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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

米中首脳会談ー米の対北攻撃を中国は黙認したのでは?

2017年04月09日 13時57分16秒 | 国際政治
米空母、朝鮮半島近海へ=北朝鮮をけん制―ロイター報道
 全世界が注目する中で開催された初の米中首脳会談。報道によりますと、貿易不均衡問題については「百日計画」が合意されるなど、若干の成果は見られたものの、緊迫の度を強めている北朝鮮問題については平行線を辿ったそうです。

 両国間において議論が平行線に至った理由は、アメリカが、単独行動をも辞さない構えて中国により強硬な対処を求めたのに対して、中国側は、米軍によるTHAADの韓国配備を持ち出し、THAAD撤廃を強行措置実行の条件化したからと見られます。相手方から投げられたボールを投げ返し、責任を押し付ける手法は中国の得意技なのですが、中国によるこの対応は、面子を保つ方便であるのかもしれません。

 筋道立てて考えてみれば、そもそもの始まりは北朝鮮がNPTに違反して核・ミサイル開発を始めたところにあり、米軍によるTHAADの配備は、リアクションに過ぎません。THAAD配備は、中国が北朝鮮を裏支援した結果でもありますので、その責任は中国自身にもあります。自らが核保有国としてのNPT上の義務を怠り、国連決議にも違反しつつ核拡散をサポートしながら、THAADの撤廃をアメリカに求めるのは法にも道理にも反していますので、アメリカがこうした厚かましく、理不尽な要求を飲むわけはないことを、中国側も十分に承知しているはずなのです。

 しかもトランプ政権は、中国が実行しない場合には単独で行動すると、国際社会に向けて既に宣言しております。この発言と中国によるTHAAD撤廃の条件をアメリカが受け入れる可能性は限りなくゼロに近い点を勘案しますと、中国側の首脳会談での対応は、事実上、”中国は何もしない”、つまり、”アメリカに任せる”という回答として受け止めざるを得ないのです。

 今年の秋に共産党大会を控えた習主席にすれば、アメリカに二者択一を迫られた結果として、アメリカが対北単独攻撃を選択すれば、対外的な敗北と見なされ、国内的な権力基盤も弱体化しかねません。そこで、アメリカが受け入れ不可能な条件を付すという形で二者択一の選択から逃げ、間接的にアメリカの対北攻撃を黙認したのではないかと思うのです。

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コメント (4)
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