万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

フェイスブックは邪悪?ー”思考読み取り”技術の開発

2017年04月20日 15時32分43秒 | 社会
フェイスブック、「思い浮かべた文字」をタイプできる技術開発へ
 収益の多様化を目指すフェースブックが新たに開発を急いでいるのは、脳内にチップを埋め込むことで、頭の中で思い描いた文字をタイプできるという技術なそうです。開発者は、障害者の助けになると共に、将来的には、通信機器なしても友人にメッセージを送ることができるなど、メリット面を強調していますが、この技術、使い方次第では、邪悪な技術となるのではないでしょうか。

 そもそも、メリット面があったとしても、脳内にチップを受け込むには、失敗すれば命や人格にも関わる外科手術を要しますので、普通の感覚の人であれば二の足を踏むはずです。この技術は、現状では”脳内タイプ”の段階であるかもしれませんが、開発が進むにつれて、以下のような問題が発生します。

 第1に、脳内にチップを埋め込まれますと、意識の座でもある脳内に外部と繋がる他者が入り込むことを意味します。そのチップは、24時間脳内に居座って、その人の脳波を、逐次、読み取っているのです。脳内にチップが常駐している状態は、人々に耐えがたいストレスと苦痛を与えることでしょう。チップ埋め込みが原因で、精神に異常をきたす人も現れるかもしれません。この技術は、憲法で保障されている内面の自由やプライバシーを侵害しかねないのです。

 第2に、脳内チップが思考を読み取ることができるとしますと、それは、一種の”盗み”となります。盗聴や盗撮ならぬ、”盗思”とも表現すべきでしょうか。脳内チップによって、他者の思考が読み取れるならば、知的財産権や著作権は、いとも簡単に外部者に盗まれてしまいます。また、インサイダー情報や企業秘密を含めて、あらゆる秘密事項は、それを知る人が脳内で思い浮かべただけで、他者に漏れることでしょう。結果として、秘密を知った者から、脅迫のブラックメールも届くかもしれません。また、逆に、脳内チップを埋め込まれた人物が、これを悪用して、偽情報等を読み取らせることもできます。つまり、この技術は、犯罪の道具ともなり得るのです。

 そして、第2の問題と関連して第3に、チップによって収集された情報は、それを管理する者が、今日の如何なる情報機関よりも、正確、広範、かつ、膨大な個人情報を手にすることができることを意味します。フェイスブックが開発するとすれば、おそらく、同社は、これらの情報を全て自社で掌握できるようにシステム設計することでしょう。

 また、第4として、チップは、意思伝達や情報収集のみならず、人間の精神活動のコントロールや破壊装置としの機能も備えるているかもしれません。魂や精神性の領域に踏み込み、人類を思考面でも支配する、あるいは、家畜化する手段にもなり得るのですから、空恐ろしいお話です。

 以上に主要な問題点を挙げてみましたが、思考読み取り技術は、人々を精神的に圧迫こそすれ、人類の幸せに貢献するとは思えません。法的にも倫理的にも問題が山積していますので、今後は、開発規制も検討課題となりましょう。フェースブックが、当技術に対する一般の人々の警戒感に気が付いていないとしますと、真に人の心を読むことができないのは、同社ではないかと思うのです。

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コメント (5)
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