万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国やNHKより”まし”なフェイスブック-情報統制と競争

2016年05月20日 09時45分36秒 | 社会
米フェイスブック、社内調査=共和党のニュース制限か
 アメリカのフェイスブックが、保守系のニュースを制限した件について、同社は釈明に追われているようです。SNSについては、運営側による一種の”検閲”が日本国内でも以前から問題視されておりましたので、”やはり”という確認感の方が強いのですが、その対応については、中国やNHKよりはるかに”まし”なようにも思えます。

 ザッカ―バーグ氏は、もとより民主党支持である上に、公私にわたって中国とも親密な関係にありました。中国の厳格な情報統制にも、フェイスブックのノウハウや技術が一役買っている可能性も否定はできません。おそらく、同社は、情報統制に対して心理的な抵抗感がない、あるいは、罪悪感が欠如しているのでしょうが、それでも、保守系ニュースを排除したとする批判は堪えたらしく、”フェースブックは政治的に中立”とする同社の体面を保つために、この疑惑の払拭に躍起になっているそうです。

 ザッカ―バーグ氏は、保守系の有力者を本社に招くなど、保守層懐柔に熱心に取り組んでいると報じられています。もちろん、この豹変の背景には、ライバル会社に利用者を奪われまいとする経営上の判断が働いているのでしょう。フェースブックの利用者は、10代では激減しているとの報道もあります。そして、このライバル社に対する対抗意識が、これまでの姿勢を緩和する方向に働いたとしますと、情報を扱う産業分野において、競争が如何に重要であるかが再認識させられます。情報統制や偏向が明るみとなれば、嫌気がさした利用者はライバル会社に流出し、同社の収益にも打撃を与えるからです。このことは、同時に、競争が働かない環境では、情報統制は緩むことなく、偏向も是正されないことを示唆しています。実際に、一党独裁体制下にある中国はその最たる例ですし、公共放送として受信料を強制的に徴収している日本のNHKも、国民からの偏向批判を受けても”どこ吹く風”の態度なのです。

 この側面は、NHKのみならず、横並び傾向の強いマスコミ全体にも言えるのかもしれません。日本国内では、大手マスコミが揃って報じない事件や出来事も少なくないのです。フェースブックの一件は、情報空間の自由と健全さを保つためには、如何にして競争を働かせるのか、という、ネットのみならず、マスコミをも含めた情報・通信分野のあり方をも問うているのかもしれません。

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コメント (4)
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