万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

北朝鮮の”戦後処理”はどうなるのか?

2017年04月25日 18時32分15秒 | 国際政治
【北朝鮮情勢】朝鮮人民軍創建85年記念日、南東部で過去最大規模の砲撃訓練 韓国メディア報道 日米韓は核実験など警戒
 米軍と一戦を交えるか否かは別としても、北朝鮮の運命は風前の灯です。ここ数日の動きを観察していますと、米軍による対北空爆については中国は容認し、ロシアも積極的な介入は控える様子が窺えます。
 
 近い将来における北朝鮮の敗北が確実であるとしますと、今から準備すべきは、北朝鮮の”戦後処理”です。米中ロ共に永続的に北朝鮮領を合法的に軍事占領下に置くことができないとなりますと、朝鮮半島北部には空白地帯が生じることになります。朝鮮半島とは、近代以降、列強のパワーがせめぎ合う地域として知られていますが、今般も、国際社会は、同様の問題に直面しています。20世紀初頭にあっては、日本国が朝鮮半島を併合することで一定の地域的安定を得ましたが、今日においては、別の方法を模索する必要があります。想定される”戦後処理”とは、(1)北朝鮮の枠組みを維持した上での”金王朝”の排除と新体制の樹立、(2)韓国への併合、(3)国際共同管理、(4)国際分割管理、(5)国連における信託統治…などです。あるいは、軍事分野だけを切り離して国際管理下に置き、主たる内政権限は韓国に統合するといったコンビネーションもあり得ます。

 最も望ましいのシナリオは、東欧革命時のような国民による民主的選挙による体制移行、あるいは、韓国への併合ですが、中国による強固な反対が予測されると共に、洗脳状態にあった北朝鮮国民は民主主義に対する理解が乏しく、政治的混乱に陥る可能性もあります(今般の弾劾から大統領選の様子では、韓国の民主主義でさえ怪しい…)。イラク戦争では、”アメリカは、戦争には勝利しても”戦後処理”には失敗した”とする批判もあり、また、”中東の春”でも、独裁者の追放には成功したものの、安定した民主的体制を構築するには至っていません(難民の大量発生の原因にも…)。こうした前例に鑑みますと、当面は軍事占領下においたとしても、アメリカ、関係国、そして、国際社会は、今度こそ北朝鮮の”その後”を見据えた上で、北朝鮮問題に臨むべきと思うのです。

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コメント (2)
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