府、資料を英語で公開
 ネット情報によりますと、近頃、韓国では、日本国の国会における1956年の重光外相の発言を取り上げて、日本国政府が、李承晩ラインを認めた証拠とした上で、竹島の韓国帰属をも承認したかのような説が唱えられているそうです。しかしながら、この説、”藪蛇”となるのではないかと思うのです。

 韓国側の論理は、”竹島は李承晩ラインの韓国側に位置するため、李承晩ラインの承認は、竹島の韓国領有の承認である”とする、三段論法なのですが、韓国側は、李承晩ラインが、米英をはじめ、海洋法に違反するとして国際的な批判を受けた事実を忘れております。しかも、1965年の日韓基本条約の締結時において、このラインは、既に消滅しているのです。同時に締結された日韓漁業協定と両立しないために自動的に消滅したとされていますが、もう一つ、韓国側が、李承晩ラインの不法性を認めた証拠があります。それは、同じく基本条約と同時に締結された日韓請求権協定に際して作成された議事録です。当議事録の2(h)において、「…この協定の署名の日までに大韓民国による日本漁船拿捕から生じた全ての請求権が含まれており…」とあり、この合意によって、日本国政府は、李承晩ラインの設定によって被害を受けた日本国の漁船や漁民の被害に対して補償を行っているのです(この協定は、日本国側の一方的請求権の放棄に近い内容であったが、双方が請求権の存在を認めた上で”解決”している…)。日本国側の韓国に対する請求権は、韓国側の李承晩ライン内の拿捕を不法とする立場から生じたものですので、韓国側が、この補償について合意したことは、即ち、李承晩ラインが違法であることを認めたことに他ならないのです。

 以上の点から、韓国側の論理に従えば、”李承晩ラインが不法であれば、韓国による竹島の占領も不法である”ということになります。当時の国会答弁でも、日韓基本条約締結時の日本国政府は、竹島問題は、日韓紛争解決交換公文に従って解決されるとの認識していますので、竹島問題が今日まで未解決であるのは、その後、同公文の解決手続きに付すことを拒否した韓国側に責任があると言わざるを得ないのです。

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