自民党政調審議会は、7月7日、ようやく習主席国賓来日中止決議を了承したそうです。中国による「香港国家安全維持法」の制定に対する非難決議なのですが、親中派で知られる二階幹事長等の強固な反対を受け、「中止を要請する」とした原案の表現は「中止を要請せざるを得ない」へとトーンダウンの方向に修正されたと報じられています。しかも、「党外交部会・外交調査会として…」の一文も加わり、自民党としての決議ではないかの如くに表現が薄められてしまったのです。
自民党内における二階派の‘影響力’の強さを物語るのですが、この一件で明るみになったのは、同幹事長の非民主的な体質です。報道によりますと、同決議案を取りまとめた自民党の外交部会等の役員会では、原案に対して撤回や修正を求めたのは二階派の5人の議員であったそうです。同会の出席者は18人でしたので、原案に対する賛否の比率は13対5ということになり、民主的な多数決の原則に従えば、圧倒的な賛成多数で二階派の要求は却下されるはずでした。ところが、何故か、原案は修正され、少数派である二階派の意見が通ってしまっているのです。
自民党内にあって民主主義の原則が捻じ曲げられる事態が発生したことになりますが、その背景には、中国の圧力があったことは想像に難くありません。そもそも、党内、否、日本政界おける二階幹事長のポジションは中国のバックあってのものであり、仮に、二階・中国ルートが遮断されたならば、さしもの同幹事長もその絶大なる影響力を維持することはできないことでしょう。古今東西を問わず、大国をバックとした為政者などが自国内において幅を利かせてしまう事例は枚挙にいとまがなく、アジアにあっても、冊封体制はこの構図を以って理解されます。同体制も、宗主国によって国王の地位を認められた人物が、大国の軍事力や権威を後ろ盾として全人民を支配する構図であるからです。
習近平国家主席は再三にわたって‘中国の夢’を語っていますが、それが前近代において成立していた冊封体制の再来を意味するのであるならば、中国は、日本国をも同様の手法を以って攻略しようとすることでしょう。二階幹事長をはじめとした親中派議員や公明党等は、いわば、中国によって選ばれた、あるいは、子飼いとして育てられた現代の‘小国王’なのかもしれません。党内力学において圧倒すれば‘数’など問題ではなく、日本国の政治を内部からコントロールできると踏んでいるのでしょう。そして、上述したように、党内の多数派を押しのけて、党決議の文面の修正に成功しているのです。かくして、日本国内では、保守政党が暴力革命を是とする共産党に阿るという、異常事態が発生しているのです。
今般の事態は、日本国の独立の危機であることは言うまでもありません。そしてそれは、独立の危機のみならず、日本国の内部から自由主義、並びに、民主主義をも揺るがしており、日本国の自由主義体制の危機とも言えましょう。二階幹事長は、不快感を露わにして「日中関係のために先人たちが紡いできた努力をなんだとおもっているのだ」と述べたとも伝わりますが、飛鳥時代にあって、聖徳太子(厩戸皇子)は、その逆に隋の冊封を拒絶したように、先人たちは、日本国の独立の維持にこそ努力を払ってきたのではないでしょうか。二階幹事長こそ先人達の努力を無にしかねず、二階幹事長問題は、日本国に対する中国による内政干渉の問題として早急に対処すべきではないかと思うのです。