万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

朝鮮半島有事ー韓国政府が在韓邦人を保護すべき理由

2017年04月11日 17時24分14秒 | 国際政治
北朝鮮 米空母の朝鮮半島近くへの派遣を非難
 長峰在韓大使の帰任の背景には、慰安婦像の問題のみならず、朝鮮半島有事に際しての邦人保護の任務があったと指摘されております。前者については韓国政府が応じる可能性は極めて低い状況にありましたので、真の目的は、やはり、後者なのでしょう。

 朝鮮半島有事における邦人保護については、これまで、韓国政府は極めて消極的な態度を示してきました。韓国政府は、”邦人を人質に取る、あるいは、妨害するのではないか”とする憶測さえあり、日韓間の相互不信の深さを示しています。反日政策を国是としている韓国政府に対して好意的な対応を期待することはできないのですが、韓国には、邦人を保護すべき理由があります。

 その理由とは、万が一には、韓国国民が難民化し、日本国に押し寄せる可能性があることです。韓国側は、有事に際して自国政府が平常通り機能し、安定した秩序を維持し得ると想定した上で、非情にも在韓邦人の生殺与奪の権を握ろうとしています。しかしながら、戦争状態となるのですから、必ずしも前提通りとなるとは限らず、韓国の政府機能が麻痺する事態も十分にあり得るのです。

 その前例は、先の朝鮮戦争であり、韓国政府による保護が及ばず、難民化した韓国国民は、逃げ場所を求めて日本国に流入しています。しかも、大量に発生した難民の中には、戦場化により住居等を失った難民のみならず、韓国政府によって弾圧された親北朝鮮の人々、混乱に乗じた経済難民、そして、徴兵逃れの人々も含まれており、こうした韓国民の保護は、結局、日本国政府が背負うこととなったのです。今でも、日本国において生活保護を受けている在日韓国人の人々は少なくありません。

 以上の状況を考慮すれば、韓国政府は、在韓邦人の保護を拒絶できないはずです。否、過去、並びに、現在の事例に照らせば、その拒絶は、恩知らずでさえあります。韓国政府は、朝鮮半島有事に際しては自国民が難民化し、暫定措置であれ、日本国政府の保護を受ける可能性に思い至るべきではないかと思うのです。

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コメント (6)
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