新型コロナウイルス感染症のパンデミック化により、日本国を含め、目下、多くの人々が感染リスクに晒されると共に、不自由な生活を強いられております。経済的な損害も甚大であり、同パンデミックの元凶となった中国政府に対する批判は高まるばかりです。共産党一党独裁体制下における情報隠蔽こそ諸悪の根源であるとして…。
新型コロナウイルス禍に際して、中国は、その発症のみならず、人から人への感染など、同ウイルスに関する重大な情報を国際社会に提供せず、その隠蔽を選択しました。自国の体制維持のためには自国民おろか、ましてや他国の人々の命など歯牙にもかけなかったのでしょう。この結果、今日、全世界で凡そ63万人が犠牲となり、一日の新規感染者数も20万人を越えています。諸外国に比べて死亡者数が少ないとされる日本国でも、死亡者数は1000人に迫っており、昨今の感染者の増加傾向からすれば予断を許さない状況にあります(もっとも諸説が入り乱れ、正確な予測は難しい…)。国家による情報隠蔽の恐ろしさを誰もが経験したことになるのですが、中国政府は、またもやこの過ちを繰り返しそうなのです。
中国が繰り返している過ち、それは、長江の中流域に建設された世界最大規模の三峡ダムに関する情報隠蔽です。中国では、異常気象に起因してか、今年は例年になく豪雨が続き、流れ込む膨大な水量に耐え切れず三峡ダムが決壊の危機にあるというのです。この三峡ダムの決壊危機をめぐる状況は、どこか、新型コロナウイルスの発生時の際の中国政府の対応を思い起こさせます。中国政府も、ようやく同危機を公式に認めたものの、それまでの間、三峡ダムが決壊の危機にあり、下流並びに上流において深刻な水害が発生している事実について報道を控えてきました。ようやく公式に水害の発生を認めたものの、7月13日に中国応急管理部が公表した水害による死亡者数は僅か141人あまりです(全国の被害住民数は3789万人…)。
その一方で、ネットに投稿されている動画は、水害の深刻さを映し出しています。新型コロナウイルス時にあっても、民間人が投稿した動画では、街路を歩いている人が突然に倒れたり、病院内で子供たちの遺体が無造作に袋詰めにされるなど、武漢における凄まじい感染状況を伝えていました。今般の水害についても、ネット上にアップされた動画を見る限り、中国政府は、被害を過小に見積もっているとしか考えられないのです。今般の九州地方の豪雨では、熊本県を中心に57名の方々が犠牲となられ、2人の方が心肺停止の状態となり、12人の方々が未だに行方不明となられております。日本国は山がちとはいえ、これ程の人的被害が発生しているのですから、中国大陸を横切るように滔々と流れる長江の水害にあって141人と言う数字は俄かには信じられません。新型コロナウイルス時においても、中国政府は、感染者数や死亡者数について過小な数字を公表し、正確な数字を隠していますので(今なお、中国が公表したデータには疑問が呈されている…)、おそらく、今般の水害の被害者数も桁数が違っているものと推測されるのです。
こうした被害者数の数字の操作のみならず、中国政府は、三峡ダムの崩壊リスクや水害予測についても、正確な情報を国際社会に対して提供しようとはしていません。三峡ダムの強度についてはそれを建設した中国政府しか知り得ませんし(常識を超えるかなりの突貫工事であったらしい…)、水害を受ける地域につきましても、中国政府の放水方針の如何によって、大きな違いが生じるからです。下流地域を援けるのか、上流地域を援けるのかをめぐり、習近平国家主席と李克強首相との間で対立があったとする指摘もありますが、今や、放水方針の決定は、重大な政治問題と化しているのです。
このことは、三峡ダムの決壊、あるいは、中国政府の放水方針の決定次第では、中国に在住している外国人の命が危険に晒されていることを意味します。仮に、何らの事前警告や退避措置もなく濁流が押し寄せるとしますと、中国国民のみならず、在中邦人を含め、外国の人々にも被害が及ぶこととなりましょう(同ダムが決壊した場合、最悪の場合には、下流域に居住している凡そ6億人が被害に遭うとも…)。長江の中流域にはかの武漢もあり、河口南岸には人口2400万人の大都市、上海が位置しています(上海には凡そ4万人の邦人が在住…)。新型コロナウイルスとは違い、水害が国境を越えてパンデミック化することはありませんが、在中国の外国人が犠牲になると共に、東シナ海の環境汚染や原発事故も起こり得ますので、三峡ダム問題は、最早、中国の国内問題とは言い切れないのです。
今や中国の三峡ダム問題が国際問題化しているとしますと、今般の中国政府による情報隠蔽、あるいは、情報操作は無責任極まりなく、未必の故意と言う意味において犯罪的行為とも言えましょう。日本国政府を含む各国政府とも、中国に対して情報の開示、並びに、自国民の安全確保を、強く求めるべきなのではないでしょうか。このまま中国の情報隠蔽体質を放置しますと、新型コロナウイルスにおける教訓は、全く活かされていないこととなるのではないかと懸念するのです。