今後も主導的役割=AIIBとは補完関係―アジア開銀総裁・年次総会が閉幕
不透明な決定手続きや中国のコントロールへの懸念から、日米ともにAIIBへの参加を見送ってきましたが、今般、アジア開発銀行は、年次総会の席で、AIIBと協調融資の覚書を交わしたと報じられております。アジア開発銀行とAIIBは”相互補完関係”と位置付けられておりますが、その行く先には何が待っているのでしょうか。
協調融資の第一号は、パキスタンの高速道路整備プロジェクトなそうです。中国によるパキスタンのインフラ整備と言えば、欧州まで繋がる「一帯一路構想」の”旗艦プロジェクト”、あるいは、”生命線”とまで称されており、この融資決定が、中国の意向に沿ったものであることは確かなことです。中国政府は、パキスタンへの5.5兆円ものインフラ融資計画を既に発表しており、43年間のグワダル湾の租借権をパキスタンから獲得しているのですから。すなわち、中国は、パキスタンを中核拠点として、陸路と海路の要所を同時に抑えようとしているのです。インドが、この融資案に反対したのかどうかは不明ですが、今年の4月には、中国は、ギリシャのピレウス港も租借しておりますので、一帯一路構想の実現に向けて、一気に動きが加速しております。
こうした中国の国策への傾斜への危惧に加え、パキスタンでは、ISの活動も活発化しいます。融資先のインフラがテロの対象となり、破壊されるリスクもあります(将来的には、人民解放軍のパキスタン駐留の可能性も…)。世銀にせよ、アジア開発銀行にせよ、本来の目的は、経済的に苦境にある国や地域の経済復興や生活水準の向上にありますので、協調融資を試みるならば、AIIBの案件であるパキスタンよりも、地震被害から立ち直れず、国民の生活環境も悪化しているネパールの復興支援を優先すべきです。
中国の強硬姿勢が際立つ南シナ海問題も、その動機の根源を探れば、インド洋を経て地中海に至る一帯一路構想の一環という実態が見えてきます。アジア開発銀行とAIIBの協調融資が、間接的に地域の緊張を高めているとしますと、日本国政府には、危機感が薄すぎます。アジア開発銀行とAIIBの”相互補完関係”は、AIIBがアジア開発銀行を踏み台とし、中国の覇権実現に手を貸すことになりかねないのです。そしてそれは、AIIBに引き摺られる形での国際機関のモラルの低下をも意味しているのではないでしょうか。
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不透明な決定手続きや中国のコントロールへの懸念から、日米ともにAIIBへの参加を見送ってきましたが、今般、アジア開発銀行は、年次総会の席で、AIIBと協調融資の覚書を交わしたと報じられております。アジア開発銀行とAIIBは”相互補完関係”と位置付けられておりますが、その行く先には何が待っているのでしょうか。
協調融資の第一号は、パキスタンの高速道路整備プロジェクトなそうです。中国によるパキスタンのインフラ整備と言えば、欧州まで繋がる「一帯一路構想」の”旗艦プロジェクト”、あるいは、”生命線”とまで称されており、この融資決定が、中国の意向に沿ったものであることは確かなことです。中国政府は、パキスタンへの5.5兆円ものインフラ融資計画を既に発表しており、43年間のグワダル湾の租借権をパキスタンから獲得しているのですから。すなわち、中国は、パキスタンを中核拠点として、陸路と海路の要所を同時に抑えようとしているのです。インドが、この融資案に反対したのかどうかは不明ですが、今年の4月には、中国は、ギリシャのピレウス港も租借しておりますので、一帯一路構想の実現に向けて、一気に動きが加速しております。
こうした中国の国策への傾斜への危惧に加え、パキスタンでは、ISの活動も活発化しいます。融資先のインフラがテロの対象となり、破壊されるリスクもあります(将来的には、人民解放軍のパキスタン駐留の可能性も…)。世銀にせよ、アジア開発銀行にせよ、本来の目的は、経済的に苦境にある国や地域の経済復興や生活水準の向上にありますので、協調融資を試みるならば、AIIBの案件であるパキスタンよりも、地震被害から立ち直れず、国民の生活環境も悪化しているネパールの復興支援を優先すべきです。
中国の強硬姿勢が際立つ南シナ海問題も、その動機の根源を探れば、インド洋を経て地中海に至る一帯一路構想の一環という実態が見えてきます。アジア開発銀行とAIIBの協調融資が、間接的に地域の緊張を高めているとしますと、日本国政府には、危機感が薄すぎます。アジア開発銀行とAIIBの”相互補完関係”は、AIIBがアジア開発銀行を踏み台とし、中国の覇権実現に手を貸すことになりかねないのです。そしてそれは、AIIBに引き摺られる形での国際機関のモラルの低下をも意味しているのではないでしょうか。
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